書籍

頭頸部の臨床画像診断学改訂第3版

: 尾尻博也
ISBN : 978-4-524-25829-1
発行年月 : 2016年4月
判型 : B5
ページ数 : 1000

在庫あり

定価17,280円(本体16,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

「頭頸部の画像診断と臨床の統合を図る」をコンセプトとした定本が、頁数・画像数30%増でより一層充実!!頭頸部の代表的病態について、臨床解剖から治療選択の判断、手術術式に至るまで、膨大な画像情報をもとに詳説。今改訂では画像を大幅に増補し、各章で「治療後画像評価」の項目を追加・充実させ、より実践的な実用書をめざした。また、「頸部食道」の章と「画像診断レポート」の付録を新設。画像診断医のみならず臨床医にとっても必携の一冊。

1章 眼窩
 A 臨床解剖
  1 骨解剖
  2 眼窩尖部
  3 外眼筋
  4 筋膜・腱膜および眼窩内組織間隙
  5 眼球
  6 神経解剖
  7 血管解剖
  8 涙器
 B 撮像プロトコール
  1 CT
  2 MRI
 C 疾患
  1 炎症性疾患
  2 腫瘍および腫瘍類似疾患
  3 その他
2章 鼻副鼻腔
 A 臨床解剖
 B “normal variant”とその臨床的意義
  1 Haller cell(infraorbital ethmoid cell)
  2 鼻中隔弯曲・骨棘形成
  3 篩骨篩板の骨化不全,低位,非対称性
  4 眼窩内側壁(篩骨紙様板)の骨壁欠損
  5 含気鈎状突起(uncinate bulla)
  6 concha bullosa
  7 鼻中隔内蜂巣(intraseptal air cell)
  8 含気鶏冠(aerated crista galli)
  9 蝶形骨洞と頸動脈の関係:骨壁欠損(dehiscence),洞内隔壁(intrasinus septum)
  10 蝶形骨洞の含気と正円孔,翼突管との関係,前床突起の含気と視神経の関係
  11 蝶形骨洞の外側進展
  12 視神経管頸動脈裂
  13 paradoxical turbinate
  14 眼窩上篩骨洞蜂巣(supraorbital ethmoid air cell)
  15 Onodi cell
 C 撮像プロトコール
 D 炎症性疾患
  1 病態
  2 合併症
 E 腫瘍および腫瘍類似疾患
  1 antrochoanal polyp(Killian’s polyp)
  2 若年性血管線維腫(juvenile angiofibroma)
  3 内反性乳頭腫(inverted papilloma)
  4 扁平上皮癌
  5 その他の悪性腫瘍
  6 その他の腫瘍,腫瘍類似疾患
 F 外科的療法
  1 Caldwell-Luc手術(sublabial antrostomy)
  2 ESS(endoscopic sinus surgery)
  3 上顎切除術(maxillectomy)
  4 前頭洞手術
  5 頭蓋顔面切除術(craniofacial resection)
3章 上咽頭
 A 臨床解剖
  1 粘膜・筋層解剖
  2 周囲深部組織間隙
  3 神経・リンパ経路
 B 撮像プロトコール
 C 病態
  1 炎症性疾患
  2 腫瘍および腫瘍類似疾患
  3 その他
4章 口腔
 A 臨床解剖
  1 頬粘膜(buccal mucosa)
  2 歯肉(alveolar ridge・gingiva)
  3 臼後三角(retromolar trigone)
  4 硬口蓋(hard palate)
  5 舌可動部(口腔舌;前3分の2)(oral tongue)
  6 口腔底(floor of the mouth)
 B 画像診断・撮像プロトコール
 C 病態
  1 炎症性疾患
  2 腫瘍および腫瘍類似疾患
5章 中咽頭
 A 臨床解剖
  1 粘膜解剖および深部組織間隙
  2 リンパ組織
 B 撮像プロトコール
 C 病態
  1 炎症性疾患
  2 腫瘍および腫瘍類似疾患
6章 喉頭
