教科書

シンプル理学療法学・作業療法学シリーズ

生活環境学テキスト

監修 : 細田多穂
編集 : 村田伸/岡本加奈子/北島栄二
ISBN : 978-4-524-25822-2
発行年月 : 2016年4月
判型 : B5
ページ数 : 198

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

障害者や高齢者が在宅で快適に生活するための住環境整備を中心に、現在の住宅事情をふまえた住宅改修の方法、および福祉政策などを平易にまとめた教科書。医療専門職として生活環境整備に関する助言ができるようになることを本書全体の目標とし、障害特性からとらえた生活環境整備の例、図表も豊富に盛り込みながらコンパクトに構成した。シリーズ共通の「学習目標」「一般目標」「調べておこう」「学習到達度自己評価問題」等を掲載し、予復習にも対応。

1章 生活環境学の考え方
 A 理学療法・作業療法における生活環境学の懸念
 B 障害のとらえ方
  1 国際障害分類(ICIDH)
  2 国際生活機能分類(ICF)
 C リハビリテーションと生活支援
  1 日本における平均寿命と健康寿命
  2 高齢者の生活支援
  3 高齢者リハビリテーションの基本方針
 D 生活環境整備における理学療法士・作業療法士の役割
 E 理学療法士・作業療法士に必要な住宅改修の視点
  1 高齢者や障害者の生活機能障害を把握する
  2 高齢者や障害者の視点で考える
  3 暮らしの安全・安心の視点を重視する
  4 他職種との連携を図る
  5 住宅改修に関する説明を十分に行う
  6 動線のチェックと動作分析を重視する
  7 モニタリングと動作指導を行う
2章 日本における生活環境の特徴と課題
 A 高齢者・障害者を取り巻く生活状況
  1 日本の高齢化の特徴
  2 日本の介護問題
  3 日本の障害者の状況
  4 日本の障害者の住宅改修の実態
 B 日本式住宅(木造住宅)の特徴と問題点
  1 日本式住宅の特徴と問題点
  2 家庭内事故の発生状況
  3 高齢化の進展と住環境整備の重要性・必要性
3章 生活環境整備に関する法的制度
 A 生活環境整備に関連する諸制度
  1 住生活基本法と住生活基本計画(全国計画)
  2 高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)
 B 介護保険制度の概要
  1 基本的な仕組み
  2 制度改正
 C 介護保険制度における生活環境整備
  1 住宅改修
  2 福祉用具の貸与と販売
 D 障害者福祉施策の概要
  1 障害者基本法
  2 障害者基本計画
  3 障害者総合支援法
4章 生活環境整備の進め方
 A 生活環境整備のプロセス
  1 生活環境整備の基本検討項目
  2 生活環境の評価
 B 生活環境整備のための評価の視点
  1 生活・動作・介護予防それぞれの評価の視点
  2 生活者の動線に配慮した評価の視点
 C 生活環境整備の実践における留意点
  1 生活環境整備の留意点
  2 生活環境整備の進め方
 D 生活環境整備に関連する職種
  1 チームアプローチの重要性
  2 関連する主な職種
5章 生活環境整備の基本(1)
[段差・スペース・床材]
 A 段差の解消
  1 段差解消の方法
 B スペースへの配慮
  1 つえや歩行器での移動に必要なスペース
  2 車いすの移動に必要なスペース
  3 スペースを広くする方法
 C 床材への配慮
  1 屋内の床材
  2 屋外の床材
6章 生活環境整備の基本(2)
[手すり・建具]
 A 手すりの取り付け
  1 手すりの役割
  2 手すりの種類と特徴
  3 手すりの形状,材質
  4 手すり取り付けの留意点
 B 建具への配慮
  1 建具の種類とその特徴
  2 建具の幅員の考え方
  3 建具の取り外し,取替え時の留意点
7章 玄関・アプローチの環境整備
 A 玄関の整備
  1 玄関戸における有効幅員の確保
  2 玄関スペース
 B アプローチの整備
  1 スロープの設置
  2 階段の設置
 C 福祉用具の活用
  1 式台(上がり框の分割)
  2 玄関ベンチ
  3 可動式(携帯)スロープ
  4 段差解消機
  5 手すり
8章 廊下・階段の環境整備
 A 廊下の整備
  1 廊下の寸法
  2 車いすあたりの設置
  3 廊下の照明
 B 階段の整備
  1 階段の各名称と寸法
  2 階段整備の考え方
  3 階段の形状
  4 階段の照明
 C 福祉用具の活用
  1 手すり
  2 階段昇降機
9章 トイレの環境整備
 A トイレの整備
  1 トイレの環境整備の意義と目的
  2 トイレの環境整備の実際
 B その他の整備機器
  1 手洗い器
  2 温水洗浄便座
  3 汚物流し
  4 暖房設備
  5 ペーパーホルダー
  6 換気
 C 福祉用具の活用
  1 排泄における福祉用具の意義
  2 排泄に関する福祉用具
10章 浴室・脱衣室の環境整備
 A 浴室の整備
  1 浴室への扉の開閉と出入り
  2 浴室と介助スペース
  3 浴槽
  4 その他の設備
 B 脱衣室の整備
  1 脱衣室のスペース
  2 洗面台,洗面カウンター
  3 洗濯機・乾燥機
  4 暖房設備
 C 福祉用具の活用
  1 入浴用いす
  2 浴槽内いす
  3 シャワー用車いす
  4 入浴用リフト
  5 浴槽内昇降機
  6 浴槽ボード
  7 浴槽用手すり
  8 浴室内・浴槽内すのこ
  9 入浴マット
11章 台所・食堂の環境整備
 A 台所の環境整備
  1 台所が持つ意味
  2 台所の環境整備
 B 食堂の環境整備
  1 食堂と台所・居間
  2 配置
 C 福祉用具の活用
  1 片手で調理を行う際に使用する福祉用具
  2 片手で食事をとる際に使用する福祉用具
  3 手の力が弱い際に使用する福祉用具
12章 居間・寝室の環境整備
 A 居間・寝室への配慮
  1 居間と寝室の配置
  2 避難路
  3 居間の環境整備
  4 寝室の環境整備
 B その他の設備機器への配慮
  1 照明・色彩
  2 スイッチ・コンセント
  3 床材
  4 緊急通報装置
 C 福祉用具の活用
  1 特殊寝台とその付属品
  2 リフト
  3 認知症老人徘徊感知機器
13章 疾患別環境整備(1)
[中枢神経障害]
 A 脳血管障害
  1 脳血管障害とは
  2 屋外歩行レベル
  3 屋内歩行レベル
  4 車いすレベル
  5 寝たきりレベル
 B パーキンソン病
  1 パーキンソン病とは
  2 Hoehn&Yahr重症度分類stageI〜II
  3 Hoehn&Yahr重症度分類stageIII〜IV
  4 Hoehn&Yahr重症度分類stageIV〜V
14章 疾患別環境整備(2)
[運動器障害]
 A 脊髄損傷
  1 脊髄損傷とは
  2 玄関・アプローチ
  3 廊下・階段
  4 トイレ
  5 浴室・脱衣室
  6 その他
 B 関節リウマチ
  1 関節リウマチとは
  2 玄関・アプローチ
  3 台所・食堂
  4 トイレ
  5 浴室・脱衣室
  6 その他
 C 変形性関節症
  1 変形性関節症とは
  2 玄関・アプローチ
  3 廊下・階段
  4 トイレ
  5 浴室・脱衣室
  6 その他
15章 基本的な建築図面の読み方・書き方
 A 建築図面のルール
  1 建築図面の役割
  2 理学療法士・作業療法士が知っておくべき建築図面のルール
 B 建築図面の読み方
  1 平面図
  2 配置図
  3 フローレベル図
 C 建築図面の書き方
  1 方眼紙による平面図の作成
  2 写真の活用
 D 理学療法士・作業療法士が建築図面を見る意義
参考文献
解答
索引

