書籍

当直医実戦くすりマニュアル

: 梅田悦生
監修 : 実戦マニュアル編集委員会
ISBN : 978-4-524-26021-8
発行年月 : 2009年9月
判型 : B6変
ページ数 : 320

在庫あり

定価3,780円(本体3,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

『当直医実戦マニュアル』の姉妹本。時間外の薬物治療トラの巻。症状ごとに時間外治療のコンセプト、処方例と主な薬剤名を収載。薬効別便覧では「選び方と使い方のコツ」「当直現場で必要とされる安全性情報」、小児薬用量、FDAなどを解説。併用禁忌薬剤は、すべての記載に薬効分類、一般名、商品名を補った。効果がシャープな注射薬を数多く収載した。

謹告 著者ならびに出版社は、本書に記載されている内容について最新かつ正確であるよう最善の努力をしております.しかし、薬の情報および治療法などは医学の進歩や新しい知見により変わる場合があります.あまり使い慣れていない薬の使用や治療に際しては、読者ご自身で十分に注意を払われることを要望いたします.
株式会社南江堂

本書の使い方(凡例)

PART I 当直にあたっての予備知識
 1 当直での薬の使い方
 2 時間外における薬物処方の考え方
 3 当直におけるリスクマネージメント
 4 妊娠と薬
 5 小児と薬
 6 医薬品情報の理解を助けるために

PART II 症状からの対応
 1 浮腫
 2 倦怠感・全身衰弱・ぐったりしている
 3 発熱
 4 意識障害
 5 痙攣
 6 頭痛
 7 顔面痛
 8 四肢の運動・知覚麻痺
 9 四肢痛
 10 腰痛
 11 吐気・嘔吐
 12 吐血と喀血
 13 下痢
 14 下血
 15 腹痛
 16 腹部膨満
 17 黄疸
 18 動悸・息切れ
 19 呼吸困難・喘鳴
 20 咳・痰
 21 胸痛
 22 チアノーゼ
 23 排尿痛・頻尿
 24 尿閉・無尿〜乏尿
 25 血尿
 26 眼痛・視力障害
 27 急性発疹症
 28 嚥下困難
 29 鼻出血
 30 耳出血
 31 めまい
 32 精神異常・行動異常

PART III 当直医医薬品集
 1 抗菌薬
 2 抗ウイルス薬
 3 抗真菌薬
 4 副腎皮質ステロイド
 5 非ステロイド抗炎症薬と総合感冒薬
 6 抗炎症酵素薬
 7 抗アレルギー薬と抗ヒスタミン薬
 8 糖尿病治療薬
 9 痛風・高尿酸血症治療薬
 10 ビタミン製剤
 11 輸液・栄養製剤
 12 血液製剤
 13 止血薬
 14 抗血栓薬
 15 降圧薬
 16 狭心症治療薬
 17 抗不整脈薬
 18 心不全治療薬
 19 血管拡張薬
 20 利尿薬
 21 気管支拡張薬と気管支喘息治療薬
 22 鎮咳薬
 23 去痰薬
 24 健胃消化薬・胃腸機能調整薬
 25 胃・十二指腸潰瘍治療薬
 26 腸疾患治療薬
 27 下剤
 28 胆道疾患治療薬
 29 肝疾患治療薬
 30 膵疾患治療薬
 31 向精神薬
 32 抗不安薬・睡眠薬
 33 抗てんかん薬
 34 片頭痛治療薬
 35 パーキンソン病治療薬
 36 脳循環・代謝改善薬
 37 筋弛緩薬
 38 麻薬・非麻薬性鎮痛薬
 39 局所麻酔薬
 40 眼科用剤
 41 泌尿器用剤

