書籍

脊椎脊髄病用語事典改訂第5版

編集 : 日本脊椎脊髄病学会
ISBN : 978-4-524-25746-1
発行年月 : 2015年5月
判型 : B6
ページ数 : 240

在庫あり

定価3,780円(本体3,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

脊椎脊髄病領域の用語の選定、定義、解説を行い、正しく論文執筆や学会発表を行えることをめざした。基本的重要用語には解説や図を付し、用語集としてだけでなく、事典としての用途を併せもつ。今改訂にあたっては新たな用語の追加や見直しを行い、さらに整形外科・脳神経外科領域での用語との整合を高めた。また構成も一新し、より検索性や利便性を高めている。

I.解剖(図示と機能解剖用語)
II.バイオメカニクス(機能解剖を含む)
III.生理学(電気生理学を含む)
IV.病態および臨床所見
V.画像
VI.疾患
VII.治療
VII.評価
IX.心理
X.付録
 1 日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準
 2 日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準
XI.索引
和文索引
欧文索引

「脊椎脊髄病用語事典」第5版刊行にあたって

 「脊椎脊髄病用語事典」は「脊椎外科用語事典」として1995年の刊行以来、5年ごとに改訂をしてきました。第4版の刊行後5年が経ち、このたび第5版をお届けできることになりました。この5年の間には、インターネットの普及によりさまざまな情報へのアクセスが容易になるとともに、学会誌がオンライン化されるなどの大きな時代の変化がありました。改訂に着手するにあたっては、本書が現在において必要であるのかという議論がありました。
 折しも専門医制度の変革期にあたり、日本整形外科学会を基盤学会とする日本脊椎脊髄病学会と、日本脳神経外科学会を基盤学会とする日本脊髄外科学会は、多くの議論を重ねた結果、協同して脊椎脊髄外科専門医という専門医制度を作ることになりました。そして両学会の努力の結果、脊椎脊髄外科専門医は日本専門医機構によってサブスペシャルティ領域として正式に認定され、これに基づき制度設計が行われ、専門医試験も準備されています。専門医を確立していくうえでは、その分野のアイデンティティーを明確にする必要があり、使用される用語を明確に規定することはその基盤ともいえます。用語事典の改訂は、この時期であるからこそ必要なものであるとの認識で作業を開始しました。
 改訂にあたり日本脊椎脊髄病学会の評議員の方々にご意見を伺い、委員会でも議論のうえ、初版当時からの、単なる用語の羅列ではなく各用語の定義、解説や重要な参考文献を付すという基本原則を維持することといたしました。章立ても継承いたしましたが、検索性を高めるために各章の中の項目はアルファベット順にし、見出し語の整理を行い、索引も充実させました。用語は近年注目を集めているものを追加するだけではなく、脳神経外科学用語集も確認し、脊椎脊髄病の専門医として知っておくべき主な用語の抜けを少なくするように努めました。表記は国際的に一般的に使われているものを原則といたしました。ただ、慣用的に使用されてきたものも少なくなく、これらにつきましては凡例にある記号をご確認いただければと思います。
 今回の改訂にあたりましては、以前に比べて多くの先生に委員として参加していただきました。すべての用語を少なくとも委員2名が詳細に検討したのち、委員全員で討議して初校を決定いたしました。かなりの議論を要した用語もあり、初版はもちろん、これまでに担当された先生方のご苦労が偲ばれました。そして校正刷を日本脊椎脊髄病学会の名誉会員、理事、監事、評議員の先生方にお送りし、頂戴したご意見を反映させて最終版といたしました。とはいえ、不備な点がまだまだあると思いますので、お気づきの点はお知らせいただければ幸いです。
 本書は、前版でも日本脊椎脊髄病学会員全員のお手元にお届けしたにもかかわらず、一定程度の売り上げがあったと伺っています。このことは本書が日本の脊椎脊髄病学の診療・研究において、重要な位置を占めていることを示しています。この改訂版が日本の脊椎脊髄病学の更なる飛躍の一助となることを祈念いたしております。
 最後に、用語委員会の各先生方の精力的かつ緻密なご努力に深謝いたします。

