教科書

看護学テキストNiCE

精神看護学II 臨床で活かすケア改訂第2版

こころ・からだ・かかわりのプラクティス

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 萱間真美/野田文隆
ISBN : 978-4-524-25764-5
発行年月 : 2015年12月
判型 : B5
ページ数 : 390

在庫なし

定価3,080円(本体2,800円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

バイオ・サイコ・ソーシャルの視点からの包括的なアセスメントとケアの展開の解説が好評だった教科書の改訂版。「精神看護学II」では実践的な内容を、豊富な具体例とイラストで解説してあり,実践の場面を想像しながら学習することが可能。患者理解のための視点をぶれずに解説してあり、ケア対象者を深く知るための考え方や看護実践モデルが身につく。精神看護実習の際にぜひ活用していただきたい一冊。

【主要目次】
はじめに
第V章 精神を病む人はどんな状態を示すのか
 1.現症(状態像)を理解しよう
  A.現症とは何か
  B.不安状態
  C.心気状態
  D.躁状態と抑うつ状態
  E.幻覚妄想状態
  F.錯乱状態
  G.緘黙状態
  H.通過症候群(健忘症候群)
  I.神経衰弱状態
  J.残遺状態
 2.精神症状とはなんだろう?
  A.精神症状をとらえるために−言語,表情,態度,行動などを観察する
  B.意識とその障害
  C.知能とその障害
  D.記憶とその障害
  E.知覚とその障害
  F.思考とその障害
  G.感情とその障害
  H.意欲・行動とその障害
  I.注意・集中とその障害
  J.自我意識とその障害
  K.性格とその障害
  L.高次脳機能とその障害(失語・失行・失認)
第VI章 対象を理解するための考え方
 1.生物学的側面から理解する−脳の構造・機能・障害
  A.脳の部位と精神機能
  B.脳の構造
  C.脳の細胞構築とその成り立ち
  D.神経伝達物質と精神機能
  E.中枢神経系と末梢神経系の違い
 2.生物学的側面から理解する−精神医学で使われる疾患の診断基準
  A.精神疾患と診断基準
  B.統合失調症と関連疾患
  C.気分(感情)障害
  D.神経症性障害,ストレス関連障害および身体症状症
  E.生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
  F.精神作用物質関連障害
  G.パーソナリティ障害
  H.器質性精神障害
  I.知的能力障害
  J.自閉スペクトラム症,注意欠如・多動症
  K.心身症
  L.起立性調節障害
 3.心理学的側面から理解する
  A.自我〜私とは何か〜
  B.自我はどのように形作られるか
  C.フロイトが発見したこと
  D.自我を守る働き〜防衛機制〜
  E.防衛機制を用いて理解するときの注意
 4.社会的側面から理解する
  A.社会的存在としての人間
  B.社会的ネットワークのなかにいる対象者
  C.対象者を社会的側面から理解する視点の提供
  D.適切な入院と脱施設化の働きかけ
 5.精神看護におけるアセスメントの特徴
  A.精神看護のアセスメントとは
  B.精神看護におけるアセスメントの具体的内容と方法
  C.精神看護のアセスメントにおける大切なポイント
 6.アセスメントに用いられる主な理論
  A.セルフケアモデル
  B.エンパワーメント理論
  C.危機理論
  D.看護師-患者関係論
  E.ストレングスモデル
  F.リカバリー
 7.精神看護におけるコミュニケーション技法
  A.コミュニケーションのむずかしさと楽しさ
  B.セルフヘルプグループ
  C.カウンセリング
  D.プロセスレコード
  E.リラクセーション
  F.コーチング
第VII章 治療にあたってどんな検査が行われるのか
 1.生物学的側面からアプローチする検査
  A.理学的検査
  B.血液生化学検査
  C.心電図検査
  D.尿検査
  E.頭部X線・CT・MRI検査
  F.頭部MRA検査
  G.脳波検査
  H.脳脊髄液検査
 2.心理学的側面からアプローチする検査
  A.知能検査
  B.人格検査(性格テスト)
  C.その他の心理検査
 3.社会機能を知る尺度
  A.社会機能とは
  B.社会機能を知る尺度
  C.尺度を活用する
  D.社会機能を評価する意味
第VIII章 治療・ケア・支援の方法
 1.生物学的側面からアプローチする治療・ケア・支援
  A.薬物療法
  B.薬物療法における看護の役割
  C.電気けいれん療法(ECT)
  D.電気けいれん療法における看護の役割
  E.身体合併症とケア
 2.心理学的側面からアプローチする治療・ケア・支援
  A.精神療法の基本
  B.特異的な精神療法
  C.心理教育
  D.認知行動療法とアセスメント
 3.社会的側面からアプローチする治療・ケア・支援
 3-1.社会復帰・社会参加の基本と働きかけ
  A.精神科リハビリテーションの概念
  B.精神科リハビリテーションの基礎
  C.医療機関におけるリハビリテーションのさまざまな技術
  D.入院と地域をつなぐかかわり
  E.包括的リハビリテーションとは
  F.今後の精神科リハビリテーションとEBP
  G.精神科外来における看護活動
 3-2.地域での自立,統合への支援
  A.障害者総合支援法とは
  B.障害者総合支援法に基づくサービス
  C.精神障害者保健福祉手帳に基づくサービスの概要
  D.その他の生活保障(障害年金・老齢年金・生活保護制度)
  E.インフォーマルなサポート
 3-3.地域における精神障害者のニーズと行政等との協働
  A.地域における精神障害者のニーズ
  B.行政との協働
  C.NPOとの協働−障害者生活支援センターの活動例
 3-4.多職種によるアウトリーチ(訪問支援)
  A.精神科訪問看護
  B.多職種アウトリーチチーム
  C.多職種アウトリーチチームにおける作業療法士の役割
  D.多職種アウトリーチチームにおけるピアサポーターの役割
 4.安全管理(セーフティマネジメント)
  A.事故防止
  B.災害とその対策
 5.家庭・学校・職場における精神看護
  A.家庭(患者と家族の精神の健康)
  B.学校(子どもと教職員の精神の健康)
  C.職場(働く人の精神の健康)
第IX章 事例から学ぶ精神疾患と看護
 1.統合失調症
  A.急性期の統合失調症
  B.在宅における慢性期の統合失調症
 2.気分(感情)障害
  A.うつ病
  B.双極性障害
 3.強迫症/強迫性障害
 4.パニック症/パニック障害
 5.アルコール使用障害(アルコール依存)
 6.摂食障害
 7.パーソナリティ障害
索引
目次

