書籍

臨床呼吸器内科マニュアル

編著 : 相澤久道
ISBN : 978-4-524-25367-8
発行年月 : 2009年4月
判型 : B6
ページ数 : 330

在庫僅少

定価4,536円(本体4,200円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

呼吸器診療の現場で必要とされる知識を、分かりやすくコンパクトにまとめた研修医・若手医師向け実践的マニュアル。「呼吸器救急への対応」、「診察」、「検査」、「治療手技」、「代表的疾患の病態と治療の実際」、「主な薬剤の一覧」を章ごとにまとめ、図表を多用して明快に解説。呼吸器を専門としない内科ドクターにもおすすめの一冊。

第1章 呼吸器救急への対応
I 心肺蘇生
 1.心肺停止の定義
 2.心肺停止時の蘇生法
 3.気道確保
 4.人工呼吸
 5.心停止の管理
II 喘息発作時
 1.発作重症度の評価
 2.喘息発作の治療
III COPD増悪時
 1.COPD増悪とは
 2.COPD増悪の診断
 3.入院の適応判断
 4.COPD増悪時の治療
IV 重症肺炎
 1.重症肺炎とは
 2.重症肺炎への救急対応
V ARDS
 1.ARDSとは
 2.原因
 3.病態
 4.検査所見
 5.治療
VI 喀血
 1.喀血の原因となる疾患
 2.緊急性の判断
 3.診断および検査
 4.治療法
 5.気管支鏡検査時における喀血
VII 胸水
 1.検査と診断
 2.治療
VIII その他の呼吸不全
 1.急性間質性肺炎(AIP)および特発性間質性肺炎(IIPs)の急性増悪
 2.薬剤性間質性肺炎
 3.重症肺炎
 4.急性好酸球性肺炎(AEP)
 5.急性肺血栓塞栓症
 6.再膨張性肺水腫、その他の肺水腫
 7.肺結核後遺症の急性増悪
 8.術後呼吸不全(合併症)

第2章 診察
I 病歴聴取のポイント
 1.自覚症状
 2.社会歴、家族歴、既往歴
II 身体所見のポイント
 1.視診
 2.触診・打診
 3.聴診

第3章 検査
I 検体検査の手技と測定項目
 1.血液検査(腫瘍マーカーを含む)
 2.喀痰検査
II 呼吸機能検査
 1.スパイロメトリーとフローボリューム曲線
 2.肺気量分画(FRC)
 3.肺拡散能力
 4.クロージングボリューム
 5.呼吸抵抗
 6.新しい呼吸機能検査法
 7.簡便な呼吸機能モニター法
III 気道過敏性検査
 1.気道過敏性とは
 2.気道過敏性測定の意義
 3.気道過敏性の測定原理
 4.実際の測定
 5.その他の特異的気道過敏性検査
IV 呼気凝縮液採取法
 1.呼気凝縮液(EBC)とは
 2.EBCの回収方法
 3.EBCで測定できる気道バイオマーカー
 4.EBCの注意点
V 睡眠時無呼吸検査
 1.パルスオキシメータ
 2.簡易診断装置
 3.ポリソムノグラフィー(PSG)
VI 運動負荷試験
 1.目的と意義
 2.対象
 3.禁忌と中止基準
 4.運動負荷の方法と指標
 5.評価
 6.6分間歩行試験(6MWT)
 7.シャトル・ウォーキングテスト(SWT)
VII 気管支内視鏡検査
 1.気管支内視鏡検査(FBS)
 2.経気管支生検(TBB)
 3.経気管支肺生検(TBLB)
 4.気管支肺胞洗浄液(BAL)
 5.特殊な気管支内視鏡検査
VIII 画像検査
 1.胸部単純X線写真
 2.胸部CT写真
 3.MRI
 4.FDG-PET
 5.超音波検査
 6.RI診断法
 7.血管造影
IX 胸腔穿刺と胸膜生検
 1.胸腔穿刺
 2.胸膜生検

第4章 治療手技
I 静脈確保(末梢静脈)
 1.目的
 2.長所
 3.短所
 4.実施手順
 5.合併症
II 吸入療法
 1.吸入療法の利点と欠点
 2.吸入のエアロゾルを気道に沈着させる因子
 3.吸入薬の種類
 4.吸入方式(デバイス)の違い
 5.各種疾患における吸入療法
III 酸素療法
 1.酸素療法
 2.在宅酸素療法
IV 非侵襲的人工呼吸
 1.定義
 2.侵襲的人工呼吸の問題点
 3.原理
 4.長所
 5.短所
 6.適応
 7.導入基準
 8.方法
 9.注意点
 10.合併症
 11.在宅NPPVの現状
V 中心静脈カテーテル挿入
 1.器具
 2.実施手順
 3.合併症
VI 気管挿管と人工呼吸管理
 1.気管挿管
 2.挿管下人工呼吸
VII 呼吸リハビリテーション
 1.包括的呼吸リハビリテーションの構成要素とチーム医療
 2.呼吸リハビリテーションに必要な包括的評価
 3.呼吸練習
 4.排痰法
 5.運動療法
 6.胸郭可動域訓練
 7.ADL訓練への活用
 8.ホームプログラムの作成・維持
VIII 胸腔ドレナージと胸膜癒着術
 1.胸腔ドレナージ
 2.胸膜癒着術
IX 内視鏡治療
 1.気道確保を目的に行う治療
 2.気道確保以外の気管支鏡治療
X 抗菌薬の使い方
 1.原因菌判明時の抗菌薬の選択
 2.成人市中肺炎のエンピリック治療
 3.ICU治療肺炎
 4.院内肺炎の起炎菌と治療
 5.院内肺炎エンピリック治療の場合
 6.特殊病態下の患者
XI 抗癌剤の使い方
 1.抗癌剤の種類
 2.投与規定
 3.組織型と初回化学療法
 4.化学放射線療法
 5.高齢者の化学療法
 6.poor risk患者の化学療法
 7.2nd-line化学療法
 8.肺癌化学療法のレジメン
XII 禁煙指導
 1.喫煙関連疾患
 2.禁煙指導の進め方
 3.薬物療法
 4.行動療法
 5.保険適用による禁煙治療