2015年4月
日本脊椎脊髄病学会用語委員会
委員長 加藤真介

 『脊椎脊髄病用語事典』の第5版が刊行された。本書には特筆すべき特徴が2点ある。一つは、各学会では用語集が多い中、本書ではあえて用語事典として用語の定義や簡単な解説を行っている点である。もう一つは、『脊椎外科用語事典』として1995年に初版が刊行されて以来、5年ごとに改訂されてきたという点である。このようにきちんと定期的に改訂され、しかも25年間に及び継続されている用語事典は数少ない。単に新しい用語が追加されるだけではなく、改訂を重ねるごとに事典としての完成度を高めている。一方、初版に決定された基本的方針である「正しく脊椎外科領域の医学論文が書け、学会発表が行えることを目標」、「研修医、関連領域の医師にとっては、脊椎外科の概念を学べる学習教育用として使える書物」という概念は見事に継承されている。日本整形外科学会を基盤学会とする日本脊椎脊髄病学会と、日本脳神経外科学会を基盤学会とする日本脊髄外科学会が協同して、脊椎脊髄外科専門医という専門医制度がつくられる中、この基本的方針がますます輝きを増している。この目的に沿い、脊椎脊髄病医として知っておくべき用語の抜けを少なくするために、『脳神経外科学用語集』(南江堂)の内容も確認されている。
 第4版から大きく改訂された点は、目次をみていただければ一目瞭然である。章立ては継承されているものの、検索性を高めるために各章の中の項目は整理され、アルファベット順となっている。このことにより従来よりも事典としての機能がより明確にされた感がある。
 未曽有の高齢化社会を迎え、加齢に伴う脊椎疾患に悩む患者の数は増加の一途をたどっている。また、麻酔の進歩、医療機器の開発、低侵襲手術に代表される手術手技の進歩に伴い、従来では高年齢が原因で手術できなかった患者に対しても手術を行うことが可能になった。さらに手術侵襲の大きさなどから、あまり手をつけてこられなかった著しい変性側弯症や後弯変形に対しても矯正固定術が施行されるようになってきている。特に中高年齢者の脊椎では、矢状面バランスを良好に保つことが重要とされ、数多くの脊椎骨盤パラメータが計測され用いられるようになってきた。本書ではこれらの用語に関しても網羅し、脊椎骨盤パラメータ(spinopelvic parameters)の項目のもとにまとめて解説を加えている。たとえば、pelvic incidence(PI)、pelvic tilt(PT)、sacral slope(SS)、sagittal vertical axis(SVA)などの用語であり、同時に参考文献も記載されているため、さらに詳細に調べたい者は文献をたどることが可能である。
 手術手技の進歩は手術器械の進歩なくしては語れない。従来より施行されてきた前方経路腰椎椎体間固定術(anterior lumbar interbody fusion:ALIF)は、新しい手術器械の導入により小皮切で行うことが可能になったため、最小侵襲脊椎固定術に分類される。本書では、これらの手術手技についてもlateral interbody fusion(LIF)として項目を設け、extreme lateral interbody fusion(XLIF)、oblique lateral interbody fusion(OLIF)の用語も掲載されている。
 以上の点からも、本書が5年ごとに定期的に改訂されてきた意義は明確である。昨今の脊椎脊髄病に対する診断や治療は急速に進歩しており、本書のような定期的な改訂は必須と考える。ただし、新しい用語を追加するだけでは不十分であり、本書のように読者がより使いやすくなることを念頭において改訂を重ねている点が優れていると思われる。インターネットの普及により種々の情報へのアクセスが容易になっていく昨今であるが、脊椎脊髄外科専門医をめざす医師にとっては、検索性に優れており、コンパクトな点からも脊椎外科領域の医学論文の執筆、学会発表の準備に必須の事典である。
 本書は、脊椎脊髄病の専門医だけでなく、研修医、一般整形外科医、脳神経外科医や神経内科医などの関連領域の医師にとっても、脊椎外科の概念を学べる学習教育用の書物として手元に常備しておくべき事典と考える。このことは、まさに本書が初版本から貫いてきた基本的方針にほかならない。

臨床雑誌整形外科66巻11号(2015年10月号)より転載
評者●岩手医科大学整形外科教授 土井田稔