はじめに

 2010年にこの本の初版が出版されてから、5年が経ちました。5年といえば、看護を志す人が看護基礎教育を終え、少し仕事に慣れるくらいの年月です。しかし、精神保健医療福祉の領域では、いくつかの大きな変化がありました。障がい者をめぐる制度や、精神科医療に関する法律、診療報酬制度が、地域移行支援と地域定着に向けてさらに充実されました。2004年に地域移行支援への方針転換を明確に打ち出した精神保健医療福祉の改革ビジョンは2014年に評価の年を迎え、次の10年間への取り組みが始まりました。
 このような時期に精神看護学を学ぶ皆さんに、時代の状況や法律、制度を正確に伝え、さらに治療や看護ケアの考え方、展開方法を伝えるために今版から2冊の構成にしました。必要な最新の知識を整理して伝える「精神看護学I」、そして「精神看護学II」では実習など実践の場で患者さんを理解し、ケアの実践に具体的につながる内容となっています。そのため、教科書を場によって使い分けることができます。
 このボリュームは、卒業してからも皆さんの実践の疑問に的確に答えることのできる内容を含んでいます。量が多いだけではなく、オールカラーとし、イラストも増やして読みやすさにも配慮しました。
 今改訂では、実践の背骨となるストレングスモデル、リカバリーの考え方も加筆しました。また、これからの看護職は、病院でも地域ケアでも、精神保健医療福祉の場では、多くの職種とともに働くことになります。それぞれの職種には歴史と文化があり、それを理解したうえでコミュニケーションをとり、ともに相手の強みを最大限に発揮してもらえるような関係性を築く必要があります。そのため、多職種連携の項目を新設しました。
 こうした多くの知識を身につけ、じっくりと患者さんと話せるようになってほしいのです。知識が少ないと、自分自身が不安になるので、限られた知識の範囲に無理やり相手の話をあてはめようとします。知識に自信を持てると、相手の話をそのままに聞ける余裕が生まれ、範囲が広がります。誰に相談したらよいか、患者さん自身のストレングスを含めて、どんな資源が使えるかを患者さんと一緒に考えられるようになります。看護師が勝手に考えて、勝手に問題を決めつけ、勝手に解決するために知識を使うのではなく、対話ができるということが、看護師にとってはこれから益々大切になってきます。
 この新しい時代に、患者さんや多職種と対話し、ともに働くことができる看護師を育てたいと願います。この新しい教科書が、皆さんの実践の道を照らす灯となりますように。

2015年10月
編集者

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