 A 臨床解剖
  1 喉頭粘膜面
  2 喉頭軟骨および靱帯,間膜
  3 喉頭筋
  4 粘膜下組織間隙
  5 亜区域分類
  6 神経支配
  7 血管支配
  8 リンパ支配
 B 画像診断・撮像プロトコール
  1 撮像プロトコール
  2 組織コントラスト
 C 喉頭癌
  1 一般的事項
  2 軟骨浸潤
  3 機能温存手術とその適応・禁忌
  4 内視鏡下声帯切除・経口炭酸レーザー治療
  5 声門上癌(supraglottic cancer)
  6 声門癌(glottic cancer)
  7 経声門癌(transglottic cancer)
  8 声門下癌(subglottic cancer)
  9 リンパ節転移
  10 経過観察における検査計画および局所再発の評価
 D その他
  1 喉頭瘤(laryngocele)および喉頭嚢胞
  2 炎症性・感染性疾患
  3 喉頭外傷
  4 反回神経麻痺
7章 下咽頭
 A 臨床解剖
  1 亜区域
  2 咽頭筋
  3 神経支配
  4 血管支配
  5 リンパ支配
 B 画像診断・撮像プロトコール
  1 撮像プロトコール
  2 組織コントラスト
 C 下咽頭癌
  1 一般的事項
  2 進展様式
  3 喉頭軟骨浸潤
  4 頸部リンパ節転移
  5 治療
  6 画像診断と治療計画の統合
  7 治療後画像評価
8章 頸部食道
 A はじめに
 B 解剖
  1 下咽頭輪状後部から頸部食道への移行・食道入口部
  2 食道の区分
  3 食道壁の解剖
  4 頸部食道周囲の解剖
 C 頸部食道癌
  1 臨床的事項
  2 画像診断
  3 治療
  4 経過観察
 D 周囲悪性腫瘍の頸部食道への浸潤
9章 頸部リンパ節
 A 正常リンパ組織の解剖
 B Rouviereによるリンパ節解剖
  1 後頭リンパ節(occipital node)
  2 乳突部リンパ節(mastoid node)
  3 耳下腺リンパ節(parotid node)
  4 顎下リンパ節(submandibular/submaxillary node)
  5 顔面リンパ節(facial node)
  6 オトガイ下リンパ節(submental node)
  7 舌あるいは舌下リンパ節(lingual/sublingual node)
  8 咽頭後リンパ節(retropharyngeal node)
  9 前頸または頸部正中リンパ節(anterior cervical node)
  10 側頸リンパ節(lateral cervical node)
 C 「レベル」システム
 D 「頭頸部癌取扱い規約(第5版)」によるリンパ節分類
 E 撮像プロトコール
 F 頸部リンパ節転移
  1 病理機転
  2 臨床的意義
  3 頸部郭清術
  4 頸部リンパ節転移の画像診断(扁平上皮癌)
  5 頸部リンパ節転移画像診断と治療の統合および治療後評価
  6 甲状腺癌(乳頭癌)のリンパ節転移
 G 悪性リンパ腫リンパ節病変
 H 反応性リンパ節・感染性リンパ節病変
  1 反応性リンパ節
  2 リンパ節炎・(急性)化膿性リンパ節炎(lymphadenitis・suppurative lymphadenitis)
  3 猫ひっかき病(cat-scratch disease)
  4 結核性リンパ節炎(tuberculous lymphadenitis)
  5 その他の頸部リンパ節病変
10章 頸部嚢胞性腫瘤
 A 臨床的事項
 B 先天性頸部嚢胞性腫瘤
  1 甲状舌管嚢胞(正中頸嚢胞,thyroglossal duct cyst)
  2 鰓裂嚢胞(branchial cleft cyst)
  3 嚢胞性リンパ管腫・血管リンパ管奇形[cystic lymphangioma(hygroma)/vasculolymphatic malformation]
  4 皮様嚢腫(dermoid cyst)
  5 Tornwaldt脳胞
 C リンパ節性嚢胞性腫瘤
  1 化膿性リンパ節炎
  2 嚢胞性リンパ節転移
