書籍

マップでわかる抗菌薬ポケットブック

グラム染色による整理

: 藤田浩二
ISBN : 978-4-524-25374-6
発行年月 : 2010年10月
判型 : B6
ページ数 : 434

在庫あり

定価4,860円(本体4,500円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

整理マップによって重要な細菌をわかりやすくまとめ、どのような抗菌薬を選ぶべきかを系統立ててすばやく理解できるポケットブック。細菌の覚え方や抗菌薬の種類・特徴、ガイドラインに沿った臓器別感染症治療などもその場で確認できるよう工夫。感染症領域に携わる医療従事者必携の一冊。

I.感染症の考え方〜基礎知識の整理、特にグラム染色について〜
1.感染症の考え方
  ◎感染症かどうかの考え方:基本ルール5つ
  ◎感染症の診断から治療までの流れ〜Top to bottom approach
2.熱が出るのは感染症だけではない:熱の出る原因一覧
3.熱が出なくても感染症
4.フォーカスのわからない熱および不明熱
5.抗菌薬が効かない場合の考え方
6.エンピリック治療という考え方:抗菌薬の選び方
  ◎起炎菌名と選択薬剤名を一対一対応で覚えておく
  ◎緑膿菌の想定は? ESBLやAmpCの想定は?
  ◎緑膿菌の次、もう一段階上の院内感染菌の想定は?
  ◎MRSAの想定は?
  ◎腸球菌の想定は?
  ◎グラム陽性桿菌(Listeriaなど)の想定は?
  ◎嫌気性菌の想定は?
  ◎普通の細菌以外の想定は?
  ◎エンピリック治療のまとめ〜培養結果が出る前の基本的なイメージ
  ◎抗菌薬の守備範囲のイメージ
7.各種培養の考え方
  ◎検体採取・郵送・保存についての注意点
  ◎検体採取時の一般的注意点
  ◎各種検体採取方法と注意点:主なものを紹介
  ◎各種培養検査に関しての注意事項
8.グラム染色の使い方
  ◎グラム染色の前に〜まずサンプルの見た目で勝負
  ◎サンプルの顕微鏡的評価の仕方
  ◎喀痰に関する追加記載
  ◎穿刺液(胸水、腹水、関節液)に関する追加記載
  ◎膣分泌物に関する追加記載
  ◎グラム染色に追加する塗抹検査
  ◎培養のピットフォールとグラム染色による補充
  ◎グラム染色による抗菌薬治療効果判定を!
  ◎当たり前だが、便をグラム染色したら細菌だらけである 
  ◎ちょっと小話を
  ◎グラム染色のピットフォール
  ◎グラム染色のまとめ
  ◎最後に一言
  ◎付表:感染症法に規定される感染症の類型

II.重要な細菌の覚え方〜グラム染色を踏まえた重要な細菌の整理〜
1.グラム染色を用いた細菌の分類
  ◎グラム染色を用いて細菌を整理する
  ◎グラム染色で見える基本的な12個の形状パターン〜まず覚えるべき形
2.臨床的に重要なグラム陽性球菌
  ◎日常診療でよく出会う重要な陽性球菌〜まずレンサ球菌、腸球菌、ブドウ球菌を押さえる
  ◎院内感染対策としてもう一段階レベルを上げて注意すべきもの
  ◎代表的な起炎菌のグラム染色写真
  ◎起炎菌毎にファーストチョイスとなる抗菌薬のまとめ(感受性がある場合)
3.臨床的に重要なグラム陽性桿菌
  ◎日常診療でよく出会う重要な陽性桿菌
  ◎酸素がある場所で繁殖できる陽性桿菌:好気性菌または通性嫌気性菌
  ◎グラム陽性桿菌で重要な嫌気性菌(病原性が問題となるもの)
  ◎代表的な起炎菌のグラム染色写真
  ◎起炎菌毎にファーストチョイスとなる抗菌薬のまとめ(感受性がある場合)
4.臨床的に重要なグラム陰性球菌
  ◎日常診療でよく出会う重要な陰性球菌
  ◎代表的な起炎菌のグラム染色写真
  ◎起炎菌毎にファーストチョイスとなる抗菌薬のまとめ(感受性がある場合)
5.臨床的に重要なグラム陰性桿菌
  ◎主に呼吸器系で症状を引き起こすもの
  ◎主に胆道系、腹腔・骨盤内、尿路系で症状を起こすもの
  ◎外部から消化管に進入して症状を引き起こすもの
  ◎院内感染対策としてもう一段階警戒レベルを上げて注意すべきもの
  ◎院内感染対策として、「さらに」もう一段階レベルを上げて注意すべきもの
  ◎培養が困難で心内膜炎の原因となるもの
  ◎免疫低下者と水(淡水・海水)が絡んで起きる感染症
  ◎動物に関連するもの(人獣感染症)
  ◎第3世代セファロスポリン系に感受性があっても急に耐性化しうるもの
  ◎代表的な起炎菌のグラム染色写真
  ◎起炎菌毎にファーストチョイスとなる抗菌薬のまとめ(感受性がある場合)
6.臨床的に重要な常在嫌気性菌の整理
  ◎嫌気性菌の特徴〜基本的特徴をしっかり押さえよう
  ◎常在嫌気性菌の基本地図
  ◎横隔膜より上の重要な嫌気性菌〜代表的なのはPeptostreptococcus属
  ◎横隔膜より下の重要な嫌気性菌〜代表的なのはBacteroides属
  ◎起炎菌毎にファーストチョイスとなる抗菌薬のまとめ(感受性がある場合)
7.臨床的に重要な普通の細菌以外の微生物
  ◎起炎菌の整理
  ◎起炎菌毎にファーストチョイスとなる抗菌薬のまとめ(感受性がある場合)

