教科書

看護学テキストNiCE

老年看護学概論

「老いを生きる」を支えることとは

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 正木治恵/真田弘美
ISBN : 978-4-524-26062-1
発行年月 : 2011年6月
判型 : B5
ページ数 : 392

在庫なし

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

最新版はこちら
  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

老年看護学の基本的な概念と、実践に必要な知識や考え方をまとめたテキスト。老年期のケアが学生にとって想像しにくいものであることに配慮して、具体的な事例を数多く取り上げ、解説は読みやすいように簡潔な記述とし、興味をもって学び進められるように編集。新指定規則、新国家試験出題基準にも細かく対応。

第I章 老年看護学を理解するための基盤
1.“老い”の意味
 A.“老い”と文化
  1 老いをどうとらえるか
  2 老いに向かう姿勢
  3 老いに対する価値観
 B.“老い”と家族
  1 老いをとりまく家族構造
  2 家族周期にみる老いの課題
  3 家族の介護問題としての老い
 C.“老い”と社会
  1 高齢者の健康問題
  2 高齢者の生活問題
  3 高齢者をとりまく環境問題
 D.“老い”と自分
  1 老いと生活史
  2 老いをかたちづくるもの
  3 “老い”の意味
2.老年期の理解
 A.老年期とは
  1 人間発達論からとらえた老年期
  2 発達段階としての老年期
  3 発達課題からとらえる老年期
 B.加齢(老化)に関する理論
  1 加齢と老化
  2 さまざまな領域からみる加齢(老化)理論
 C.老性変化
  1 老年期の人の老性自覚
  2 身体的な老性変化
  3 精神心理的な老性変化
  4 社会的な老性変化
  5 高齢者の喪失体験と適応
3.高齢者をとりまく社会制度
 A.高齢者人口の推移
  1 わが国の高齢化
  2 性差にみる高齢化
  3 地域格差
 B 高齢者の健康
  1 平均余命と健康寿命
  2 疾病構造の変化
 C 高齢者の療養生活と医療制度
  1 医療保険制度の特徴
  2 高齢化と医療制度
 D.高齢者の介護・福祉施策
  1 介護保険制度の背景
  2 介護保険制度のしくみと動向
  3 介護予防
  4 健康増進対策
  5 高齢者へのソーシャルサポート
 E.高齢者の権利擁護
  1 高齢者の倫理的課題と法的整備の動向
  2 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
  3 成年後見制度

第II章 老年看護の理念と目標
1.老年看護の理念と目標
 A.老年看護の理念
  1 老年者の自我発達の特徴
  2 老年者の自我発達と看護
  3 臨床研究にみるケアによる老年者の自我発達
  4 老年看護の理念
 B.老年看護の目標
  1 「健やかに老い、安らかに永眠する」を支える
  2 尊厳ある介護と看取り
  3 生かし生かされる地域づくり

第III章 老年看護の対象となる人々の特徴
1.からだ
 A.高齢者の身体機能の特徴
  1 生理的老化とその特徴
  2 高齢者の身体機能における相互連関
 B.高齢者の“からだ”の把握方法
2.こころ
 A.こころとはどのようなものか
 B.高齢者のこころの状態に影響する要因
 C.高齢者のこころを理解する方法
3.かかわり
 A.高齢者の“かかわり”
  1 発達段階の特徴やそれに伴う暮らしの変化に影響を受ける
  2 高齢者が新たに形成し、維持している豊かな“かかわり”
 B.高齢者の立場から“かかわり”を理解する
 C.“かかわられること”による影響を理解する
 D.高齢者の“かかわり”の把握方法
4.暮らし
 A.高齢者の“暮らし”:生活の構造
  1 高齢者の家族・世帯構成
  2 “暮らし”の場:住宅と環境
  3 “暮らし”を支える収入・生計
 B.高齢者の生活のリズムと生活習慣
  1 高齢者の生活のリズムの多様性
  2 高齢者の生活習慣・生活様式の多様性
 C.高齢者の“暮らし”の把握方法
5.生きがい
 A.“生きがい”とは
 B.高齢者にとっての“生きがい”とは
  1 役割からとらえる“生きがい”
  2 就労・雇用からとらえる“生きがい”
  3 社会活動・余暇活動からとらえる“生きがい”
  4 日常生活の中でとらえる“生きがい”
 C.高齢者の“生きがい”の把握方法
6.歳月の積み重ね
 A.生活史
  1 生活史とは
  2 生活史の把握方法
 B.高齢者にとっての健康歴
  1 健康歴とは
  2 健康歴聴取の方法
 C.高齢者のもつ文化と価値観
  1 文化・価値観とは
  2 高齢者にとっての文化や価値観の重要性
  3 文化や価値観の把握方法