序文

 現在、日本では高齢者人口が飛躍的に増加し、平均寿命ならびに健康寿命ともに世界に誇れる長寿国となった。ただし、日本の高齢者や障害者を取り巻く環境は、決して楽観視できるものではない。少子高齢化、要介護高齢者の増加、家族規模の変化(小家族化、核家族化)、老老介護の問題など状況は深刻化し、高齢者の引きこもりや虐待などに発展するケースも珍しくない。しかしながら、高齢者は障害を有したとしても、慣れ親しんだ地域、住み慣れた住居での生活を望むことは当然のことであろう。介護保険制度の基本方針においても、「利用者が要介護状態となった場合においても、可能な限り居宅において、本人の有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう配慮して行われるものでなければならない」とされている。
 われわれ理学療法士・作業療法士は、生活活動の機能に着目し、高齢者や障害者自身ができる限り自立した在宅生活を営めるよう支援することが求められている。このような社会背景のなか、シンプル理学療法学・作業療法学シリーズの1冊として、『生活環境学テキスト』が刊行されることとなった。
 生活環境とは、人の暮らしを支える環境条件の全体的な結びつきの状態を意味する。これには、人が生活していく上での環境に加えて、人の生活と密接な関係にある財産や生物が存続するための環境ということまでも範囲となる。よって、生活環境学は医療分野以外に社会学、生物学、栄養学、家政学、建築学など、様々な分野で取り扱われる学問領域である。理学療法士・作業療法士は、高齢者や障害者の生活そのものを支援する職業であることから、本書で解説する生活環境学とは、高齢者や障害者が在宅で生活するための住環境整備を中心に、現在の住宅事情から住宅改修の方法、および福祉政策などを範囲とした。
 リハビリテーションの対象者が自宅に戻り生活をはじめるには、少なからず生活環境の整備を行う必要がある。理学療法士・作業療法士は、医学的な視点で対象者の生活機能障害を分析し、その結果をもとに建築士などの他職種と連携しながら、生活環境の整備を行うことが期待されている。そこで本書は、建築関係の専門家と共通の言語で対象者の生活環境整備を検討できるような内容を盛り込み、理学療法士・作業療法士養成課程の学生にとって必要な“生活環境整備”の知識をコンパクトにまとめて解説した。さらに、国家試験はもちろん、福祉住環境コーディネーター検定試験にも活用できるよう工夫している。本書が多くの教員や学生諸氏に活用され、地域で生活する高齢者や障害者の生活支援につながることを期待する。

2016年2月
村田伸
岡本加奈子
北島栄二