III.抗菌薬の整理(1):総論〜治療に入る前の基礎知識の整理〜
1.抗菌薬の種類〜大きく3つの系統
2.抗菌薬の組織移行性
3.抗菌薬のPK(薬物動態)/PD(薬力学)理論〜用語の説明
4.薬剤熱
5.抗菌薬の投与量調節の注意点
  ◎抗菌薬投与量調節のポイント
6.殺菌性と静菌性
7.妊婦・授乳婦に注意が必要な抗菌薬
  ◎妊婦・授乳婦に対する抗菌薬使用
8.小児に対する抗菌薬投与量
  ◎小児に対する抗菌薬使用について
  ◎小児に対する抗菌薬投与量
9.抗菌薬の多剤併用
  ◎抗菌薬の意味のある組み合わせと意味のない組み合わせ
10.抗菌薬の血中濃度測定

IV.抗菌薬の整理(2):各論〜グラム染色を踏まえた抗菌薬の整理:抗菌スペクトラムマップの活用〜
 1.抗菌スペクトラムマップの使い方
  ◎薬剤毎の抗菌スペクトラムマップの読み方
  ◎薬剤毎の投与量調節表(腎機能に応じた調節)
2.ペニシリン系
 a.天然もののペニシリン系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:ベンジルペニシリンカリウム
 b.合成ペニシリン(アミノペニシリン)
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:アンピシリン、アモキシシリン
 c.緑膿菌まで手を出せるペニシリン系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:ピペラシリン
 d.βラクタマーゼ阻害薬入りの合剤ペニシリン系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(1):アンピシリン・スルバクタム
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(2):アモキシシリン・クラブラン酸カリウム
 e.緑膿菌まで手を出せるβラクタマーゼ阻害薬入りペニシリン系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:ピペラシリン・タゾバクタム
 f.黄色ブドウ球菌専用ペニシリン
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:メチシリン、クロキサシリン、ナフシリン
3.セフェム系(セファロスポリン系、セファマイシン系、オキサセフェム系)
 a.セフェム系の分類
 b.黄色ブドウ球菌やレンサ球菌に使うセフェム系(いわゆる第1世代)
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(1):セファゾリン
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(2):セファレキシン
 c.肺炎や尿路感染に使える(代表的なグラム陰性桿菌に手を出せる)セフェム系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(1):セフォチアム
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(2):セファクロル
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(3):セフォタキシム、セフトリアキソン
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(4):セフジトレンピボキシル、セフカペンピボキシル
 d.嫌気性菌に強いセフェム系(セファマイシン系+オキサセフェム系)
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(1):セフメタゾール
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(2):フロモキセフ
 e.緑膿菌まで手を出せるセファロスポリン系(一部の第3世代+第4世代のセフェム系)
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(1):セフタジジム
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(2):セフェピム、セフォゾプラン
 f.緑膿菌まで手を出せるβラクタマーゼ阻害薬入り合剤セファロスポリン系(第4世代セフェム系の一部)
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:セフォペラゾン・スルバクタム
4.モノバクタム系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:アズトレオナム
5.アミノグリコシド系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(1):ゲンタマイシン、トブラマイシン
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ(2):アミカシン硫酸塩
  ◎抗菌薬スペクトラムマップB:アルベカシン
6.カルバペネム系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:イミペネム、メロペネム
7.マクロライド系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン
  ◎各種マクロライド系の特徴の比較
  ◎起炎菌とマクロライド系の選択
8.リンコマイシン系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:クリンダマイシン
9.ニューキノロン系
 a.キノロン系の世代分類
 b.第2世代キノロン系(陰性桿菌+非定型感染)
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:オフロキサシン、シプロフロキサシン
 c.第3世代キノロン系(陰性桿菌+陽性球菌+非定型感染)
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:レボフロキサシン.ガチフロキサシン
 d.第4世代キノロン系(陰性桿菌+陽性球菌+非定型感染+嫌気性菌)
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:モキシフロキサシン
 e.キノロン系使用にあたってのポイント
10.抗MRSA薬
 a.グリコペプチド系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:バンコマイシン.テイコプラニン
 b.オキザゾリジノン系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:リネゾリド
 c.アミノグリコシド系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:アルベカシン
11.テトラサイクリン系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:ドキシサイクリン、ミノサイクリン
12.メトロニダゾール
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:メトロニダゾール
13.ST合剤
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:スルファメトキサゾール・トリメトプリム
14.クロラムフェニコール
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:クロラムフェニコール
15.リファマイシン系
  ◎抗菌薬スペクトラムマップ:リファンピシン