第IV章 老年看護に活用できる理論・アプローチ
1.健康の概念
 A.老年看護に活用できる健康の概念
  1 健康の概念
  2 幸福論モデルを基盤とした高齢者の健康
  3 生活機能の視点からとらえる高齢者の健康
 B.健康の概念の活用事例
2.サクセスフルエイジング
 A.老年看護に活用できるサクセスフルエイジング
  1 サクセスフルエイジングの考え方、意義
  2 サクセスフルエイジングの概要
  3 サクセスフルエイジングの考え方でとらえる高齢者
 B.サクセスフルエイジングの活用事例
3.ウェルネスアプローチ
 A.老年看護に活用できるウェルネスアプローチ
  1 ウェルネスアプローチの意義
  2 ウェルネスアプローチの概要
 B.ウェルネスアプローチの活用事例
4.コンフォート
 A.老年看護に活用できるコンフォート理論
  1 コンフォート理論を活用する意義
  2 コンフォート理論の概要
 B.コンフォート理論の活用事例
5.ライフストーリー
 A.老年看護に活用できるライフストーリー
  1 ライフストーリーを活用する意義
  2 ライフストーリーの概要
 B.ライフストーリーの活用事例
6.エンパワメント
 A.老年看護に活用できるエンパワメント
  1 エンパワメントの意義
  2 エンパワメントの概要
 B.エンパワメントの活用事例
 C.個人のエンパワメントを集団や地域社会のエンパワメントに生かす
7.スピリチュアリティ
 A.「こころを支えるスピリチュアリティ理論」ができた背景
 B.こころを支えるスピリチュアリティ理論
  1 スピリチュアリティの対象と決定要因
  2 スピリチュアリティの機能と効力
  3 スピリチュアリティと高齢者の健康およびヘルスプロモーションとの関係
  4 スピリチュアリティの効力のエビデンスとその解釈
 C.こころを支える看護:スピリチュアル・ケア
  1 スピリチュアル・アセスメント
  2 スピリチュアリティとの「つながり」の促進
  3 スピリチュアル・ケアの体現:スピリチュアル・ナース

第V章 老年看護学における対象の見方・とらえ方
1.対象特性
 A.5つの側面(からだ、こころ、かかわり、暮らし、生きがい)が相互に関連しあう
 B.個別性があり、多様である
 C.他者との関係性の中に在る
 D.自分の再吟味・再方向づけの模索
 E.文化を継承する存在である
2.対象理解
 A.統一体としての高齢者理解
  1 統一体として全体論的な視点から理解する意義・必要性
  2 統一体として高齢者を理解するための視点
 B.環境の影響をふまえた高齢者理解
  1 人間にとっての環境、高齢者にとっての環境
  2 環境の見方・とらえ方
  3 環境の影響をふまえた高齢者理解
  4 環境の一部としての看護師
 C.相互作用を通した高齢者理解
  1 相互作用を通した高齢者理解とは
  2 相互作用を通して高齢者を理解する意義
  3 相互作用を通して高齢者を理解する方法
 D.高齢者ケアにおける高齢者理解の発展
3.対象理解に活用できる指標とツール
 A.高齢者に対するアセスメント
 B.ICF生活機能評価
  1 国際生活機能分類(ICF)とは
  2 ICF生活機能評価モデル
  3 ICF生活機能評価の評価点
  4 ICF生活機能評価の活用と問題点
 C.高齢者総合機能評価(CGA)
  1 高齢者総合機能評価(CGA)とは
  2 高齢者総合機能評価(CGA)の実施と課題
 D.基本的日常生活動作(BADL)と手段的日常生活動作(IADL)
  1 基本的日常生活動作(BADL)、手段的日常生活動作(IADL)の概要
  2 BADLとIADLの評価方法
 E.認知機能のアセスメントツール
  1 認知機能のアセスメントの意義・目的
  2 認知機能のアセスメントツール
  3 認知機能のアセスメントの際の注意点

