教科書

看護学テキストNiCE

災害看護改訂第3版

看護の専門知識を統合して実践につなげる

  • 新刊

編集 : 酒井明子/菊池志津子
ISBN : 978-4-524-25569-6
発行年月 : 2018年1月
判型 : B5
ページ数 : 368

在庫あり

定価2,700円(本体2,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

実践に即した災害看護テキストの改訂第3版。重要な知識や考え方を学ぶ「総論」と、専門領域別に災害看護を学ぶ「各論」で構成。今改訂では、災害医療コーディネーター制度や、ボランティア・NPO法人活動に関する内容を充実。災害対策基本法をはじめとする法制度の改正にも対応。刻々と変化する災害看護の今がわかる最新版。

第1部 総論
 第I章 災害および災害看護に関する基礎的知識
  1.災害・災害看護の歴史
   A.歴史の中で,人々は災害をどのようにとらえたか
   B.近代・現代の災害と医療・看護活動
   C.世界の災害と看護
   D.今後の課題
  2.災害・災害看護の定義
   A.災害の定義
   B.災害看護の定義
  3.災害の種類,疾病構造,災害サイクル,災害関連死
   A.災害の種類
   B.災害種類別の疾病構造
   C.災害サイクル
   D.災害関連死
  4.避難行動要支援者
   A.避難行動要支援者の定義
   B.避難行動要支援者への支援
  5.災害における連携
   A.連携とは
   B.支援医療チーム
   C.災害コーディネーター
   D.地域住民との連携
 第II章 災害発生時の社会の対応やしくみ
  1.災害に関する制度−災害対策基本法・災害救助法・防災計画など
   A.災害対策基本法および防災行政の基本制度
   B.災害の予防に関する法律と制度
   C.災害応急対策に関する法律と制度
   D.災害救助法
   E.災害復旧と復興に関する法律と制度
   F.災害時の活動の保険制度
  2.災害情報と伝達のしくみ
   A.災害情報とは
   B.災害医療活動のための情報体制
   C.災害時の通信手段
  3.災害関係各機関の支援体制
   A.日本の災害関係各機関の支援体制
   B.海外における災害関係各機関の支援体制
  4.災害時のボランティア活動
   A.ボランティア活動とは−活動前の準備
   B.創造力と柔軟性を備えたボランティア活動とは
   C.減災サイクルを生みだすボランティア活動とは
   D.期待される新たな活動
   E.今後の課題
 第III章 災害時の被災者および援助者の心理
  1.被災者および援助者のストレスとこころのケア
   A.災害はストレス事態である
   B.被災者と援助者のストレスとその反応
   C.被災者と援助者の心理的回復
 第IV章 災害各期における看護活動
  1.災害サイクル各期における看護活動
   A.超急性期(災害発生〜72時間)
   B.急性期(災害発生後72時間〜7日間)
   C.亜急性期(災害発生後7日〜1ヵ月間)
   D.慢性期(復旧・復興期)(災害発生後1ヵ月〜3年)
   E.静穏期(災害発生後3年〜)
  2.在宅療養・避難所・応急仮設住宅・災害公営住宅における看護
   A.在宅療養者への看護
   B.避難所における看護
   C.応急仮設住宅の看護
   D.災害公営住宅の看護
 第V章 災害時に必要な技術
  1.トリアージ
   A.トリアージとは
   B.具体的なトリアージ方法
   C.トリアージタグ
  2.治療・搬送
   A.治療
   B.搬送
 第VI章 病院における災害看護
  1.病院における災害への備え,初動体制,災害訓練
   A.病院における災害への備え
   B.病院における災害時の初動体制
   C.災害訓練
 第VII章 災害看護における倫理・教育・理論
  1.災害看護における倫理原則
   A.自律尊重の原則
   B.無害の原則
   C.善行の原則
   D.正義の原則
  2.災害看護における教育
   A.災害看護を学ぶ
   B.災害看護に期待される能力
   C.援助者の基本姿勢
  3.災害看護における理論
   A.災害看護における活動理論
   B.災害看護における時間論
第2部 各論
 第VIII章 対象別にみた災害看護の実践
  1.地域看護と災害
   A.平常時からの災害に対する予防活動
   B.予防活動を地域で展開するために看護職に求められる内容
   C.地域において展開する災害時の看護活動の特徴と役割
   D.地域の保健活動拠点(市町村,保健所,都道府県(本庁))における災害時の健康支援体制
  2.母性看護と災害
   A.災害時に遭遇した妊産褥婦と児の心身の状態と健康問題
   B.避難生活環境と母子
   C.災害に遭遇した妊産褥婦への看護
   D.母性看護と災害への備え
   E.さまざまなライフステージにある女性への支援
  3.小児看護と災害
   A.災害が子どもに及ぼす影響と対応
   B.災害時の子どもへの対応
   C.災害と子どものこころにもたらす影響とケア
   D.被災した子どもの家族・養育者への援助
   E.復興期・静穏期の子どもにかかわる防災に関する看護活動
   F.今後の課題
  4.高齢者看護と災害
   A.日常生活上の問題と看護
   B.健康問題と看護
  5.精神看護と災害
   A.災害時に起こりうるこころの問題とそのケア
   B.災害時の精神障害者のケア
  6.慢性期看護と災害
   A.慢性疾患看護と災害看護のかかわりの特徴
   B.災害時の慢性疾患患者への看護のポイント
   C.災害時における慢性肺疾患をもつ人への看護
   D.災害時における糖尿病をもつ人への看護
   E.災害時における慢性腎不全をもつ人への看護
   F.災害時におけるがんを持つ人への看護
   G.災害時における難病をもつ人への看護
  7.感染看護と災害
   A.災害と感染症
   B.災害時における感染症対策の基本
   C.発災後に注意すべき感染症
   D.災害における感染看護の実際
付録
 演習 解答への視点
 練習問題
 練習問題 解答と解説
索引