V.臓器別感染症の考え方
  〜グラム染色を踏まえた臓器別感染症の整理〜
1.副鼻腔の感染症(市中、院内)
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
2.中耳の感染症(市中、院内)
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
3.外耳の感染症(普通の外耳道炎、悪性外耳道炎)
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
4.咽頭・扁桃の感染症
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定(市中)
  ◎問診で起炎菌を絞るCentor's score
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
5.上気道の感染症(1):慢性気管支炎を含むCOPDの急性増悪
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
6.上気道の感染症(2):急性喉頭蓋炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
7.上気道の感染症(3):百日咳+α(しつこい咳)
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
8.肺の感染症(市中、院内)
  ◎市中肺炎のグラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎市中肺炎の診断基準・重症度判定
  ◎市中肺炎の治療
  ◎市中肺炎の培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
   (米国ガイドラインを中心に)
  ◎院内肺炎のグラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎院内肺炎・医療関連肺炎の分類、診断基準
  ◎院内肺炎の治療
  ◎院内肺炎の培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方(米国ガイドラインを中心に)
9.心臓の感染症:感染性心内膜炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎臨床所見と治療
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
10.腹腔内感染症(1):一般論として
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
11.腹腔内感染症(2):腹膜透析患者の腹膜炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
  ◎腹膜透析液内への抗菌薬混注量
12.腹腔内感染症(3):特発性細菌性腹膜炎(SBP)
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
13.腹腔内感染症(4):虫垂炎・憩室炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
14.腹腔内感染症(5):胆嚢炎・胆管炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎急性胆嚢炎、急性胆管炎の診断基準・重症度評価
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
15.腹腔内感染症(6):急性膵炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎急性膵炎の診断基準・重症度判定
  ◎APACH IIスコア
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
16.腹腔内感染症(7):二次性腹膜炎(市中、院内)
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
17.腹腔内感染症(8):腹腔内膿瘍
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
18.腹腔内感染症(9):骨盤内炎症性疾患(PID)
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
19.腹腔内感染症(10):肝・脾膿瘍
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
20.消化管感染症(1):全体像
21.消化管感染症(2):急性小腸型・大腸型・混合型
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
22.消化管感染症(3):薬剤性腸炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
23.消化管感染症(4):渡航者下痢、非感染性胃腸炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
24.消化管感染症(5):起炎菌毎の抗菌薬の選び方
 a.サルモネラ菌
 b.赤痢
 c.カンピロバクター
 d.エルシニア
 e.ビブリオ
 f.エロモナス、プレジオモナス(その他、水に関連する菌をまとめて)
 g.病原性大腸菌(外来性の各種E.coli)
 h.ランブル鞭毛虫
 i.クリプトスポリジウム
 j.各種ウイルス
 k.ピロリ菌
25.消化管感染症(6):起炎菌毎の臨床症状のまとめ
26.消化管感染症(7):免疫低下者の消化管に感染しやすい各種微生物の整理(細菌、真菌、ウイルス、原虫)
27.尿路感染症(1):市中・院内の全体像
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
28.尿路感染症(2):無菌性膿尿
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
29.尿路感染症(3):性感染症も踏まえて(前立腺炎、精巣上体炎、尿道炎、膣炎)
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
30.中枢神経の感染症(1):急性髄膜炎
  ◎骨髄炎を疑う場合の検査項目
  ◎髄液所見
  ◎年齢および基礎疾患と原因微生物
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定(新生児、乳児・幼児・学童、若年・青年・壮年、高齢者、院内、リスクファクター別に整理)
  ◎髄膜炎治療の基本
  ◎エンピリック治療:抗菌薬の選び方
31.中枢神経の感染症(2):慢性髄膜炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
32.軟部組織の感染症(1):蜂窩織炎・丹毒、壊死性筋膜炎、糖尿病性足疾患、動物・人咬傷
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定(軟部組織感染症の全体像)
  ◎蜂窩織炎・丹毒
  ◎壊死性筋膜炎
  ◎糖尿病性足疾患
  ◎動物・人咬傷
  ◎熱傷
  ◎リケッチア感染症
  ◎破傷風予防
33.軟部組織の感染症(2):手術部位感染症(SSI)
  ◎SSIの定義、リスクファクター
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定(軟部組織感染症の全体像)
  ◎SSI予防のための抗菌薬投与のタイミングと注意事項
  ◎SSI予防のためのエンピリック治療:抗菌薬の選び方
  ◎SSIが起きてしまったら
  ◎診断基準(表層切開部、深部切開部、体腔)
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
34.骨の感染症(1):骨髄感染症
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定(骨感染症の全体像)
  ◎骨髄炎
  ◎脊椎骨髄炎・硬膜外膿瘍
  ◎骨髄炎・脊椎骨髄炎における起炎菌毎の抗菌薬の選び方、処方例
35.骨の感染症(2):化膿性関節炎・反応性関節炎
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎関節液中の細胞数の分画
  ◎化膿性関節炎における培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
  ◎反応性関節炎の場合の薬物選択
36.血管・血液の感染:ライン感染
  ◎グラム染色を踏まえた起炎菌の想定
  ◎カテーテル感染症の臨床的定義
  ◎培養結果が出る前のエンピリック治療:抗菌薬の選び方
  ◎その他の注意点