第VI章 「健やかに老い、安らかに永眠する」を支える看護
1.老いること、死ぬことの意味と備え
 A.老いを生きることの意味
  1 老いの意味
  2 老いの自覚
  3 老いを生きることの備え
 B.老いの発見と死期の受容
  1 高齢者本人がとらえる健康
  2 人生を締めくくる
2.「豊かな生」の創出・支援
 A.高齢者の「豊かな生」
  1 高齢者の「豊かな生」とは
  2 豊かな生の創出に必要な支援方法
 B.環境適応への支援
  1 加齢とともに変化する環境
  2 生活環境の変化と高齢者への影響
  3 環境適応への支援

第VII章 療養生活への支援
1.高齢者に特有な症候と看護
 A.老年症候群
  1 老年症候群の3分類
  2 老年症候群を引き起こす要因と関連疾患
 B.老年症候群の理解と看護
  1 ICF生活機能評価モデルによる老年症候群の理解
  2 老年症候群の看護
 C.演習問題(演習(1))
2.薬物療法を受ける高齢者への看護
 A.薬物療法と薬物有害事象(薬物有害作用)
 B.加齢と薬物動態・薬力学
  1 薬物療法の種類と薬物動態
  2 加齢に伴う薬物動態と薬力学の変化
 C.薬物療法を受ける高齢者への援助とリスクマネジメント
  1 薬物有害事象の予防
  2 高齢者のアドヒアランスを高めるための援助
 D.演習問題(演習(2))
3.手術療法を受ける高齢者への看護
 A.高齢者に多く実施されている術式と術前の耐術予備機能の評価
 B.インフォームドコンセントと看護の役割
  1 高齢者の医療行為に対する意思決定への援助
  2 意思能力がない高齢者の代理判断
 C.手術前・手術中・手術後の看護
  1 手術前の看護
  2 手術中の看護
  3 手術後の看護
4.リハビリテーションを受ける高齢者への看護
 A.リハビリテーションの理念・概念の変遷
 B.診療報酬、介護報酬の改定からみる高齢者に対するリハビリテーション
 C.リハビリテーションを受ける高齢者への看護
  1 高齢者の暮らし・生きることの困難・人生を支えるインフォームド・コオペレーションに基づく個別リハビリテーション
  2 健康レベルとニードに応じた継ぎ目のない一貫したリハビリテーションの提供
  3 リハビリテーションを受ける高齢者を介護する家族に対する支援
5.受療形態に応じた高齢者への看護
 A.高齢者の受療状況と受療環境
 B.高齢患者に対する入院時と退院に向けての看護
 C.外来診療および検査時の看護
6.認知症の高齢者への看護
 A.早期診断・治療
 B.認知症症状をもたらす原因のアセスメント
  1 認知症と類似の症状を呈するせん妄・うつ病との鑑別
  2 認知症の症状を悪化させる原因の探索
  3 加齢による影響の査定
 C.心理を理解した対応
  1 不安にさせないコミュニケーション
  2 自尊心の尊重
  3 言葉や行動に込められた意味を考えた対応
 D.生活上の困難への対応
  1 認知症の症状をとらえる
  2 記憶の障害、認知の障害を補完する
 E.認知症の進行に伴う身体合併症の予防
 F.介護する家族や介護職員に対する支援
  1 ケアの質の確保
  2 決定場面での支援
 G.演習問題(演習(3))