  3 脂肪濃度の正常リンパ門(hilar fatty metamorphosis)
 D 非リンパ節性炎症性嚢胞性腫瘤
  1 頸部膿瘍
  2 がま腫(ranula)
  3 他の貯留嚢胞
 E 臓側間隙(非炎症性)嚢胞性腫瘤
  1 Zenker憩室
  2 咽頭瘤(pharyngocele)
  3 喉頭瘤(laryngocele)
 F 血管性嚢胞性腫瘤
  1 動脈瘤
  2 静脈塞栓(血栓性静脈炎)
 G その他
11章 側頭骨
 A 臨床解剖
  1 側頭骨
  2 外耳
  3 鼓膜
  4 中耳(鼓室)
  5 内耳
  6 内耳道
  7 顔面神経(第VII脳神経)
  8 耳管(auditory canal,eustachian tube)
 B 耳痛(関連痛)
 C 撮像プロトコール
 D 側頭骨術式
  1 乳突洞削開術(mastoidectomy)
  2 鼓室形成術(tympanoplasty)
  3 人工内耳(cochlear implant)
  4 側頭骨手術における重要な正常変異
 E 病態
  1 先天奇形
  2 外耳疾患
  3 中耳・乳突洞疾患
  4 内耳疾患
  5 その他
12章 唾液腺
 A 生理・臨床解剖
  1 耳下腺(parotid gland)
  2 顎下腺(submandibular gland)
  3 舌下腺(sublingual gland)
  4 小唾液腺(minor salivary gland)
 B 撮像プロトコール
 C 代表的術式
  1 耳下腺浅葉切除術(parotid superficial lobecto my)
  2 耳下腺全摘出術(total parotidectomy):deep lateral lobectomy
  3 根治的耳下腺切除術(radical parotidectomy)
  4 顎下腺切除術(submandibular gland excision)
 D 病態
  1 炎症性疾患:唾液腺炎(sialadenitis/sialoadenitis)
  2 腫瘍および腫瘍類似疾患
  3 その他
13章 頭蓋顔面・頸部外傷
 A 頭蓋顔面骨折
  1 眼窩吹き抜け骨折(blow-out fracture)
  2 鼻骨骨折(nasal bone fracture)
  3 顔面中央部骨折
  4 下顎骨骨折
 B 穿通性咽頭損傷
 C 頸部外傷
  1 頸部鈍的外傷
  2 頸部穿通性外傷
14章 神経周囲進展
 A 総論
  1 定義
  2 脳神経
  3 原発部位
  4 病変の組織型
  5 進展様式
  6 臨床的事項
  7 画像診断
 B 各論
  1 三叉神経(CN5:trigeminal nerve)
  2 顔面神経(CN7:facial nerve)
  3 三叉神経(CN5)と顔面神経(CN7)との末梢枝の吻合(communication)
  4 その他の脳神経の神経周囲進展病変
  5 neurotropic lymphoma
  6 IgG4関連疾患
15章 その他
 1 予後因子としての腫瘍容積
 2 頸動脈浸潤(carotid invasion)
 3 皮弁辺縁再発(flap margin recurrence)
付録1 画像診断レポート
 1 鼻副鼻腔
 2 上咽頭
 3 口腔
 4 中咽頭
 5 喉頭
 6 下咽頭
 7 側頭骨
 8 唾液腺
 9 その他
付録2 頭頸部の正常画像解剖アトラス
 A 眼窩・鼻副鼻腔(CT)
  (1)冠状断像(骨条件表示)
  (2)冠状断像(軟部濃度表示)
  (3)横断像(骨条件表示)
  (4)横断像(軟部濃度表示)
 B 上咽頭MRI(T2W1)
  (1)横断像
  (2)冠状断像
 C 中咽頭・口腔
  (1)造影CT横断像
  (2)MR(I T2W1)横断像
  (3)MR(I T2W1)冠状断像
 D 喉頭・下咽頭
  (1)造影CT横断像
 E 側頭骨
  (1)(左)側頭骨高分解能CT横断像
  (2)(左)側頭骨高分解能CT冠状断像
  (3)(右)側頭骨MRI true-FISP横断像
索引