はじめに

 災害看護は、災害発生直後から急性期、亜急性期、慢性期(復旧・復興期)、静穏期など災害サイクル全般において、看護の対象となるすべての人々と、そのコミュニティ、並びに社会を含む看護活動である。このため、本書のタイトルは、『災害看護−看護の専門知識を統合して実践につなげる』として、2008年に初版を出版した。初版の特長は、実践的な内容をコンパクトにまとめた総論と看護学の各領域で活用しやすい各論の二部構成としたことである。
 その後、2011年の東日本大震災では、地震、津波、火災、放射線災害など複合的な被害により多数の死者、行方不明者、負傷者が発生した。過酷な生活環境により、災害関連死が増加し、被災者は長期的にいのちと生活を脅かされた。このため、2014年の改訂第2版では、東日本大震災などの災害により深まった知見や災害による教訓を活かし、今後、予想されている南海トラフ地震や首都直下地震などにも応用できるように内容を充実させた。
 2016年の熊本地震では、観測史上例のない震度7の地震が2回発生、その後も大きな余震が頻回に続き、被災者に長期的なストレスを与え続けた。地震による直接死よりも、避難環境の悪化や病院機能の停止、震災によるストレスに起因する災害関連死が多く発生した。このことにより、災害からのリスクを予測し、計画的に対応策を講じ、人々や地域社会の強靭性を高めるなど、コミュニティで暮らす人々の健康や生活をより効果的に守る対策が喫緊の課題となった。
 このため、改訂第3版では、地域包括ケア時代を目前にし、在宅で高度な医療を受けている人、心身に障がいのある人、小児や高齢者、妊産褥婦等の要配慮者のケアや避難所の健康生活支援、応急仮設住宅・災害公営住宅でのコミュニティ作りの促進など、災害サイクル全般に対する看護活動や他の専門機関と連携協力しながら行う生活支援活動に関する内容を充実させた。また、災害看護の実際を写真とともに伝えるコラム「現場発」の充実、最新の看護師国家試験出題基準への対応と練習問題の追加を行った。
 看護基礎教育の学生はもちろん、多くの看護職、2017年度に誕生した災害看護専門看護師、大学院生の方々が、発展していく災害看護を本書で学び、災害看護に関心を持ち続け、いのちと生活を守ることの大切さが伝わっていくことを願っている。本書を読まれた方々からご意見やご批判、ご指導を頂ければ幸いである。
 最後に、本書の改訂にあたっては、災害看護の実践・教育・研究に精通した多くの執筆者の方々にご参画いただいた。お忙しい中ご協力いただいた執筆者の方々には心から感謝申し上げる。

2017年11月
酒井明子
菊池志津子