第VIII章 尊厳ある介護と看取り
1.尊厳ある介護
 A.高齢者の意思決定を支える
  1 介護する私たちの高齢者への態度
  2 高齢者の意思を支える―意思のある1人の人格として尊敬する
  3 了解を得る
 B.高齢者と周囲の人々との関係性を支える
  1 高齢者との関係を築く
  2 言語の理解に障害をもつ高齢者との関係性を支える
  3 言葉による意思疎通ができないと思われる高齢者との関係性を支える
  4 家族との関係性を支える
2.尊厳ある看取り
 A.“老い”と死
  1 高齢者の死
  2 わが国の高齢者死亡に関する現状
 B.終末期を迎える準備
  1 終末期に関係する用語
  2 終末期における生き方や死の迎え方の意向
  3 終末期のプロセス
  4 終末期を迎える家族の不安や負担感の軽減
  5 終末期を支えるチームアプローチ
  6 日々のケアこそがよりよい死への準備
 C.エンドオブライフ・ケア─有終の美を飾るケア
  1 終末期の身体徴候
  2 苦痛の緩和
  3 安楽へのケア―基本ケアの充足、人間らしさの保証
 D.高齢者の看取り
  1 よりよい旅立ちに向けてのコーディネイト
  2 老いの延長線上にある看取りの看護実践事例
3.家族介護者の生活支援
 A.わが国の家族形態の変遷
  1 戦前戦後の家族から現代の家族への移り変わり
  2 65歳以上の高齢者のいる世帯の移り変わりと高齢者の意識の変化
  3 介護問題に直面する家族の出現
 B.介護家族にかかわる看護職者の視点
  1 ケアの対象として家族をみる
  2 家族の個別性に応じて信頼関係を築く
  3 家族のもつ力を引き出す
  4 介護家族のアセスメント
 C.家族介護者の健康と介護力
  1 要介護高齢者と主介護者の関係からみた介護家族の葛藤
  2 介護家族のストレス
 D.介護家族の介護負担軽減に向けた社会資源の活用
  1 介護保険の利用申請
  2 ケアマネジャーとの連携
  3 介護サービスの利用
  4 インフォーマルなサービスの利用
 E.地域包括ケアの実現に向けて
  1 ケアマネジメント
  2 地域包括支援センター
  3 地域包括ケアシステム
 F.演習問題(演習(4))
4.終末期の家族支援
 A.地域で看取る
  1 在宅での看取りと家族支援
  2 在宅での看取りを行うための準備
  3 介護家族への支援
 B.急性期病院で看取る
  1 急性期病院における終末期の特徴
  2 看取りまでの家族への支援
  3 看取りを終えた家族への援助
 C.高齢者ケア施設で看取る
  1 施設で看取る家族の思い―家族の思いを知る
  2 施設に入所させている家族のグリーフケア
  3 施設で看取りを終えた家族への生活の再構築
 D.看取った家族によい余韻を残す―家族の生活の再構築
 E.演習問題(演習(5))

第IX章 生かし生かされる地域づくり
1.高齢者が安全で安心して希望をもって暮らせる地域
 A.高齢者が安全で安心して希望をもって暮らせる地域とは
 B.地域と環境
 C.環境のとらえ方
  1 物的環境
  2 人的環境
2.高齢者のさまざまな場における環境づくり
 A.治療の場(病院)と環境づくり
  1 治療の場と制度
  2 高齢者の特徴からみた治療の場
  3 治療の場の環境づくり
 B.療養生活の場(介護施設)と環境づくり
  1 療養生活の場と制度
  2 高齢者の特徴からみた療養生活の場
  3 療養生活の場の環境づくり
 C.日常生活の場と環境づくり
  1 日常生活の場と制度
  2 高齢者の特徴からみた日常生活の場
  3 日常生活の場の環境づくり
 D.演習問題(演習(6)、演習(7)、演習(8))
3.よりよい地域づくりのための多職種協働
 A.多職種協働とは
 B.予防のための多職種協働
 C.診断・治療のための多職種協働
 D.療養生活のための多職種協働
4.事例にみる高齢者が生かし生かされる地域づくり
 A.さまざまな地域づくり
  1 安心して暮らせる地域づくり
  2 高齢者と地域が相互作用する地域づくり
  3 さまざまな専門職者が高齢者を支える地域づくり
  4 豊かな療養生活を支える地域づくり
  5 高齢者による自発的な活動を通した地域づくり
  6 高齢者の社会活動を促進する地域づくり
 B.ストレングスを生かした地域づくり
  1 高齢者のストレングスを生かした地域づくり
  2 地域のストレングスを生かした地域づくり

