書籍

発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂第2版

がん薬物療法時の感染対策

  • 新刊

編集 : 日本臨床腫瘍学会
ISBN : 978-4-524-25577-1
発行年月 : 2017年10月
判型 : B5
ページ数 : 96

在庫僅少

定価2,592円(本体2,400円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本臨床腫瘍学会編集によるガイドラインの改訂版。日本医療機能評価機構「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」に準拠し全面改訂を行った。発熱性好中球減少症(FN)は、造血器腫瘍・固形腫瘍の薬物療法の副作用として起こる。対応が遅れると致死的な状況に陥ることもあり、がん診療に携わる医師・スタッフは適切な対応を知っておく必要がある。評価、治療、予防の3章に分け、各章「解説(総論)+CQ」という構成で解説。また、FNに限らず、がん薬物療法時の感染症予防、ワクチン接種などの疑問にも答えている。

[FNが起こった場合の評価]
 《解説》
  1.FNの定義
  2.FN発症のリスク因子
  3.FNの原因微生物
  4.FN患者の初期検査として推奨される検査
 《CQ》
  CQ1 FNが重症化するリスク評価として,MASCC スコアは有用か?
  CQ2 血液培養を行う場合,異なる部位から2セット以上(好気性培養,嫌気性培養各1本を1セットとする)採血することは推奨されるか?
  CQ3 中心静脈カテーテル(CVC)を挿入した患者がFNを起こした場合,CVCと末梢静脈穿刺(PV)からの血液培養は推奨されるか?
[FNの治療]
 《解説》
  1.FNの経験的治療
  2.多剤耐性菌の感染対策
 《CQ》
  CQ4 重症化するリスクが高いFN患者に対して,β-ラクタム薬の単剤治療は推奨されるか?
  CQ5 重症化するリスクが低いFN患者に対して,経口抗菌薬による治療は可能か?
  CQ6 重症化するリスクが低いFN患者に対して,外来治療は可能か?
  CQ7 初期治療で解熱したが好中球減少が持続する場合,抗菌薬の変更・中止は可能か?
  CQ8 初期治療開始後3〜4日経過してもFNが持続する場合,全身状態が良好であれば,同一抗菌薬の継続が可能か?
  CQ9 FNを発症した患者に対して,G-CSF投与は推奨されるか?
  CQ10 重症化するリスクが高いFN患者に対して,ガンマグロブリン製剤の投与は推奨されるか?
  CQ11 CVCを挿入した患者がFNを起こした場合,カテーテルの抜去は推奨されるか?
[FNおよびがん薬物療法時に起こる感染症の予防]
 《解説》
  1.がん薬物療法時の環境予防策
  2.がん薬物療法レジメンごとのFN発症率
 《CQ》
  CQ12 がん薬物療法を行う場合,どのような患者に抗菌薬の予防投与が推奨されるか?
  CQ13 がん薬物療法を行う場合,どのような患者にG-CSF 一次予防は推奨されるか?
  CQ14 がん薬物療法を行う場合,どのような患者に抗真菌薬の予防投与は推奨されるか?
  CQ15 がん薬物療法を行う場合,どのような患者にニューモシスチス肺炎(PCP)に対する予防投与は推奨されるか?
  CQ16 がん薬物療法を行う場合(同種造血幹細胞移植は除く),どのような患者に抗ヘルペスウイルス薬の予防投与は推奨されるか?
  CQ17 がん薬物療法を行う場合,B型肝炎のスクリーニングは行うべきか?
  CQ18 がん薬物療法を行う場合,結核のスクリーニングは行うべきか?
  CQ19 がん薬物療法を受けている患者にインフルエンザワクチン接種は推奨されるか?
  CQ20 がん薬物療法を受けている患者に肺炎球菌ワクチン接種は推奨されるか?
索引

「発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン(改訂第2版)」発刊にあたり

 抗悪性腫瘍薬はただ投与すればよいというわけではない。投与前から投与後までの副作用対策・支持療法が重要である。これらがきちんと行われないと治療強度が落ち、効果も落ちる。すなわち患者の命を奪うことになる。一方、副作用のなかでも発熱性好中球減少症はそれだけで命にかかわる合併症であり、適切な対応が必要である。日本臨床腫瘍学会では2012年に発熱性好中球減少症のガイドラインを出版し、多くの医師に活用された。ガイドラインはエビデンスの質を評価しながら精査しエキスパートの意見を反映させてまとめ、臨床に役立てるものである。ガイドラインを目の前の患者に適応できるかどうかは個々の患者の背景や医療環境にもよるし、最終的には患者の希望も考慮し現場の医師が患者との話し合いのなかで判断することになる。ガイドラインはその質と同様に使いやすさも重要である。
 常に新しい知見がエビデンスとして創出されるためガイドラインも最新の情報を反映する必要がある。発熱性好中球減少症においても新しい薬剤およびエビデンスに対応するため、今回ガイドラインを改訂した。エビデンスの多くは欧米で創出されることが多いが、支持療法薬の用量・用法のなかには欧米のものをそのままわが国に適用できない場合もある。たとえば、低リスクの発熱性好中球減少症は経口抗菌薬でも治療可能とされており、その際に使用する抗菌薬として最もデータが豊富なのはシプロフロキサシンとアモキシシリン/クラブラン酸の併用であるが、その用量はわが国では保険承認されていない。これに対し新たにモキシフロキサシンが非劣性を示したが、まだデータが少ない。これにどのように対応するか、本ガイドラインが助けとなることを願う。
 多くの抗悪性腫瘍薬は複数のがん種に有効である。また、副作用対策・支持療法の基本はがん種によらず共通である。近年新たに登場した分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬も複数のがん種に有効性を示すが、従来の抗悪性腫瘍薬とは異なった副作用を生じる。抗悪性腫瘍薬治療では臓器・領域横断的な考え方が重要であり、特に副作用対策・支持療法ではそうである。これらに適切に対応するためには、がんの薬物療法は臓器別・領域別に行うのではなく、臓器・領域横断的にがん薬物療法のトレーニングを積んだ専門医が行うべきである。しかし、日本の現状ではがん薬物療法専門医は少なく、臓器別専門領域の医師ががん治療にあたっている場合もまだある。本書はがん薬物療法専門医のみならず、そのような臓器別の専門領域の医師にも役に立つはずである。本書がすべてのがん治療に貢献することを願ってやまない。

2017年9月
日本臨床腫瘍学会理事長
南博信