資料 時間外診療に備えたい注射薬

索引

『当直医実戦マニュアル』の初版が世に出てから、すでに14年が過ぎた。版を重ねるごとに、多くの当直医にしかるべき情報を提供できているのだと、ひそかに誇りに感じながら今日に至った。
 今回、その改訂第5版を出版するのに際して、当直医に必要な医薬品情報に特化した書籍を著してはどうかと南江堂から打診された。著者も以前からその必要性を感じていたので、即答しお引き受けした。
 本書は、大々的に改訂中の『当直医実戦マニュアル(改訂第5版)』(2010年刊行予定)の内容に沿った形で作成した。すなわち、「PART I。当直にあたっての予備知識」、「PART II。症状からの対応」、「PART III。当直医医薬品集」の3部からなる。
 現在頻用されている常用医薬品は、一般名で3、000品目以上あり、その製品名は先発品のみでも優に5、000品目を超える。したがって、当直医が選択できる医薬品の種類も膨大な量となる。それはとりもなおさず、処方例が数限りなくあることを意味する。
 著者は熟慮の末、有用性が高く、投与に際しての危険性が少ない処方を代表処方例とし、加えて可能な限り数を制限して記載した。この代表処方例は、そのまま選択しても支障がないものであり、当直医が複数ある処方例からの選択肢に悩むよりも、そのまま使用してもよい即戦性を旨とした。ただし、当直医の選択の余地を残せるように、『当直医実戦マニュアル(改訂第5版)』に掲載する予定の医薬品は、可能な限り付記しておいた。
 当直医のなすべきことは、少なくとも現状を悪化させないように努力することである。投薬に際しては、薬に対するアレルギーの既往歴と現在使用中の薬の問診を忘れてはいけない。
 医薬品を選択するにあたり、次の点に留意することが望ましい。
 ・投与禁忌、併用禁忌、適応外使用は避ける
 ・内用薬:用量は使用適正量範囲の上限で用いる(最大量ではない)
 ・注射薬:用量は使用適正量範囲の中間量から始めて、経過をみながら増減する
 本書では、積極的に注射薬を取り上げたが、時間外診療とはいえ緊急性が少なく、軽症である判断される場合には、内用薬を使用するべく副作用が生じる確率は高いからである。加えて、内用薬、注射薬ともに可能な限り多剤併用や混合注射は避けることが望ましい。また、投与日数は最小限としたい。当直医は、翌日の常勤医までのつなぎなのである。2009年8月本郷にて
梅田悦生

本書は当直医のバイブルともいうべき『当直医実戦マニュアル』の姉妹本で、当直医の医療品情報に特化した書籍として今回新たに発刊された。多くの病院では専門外の患者も当直ではみなければいけない。また、非常勤で当直のみにいかなくてはいけない場合もある。自分の専門外の症状であろうと、妊婦であろうと、場合によっては子供であろうとも診察しないわけにはいかないのである。当直という限られた環境の中、ある程度の病態把握と応急処置をしなくてはいけない。病態把握はきちんと診察さえできれば、徐々に可能となってくる。でも治療は? となるとなかなか出てこないことが多いのではないだろうか。また、膨大な医薬品の中から使い慣れていない薬を選ぶのも大変な作業である。いつも同じ薬が使えるとは限らず、また今から使う薬がこの病態で第一に選択すべき薬かどうかが使い慣れていないとわからない。さらにいえば、当直医はあくまで最悪の状態をしのがなくてはいけないという使命があり、間違っても薬で状態を悪化させるなんていうことがあってはならない。
 本書はこういった問題をすっきり解決してくれるマニュアル本である。本書は3部に分かれていて、PART1が当直にあたっての予備知識、PART2が症状からの対応、PART3が当直医医薬品集となっている。とくにPART1ではわずか20ページに、当直での薬の使い方・考え方、リスクマネージメント、妊婦や小児の薬の使い方、医薬品情報の用語解説集がまとめられている。妊婦と小児に関しては、薬が使いにくく苦手な当直医も多いのが現状であろう。それもこの数ページを読んでもらえば解決する。たとえば妊婦と薬の項目では、妊娠の時期と薬剤の影響、FDAの5段階基準を用いた薬品そのものの安全性が細かく記載され、さらには実際妊婦にも使用可能な薬が分類名、一般名、商品名の順で表になっており、必要な点が簡潔明瞭に記載されてあり大変役立つ。また、小児に用いてもよい薬が、年齢に応じた用法用量を含めやはり実戦的に書かれている。
 このほかPART3の当直医医薬品集も特筆すべきであろう。おのおのの薬剤の基本情報にはFDA基準が記載され、重要な安全情報には併用禁忌、併用注意を記載、さらに用法用量には、小児が使用できる場合はその量と日本人小児の年齢に対する平均的な体重とその投与量が、いちいち計算しなくてもよいように表にまとめられている。簡潔でありながら、いたれりつくせりである。
 とにかく今までみたこともないような当直医マニュアルである。研修医のみならず、当直をするすべての医師におすすめである。ぜひ一度手に取ってご覧いただきたい。
評者● 野原千洋子
臨床雑誌内科105巻3号(2010年3月号)より転載