第X章 老年看護学の課題
1.保健医療福祉制度の変革の中で変化する老年看護の役割
 A.保健医療福祉制度の変革の中で変化する老年看護の役割
  1 病院における高齢者ケアの課題
  2 高齢者ケア施設における課題
  3 在宅における高齢者ケアの課題
  4 地域における高齢者ケアの課題
 B.求められる高齢者ケア
2.高齢者ケアのパイオニアとしての展望
 A.高齢者ケアの夜明け―1970〜1980年代の頃に高齢者が置かれていた状況
 B.プライマリ・ヘルスケアから高齢者ケアの政策へ
  1 WHO/UNICEFが求める政策的アプローチ
  2 わが国の高齢者政策
  3 高齢者ケアのマンパワー教育と老年看護教育研究の高揚
 C.将来展望
  1 エンド・ステージケアに求められること
  2 高齢者ケアの担い手に求められること
  3 認知症ケアに求められること
  4 老年看護領域における看護師の役割拡大と連携に求められること
  5 データを読む力に求められること
3.国際的視野からみた老年看護学
 A.老年看護学の発展と国際比較
  1 日本と米国にみる老年看護学の発展
  2 主要国における高齢化の進展と日本の老年看護学の役割
 B.在留外国人と在外邦人の高齢者に対する高齢者看護
  1 国際的な視野に立った老年看護の基盤となる人権と倫理綱領
  2 在留外国人と在外邦人の高齢者の現状と課題
 C.来日する外国人看護・介護職者
4.老年看護学研究の発展
 A.老年看護領域における臨床研究
 B.老年看護学研究の展望
5.米国のCNS・NPからみる今後の日本のあるべきナース像について
 A.米国の高度実践看護師
 B.日本の高度実践看護師

付録 評価スケール・アセスメントツール
演習問題 解答への視点
練習問題 解答と解説
索引

高齢者は、その豊かな人生経験の中で、われわれが知らない世界や歴史を体験し、生き抜き、今あるこの時代を創ってきた人たちである。そうして今ケアの対象となっている人たちでもある。心身が衰えていくこと、様々な能力や人との関係を失っていくこと、死を迎えなくてはならないこと、それらを、高齢者を看護する者がどのように捉えていくかが、提供する看護の質に影響する。
 「老いを生きる」を支えることとは、どういうことなのか。この課題について、老年看護学を担当する各々の執筆者が自らの思索を深め、これから高齢者ケアを担う人達に向けて、執筆に取り組んだ。
本書では、老年者の自我発達に基本を置いたうえで、老年看護の目標に、(1)「健やかに老い、安らかに永眠する」を支える、(2)尊厳ある介護と看取り、(3)生かし生かされる地域づくり、の3つを掲げた。その目標に向け、高齢者が個性的に豊かな生を創造していく存在であることを信じ、それをどのように支援していくかを理解することに主眼を置く。
 本書の特長は以下にある。
 1。人間の生活や生活する力をみつめる視野をひろげ、それらを豊かにしていくための包括的な知識基盤を築く。老年看護の対象特性として、生物学的な老化とその主観的意味を理解し、高齢者政策など社会的な変化の中で高齢者を捉えていく。
 2。高齢者は長年の人生が凝集されその人らしさが形作られた存在である。そのため、からだや暮らしにも、それぞれの人によって違った老いの現れ方があり、多様性や個別性が現れている。その人らしさを受け止めていく視点を提示していく。
 3。高齢者を常に環境との相互作用に在る存在と位置づけ、個へのケア、家族を含めたケア、地域づくりという観点からのケアへと発展させていく。
 「いかなる身体条件、生活条件にあっても人間的に生きることができる、それはケアによって」
 老年看護学はその信念を育て、それを実践する具体的な看護方法を提示するものである。
 本書がそれを育むための一助となれば幸いである。
2011年6月
正木治恵
真田弘美