参考文献
おわりに
索引

本書は医学生から研修医をはじめ、感染症治療に興味のあるコメディカルを対象に、感染症治療の基礎的な手引書として作成しております。難しい応用はこの際いったん捨てて、重要な基礎知識だけをひたすら何度も何度も繰り返し勉強するためのものです。特に本書で重視したことは「グラム染色」で、グラム染色を通して重要な微生物を視覚的に整理し、さらにグラム染色を通して抗菌薬を、そして臓器別感染症治療を抗菌薬マップを用いて整理しております。つまり、グラム染色に始まり、グラム染色に終わります。
 グラム染色を用いた細菌の整理は、従来から行われている非常に重要な概念で(グラム陽性・陰性、球菌・桿菌に分類し2×2表で整理する)、その重要性は現在に至るまでまったく変わることはありません。本書では、その古くから存在する図表にもう少し手を加え。細菌・臓器・抗菌薬の知識がグラム染色の図表を通してすべてひとつながりになることを目標としています。もちろん、感染症診療が細菌を対象とする抗菌薬の整理だけでは成り立たない(本書では真菌、ウイルス等については触れておりません)ことは筆者自身重々承知しておりますが、日常診療において、日々高確率に出会う感染症はやはり細菌感染症であり、まず感染症診療の基礎固めをするうえにおいては一番重要な分野であると考えています。
 本書においては、第1章では培養などを含めた感染症診療の基礎知識の整理を行い、第2章では感染症診療に当たって臨床的に重要な微生物を、グラム染色を通じて整理・理解できるよう構成しています。第3〜4章では感染症診療で重要な抗菌薬を、グラム染色を通じて理解した微生物と一対一対応させながら整理することを目的としています。第5章では、第1〜4章までの情報を踏まえたうえで、感染症を臓器別にグラム染色と対応させながら整理し、治療薬の選択、投与量の決定などを国内外の情報を比較しながら学ぶことを目的としています(なお、治療に関するすべての情報は絶えずupdateされているため実際の臨床診療においては各自が最新の情報を検索し、各現場の状況を踏まえたうえで治療方針を決定して頂きたく思います)。ただし、本書で書かれている内容を暗記して頂くことはほとんど必要がないと思います。本書を常に持ち歩き、必要な時にページを開き、何回も繰り返し見続けているうちに気がつけば何となくイメージを掴んでいる、そんな感じでよいと思います。
 本書を通じて一人でも多くの先生方がグラム染色に興味をお持ち頂ければ幸いです。
本書を執筆するにあたっては、津山中央病院ならびに亀田総合病院の多くの先生方のお力添えを賜りました。「おわりに」に本書の由来を記載させて頂きましたが、ご指導賜りました先生方に心より御礼申し上げます。
2010年
亀田総合病院総合診療・感染症科
藤田浩二