序文

 本書「頭頸部の臨床画像診断学」は、2005年に初版(422頁)、2011年に改訂第2版(662頁)が出され、今般、改訂第3版の発刊に至ったものである。
 改訂第2版の発刊は、初版以降、国内にほぼ普及した多列検出器CTによるCT診断の進歩、TNM分類の第7版の発刊に加えて、頭頸部癌の治療に関して従来の外科的治療と放射線治療の本柱に、新たに化学療法、化学放射線治療(chemoradiotherapy:CRT)が3本目の柱として重要な治療の選択肢として確立されたことなど、画像診断と臨床、双方の進歩による変遷に対応するためであった。
 今回の改訂第3版の発刊は、改訂第2版以降での新たな疾患概念の出現・認識と確立、頭頸部癌治療において(分子標的薬の使用などに伴い)、さらに治療後画像診断の頻度、臨床的重要性が増してきたことなど、主に臨床の変化に応じるものであると同時に、改訂第2版で不十分、不正確であった用語や記述を補足・修正し、より実践的な活用の目的に適った実用書を目指した。
 具体的には、新たな疾患概念として、IgG4関連疾患に関して(眼窩炎症性偽腫瘍との関連を中心として)「眼窩」の章、HPV(human papillomavirus)陽性中咽頭癌に関して臨床的事項を合わせて「中咽頭」の章に追加、記載した。また、初版、改訂第2版では「頸部リンパ節転移」と、リンパ節病変は(扁平上皮癌の)転移に絞った記述であったが、改訂第3版ではリンパ節病変全般を対象とし、(炎症性を代表とする)非腫瘍性リンパ節病変の記述を追加、章名を「頸部リンパ節」に改めた。腫瘍性病変に関しては、各亜部位における進展様式(代表的な進展方向および評価すべき構造)を可能な限り画像内で示した。初版、改訂第2版では文章としてやや複雑な解剖名での記述にとどまっていたことから、理解が容易でないとのご意見・ご批判に応えたものである。頭頸部癌治療でのCRT・分子標的薬併用放射線療法(bioradiotherapy:BRT)の選択の広がりに伴い、各領域での癌に関して、治療効果判定、再発の評価を目的とする治療後画像評価の重要性が高まったことより、各章で「治療後画像評価」の項目を追加・充実させた。さらに、臨床分類、診断基準や(TNM分類以外の)病期診断に関しても追加、画像診断医のみならず臨床医にとっても実用性を高めることに努めた。これらにはIgG4関連疾患の診断基準、JESREC study、喉頭外傷の重症度分類、頸部結核性リンパ節炎の画像による病期診断、第1鰓裂.胞のOlsen分類、外耳道狭窄・閉鎖に対するJahrsdoerfer grading system、耳小骨奇形の船坂分類、JacklerやSennarogluらによる内耳奇形の分類、外耳道真珠腫の分類・病期診断、外耳道癌のPittsburgh分類(オリジナル・改訂版)、先天性真珠腫のPotsic分類、日本耳科学会用語委員会提唱の中耳真珠腫進展度分類2015改訂案、迷路炎の病期、内リンパ.腫瘍の病期診断、顔面神経麻痺におけるHouse-Brackmann分類などが含まれる。また、画像診断における重要項目を整理する目的で、代表的病態での重要な画像評価目的、画像所見を適宜「表」として追加した。これには鼻副鼻腔領域の粘液瘤、術後性上顎.腫、鼻副鼻腔癌、上咽頭癌、口腔(各亜部位)癌、中咽頭(各亜部位)癌、扁桃周囲膿瘍、下咽頭(各亜部位)癌、喉頭癌、反回神経麻痺(声帯麻痺)、頸部.胞性病変、外耳道狭窄・閉鎖、内耳・内耳道奇形、外耳道癌、弛緩部・緊張部型真珠腫、真珠腫治療前・術後評価、耳硬化症、聴神経腫瘍、耳下腺腫瘍、唾石症、眼窩吹き抜け骨折などが含まれる。
 そして、改訂第3版では「頸部食道」を独立した章、「画像診断レポート」を付録として新たに追加した。「頸部食道」の章では主に頸部食道癌のCT、MRI診断を中心に記載した。食道自体は、頭頸部画像診断医のみならず、胸部画像診断医や腹部画像診断医にとっても主な評価対象とはなりにくく、十分に記載された成書が少ない。頸部食道は当然、頸部に含まれ、頭頸部画像診断医が評価すべき領域であり、臨床医にとっても下咽頭癌や甲状腺癌など(より“頭頸部らしい”癌)の浸潤部位や、second primary cancerとして重要な領域でもある。一方、「画像診断レポート」は「画像解剖アトラス」とともに付録として巻末に載せた。正常例や代表的病態に対する実際のレポート形式の記述を掲載している。これらは私自身が実臨床で作成する報告書の記述と同一であり、諸先輩のご高覧を賜るのは恐縮の至りであるが、実践的な実用書を目指すことが本改訂の第一の目的であることから、本書の内容がどのように実際の画像診断レポートの中で機能するのか(機能させるのか)を示すため敢えて掲載することとした。不十分な記述、稚拙な表現や解釈も含まれるが、ご容赦頂きたい。
 最後に、私の頭頸部画像診断における2人の偉大なmentorであるProf.Tony Mancuso(米国フロリダ大学)と多田信平先生(東京慈恵会医科大学客員教授)、頭頸部での臨床の多くをご教示いただいた森山寛先生、加藤孝邦先生、小島博己先生、鴻信義先生を始めとする東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室の先生方、頭頸部画像診断に専従する環境を頂いた福田国彦先生(東京慈恵会医科大学教授)を始めとする当講座医局員、東京慈恵会医科大学に関わるすべての方々、家族に改めて深謝する。

2016年3月
尾尻博也