本書は、学生、研修医などを主たる読者対象とした、日常診療でしばしば出会う細菌感染症の診療に対する指南書である。従前、感染症学の教科書といえば、各論的、微生物学的な内容が中心のものが多かったが、最近は、よりプラクティカルな内容の、身近な教科書も増えてきた。そのような環境で感染症学を学び、著者自身が体得してきた知識だけではなく、その理解にいたるプロセスまでをも、第三者に親身に教えるがごとくまとめられている、というのが本書の特徴であろう。とりわけI〜III章までの総論的部分には、そのtipsがちりばめられている。
 本書は、グラム染色を軸としながら、細菌別、臓器別、抗菌薬別に章が展開されている。実際の感染症診療では、細菌別、臓器別、抗菌薬別の知識を、有機的に組み合わせることによって、問題を解決しようと試みられる。感染症医の頭の中では必ず行われているであろう、この縦軸の知識を横軸でつなぐ作業を、うまく記述することはなかなか容易ではない。本書では、その考え方が、グラム染色という横軸を通して、体系的にまとめられている。
 IV章では、抗菌薬の各論的な解説がなされている。抗菌薬は、たくさん覚えればよいというものではない。数多く存在する抗菌薬ではあるが、その薬理特徴によってある程度のクラスに分類できる。それぞれのクラスにおいて、抗菌スペクトラム、特徴、副反応まで十分理解したうえで的確に使用することのできる代表的薬剤を、数は少なくてよいので、各医師が確立しておくことが重要なのである。たとえば、同じ第4世代セファロスポリンのAとBという薬剤の違いを覚えようとする必要はあまりなく、むしろその労力は別のことに割くほうがよい。本書では、抗菌薬のクラスごとに、少数の、教育的かつ実践的な薬剤が、適切に選択され解説されている。ここに記載されている抗菌薬だけでよいので、自分のものにしてみるとよい。日常臨床でしばしば遭遇する細菌感染症のほとんどを、適切にマネージメントできることがわかるだろう。
 V章は、臓器別感染症の整理である。つまり、感染症を生じている臓器を決定したあと、どのような抗菌薬を、どのような考えのもとに選択していくのかが記載されている。概して、問題になっている臓器の目星がついたあと、抗菌薬を紋切り型に選択しがちではなかろうか。胆嚢炎なら○○という抗菌薬、肺炎なら××という具合である。しかし、それは条件反射ともいえる対応にすぎず、本質的ではない。その間には本来、どのような細菌(群)を標的とすべきなのか、という問題の理解が必要である。本書では、感染症を生じた臓器ごとに、想定すべき起因菌の一連が、グラム染色をもとに整理されている。そのうえで、それらの細菌群を適切にカバーすることのできる抗菌薬、すなわちエンピリックに使用することが推奨される抗菌薬について、解説が加えられている。この重要な考え方の一連がとても端的に示されており、読者の理解の助けとなるに違いない。
 全章に通じていえることは、感染症診療を行う際にとても重要な基本姿勢や知識を、そして誰もがつまずいてきたであろうポイントまでを、これから感染症を学ぼうとする人たちに伝えたいという熱意が、本書からは生き生きと感じられる、ということである。あたかも、後輩を教え育てることに心を砕く、優秀で熱心なチーフレジデントがそこにいるかのようである。
評者● 畠山修司
臨床雑誌内科107巻6号(2011年6月号)より転載