第5章 代表的疾患の病態と治療の実際
 1.かぜ症候群
 2.インフルエンザウイルスA、B型感染症
 3.化膿性扁桃炎および急性副鼻腔炎
 4.急性気管支炎
 5.気管支拡張症・びまん性汎細気管支炎
 6.細菌性肺炎
 7.ウイルス性肺炎
 8.真菌感染症
 9.ニューモシスチス肺炎
 10.肺膿瘍
 11.肺結核
 12.非結核性抗酸菌症
 13.特発性間質性肺炎
 14.膠原病に伴う肺病変
 15.過敏性肺炎
 16.サルコイドーシス
 17.肺ランゲルハンス組織球症(肺好酸球性肉芽腫症)
 18.好酸球性肺疾患
 19.薬剤性肺炎
 20.放射線肺炎
 21.じん肺症
 22.気管支喘息
 23.COPD(慢性閉塞性肺疾患)
 24.過換気症候群
 25.睡眠時無呼吸症候群
 26.急性呼吸促迫症候群(ARDS)
 27.原発性肺高血圧症
 28.肺血栓塞栓症
 29.肺性心
 30.肺癌
 31.胸膜炎
 32.膿胸
 33.気胸

付録 呼吸器疾患に用いられる主な薬剤の一覧表

索引

本書は、主として初期研修から後期研修にかけて呼吸器病学を学ぶためのテキストとして編集しました。初めて患者さんを受け持ったときから、ある程度呼吸器疾患を専門的に学びたいと思う時期に役に立つように工夫しました。もちろん、初心に帰って改めて呼吸器内科学の基礎を学びたいときにも役に立つと思います。呼吸器内科がカバーする範囲は非常に広く、また様々な分野の基礎的知識を必要とします。当然、ここに書かれている内容だけで、呼吸器内科の診療全てに間に合うものではありません。本書は、呼吸器病学の最小限の知識を系統的にまとめたものであり、必要なことはさらに詳しく調べ、様々な手技を経験するための指針として用いてください。
 現代の呼吸器病学が結核病学から分かれて進歩する第一歩は、肺が「呼吸」という生命維持に不可欠な機能を営む臓器であるという認識から始まりました。また、「呼吸」を行う肺は直接外界に接するため様々な刺激に曝されているので、感染やガス・粉塵などによる障害を起こしやすい臓器です。そのため生体を防御するため免疫や代謝などの機能も活発な臓器です。さらに、肺は全身の血流が必ず通過する臓器です。このような臓器の特殊性のために、肺には多様な疾患が生じます。感染症、免疫・アレルギー疾患、腫瘍性疾患、代謝性疾患をはじめとしてその他の機能的な疾患も多く、多彩な疾患があります。したがって、呼吸器病学は生理学、生化学、病理学、微生物学などあらゆる分野にわたっていることが大きな特徴です。
 呼吸器病学のもう一つの特徴は、喘息発作や重症肺炎などの急性呼吸不全から、慢性呼吸器疾患の日常診療、慢性呼吸不全患者のリハビリテーション、終末期の緩和ケア医療などと、時系列的にみても非常に広いことです。このように呼吸器病学は、縦の軸と横の軸が大きな分野であり、その中には必ず自分が興味を持って一生やりがいのある医療や研究のテーマを見つけることができます。
 呼吸器疾患は、COPD、気管支喘息、肺癌、びまん性肺疾患、呼吸器感染症を中心として増加傾向が著しく、今後呼吸器内科医の需要がますます高くなってくると考えられています。そのような変化にも対応し、常に最先端の呼吸器内科の臨床を目指してください。多くの方が呼吸器病学に興味を持っていただくことを望みます。
2009年4月
久留米大学医学部内科学講座 呼吸器・神経・膠原病内科部門
相澤久道

このマニュアルには、呼吸器疾患の診療に必要な基礎的な原理から実際の手技の詳細まで、わかりやすく示されている。初期研修医のよい指針となることはもとより、一般内科医で呼吸器疾患に関して詳しく知りたい場合なども大変使いやすい本であると思われる。B6判で厚さも1cmくらいと手頃なサイズであることも、日常診療で頻用するのに適している。
 はじめに呼吸器救急への対応が記されているが、記述が簡潔でわかりやすい。とくに、気道確保の項では多くの写真や図版を用い、実際の手技(手順)の懇切丁寧な説明文と相俟って出色である。また、検査の項目では呼吸機能検査に関し、スパイロメトリーとフローボリュームにはじまり、肺気量分画、肺拡散能、クロージングボリュームまで、その原理から実際の測定法まで実にわかりやすく説明されている。多くの呼吸機能検査に関する書籍はその記述が難解で、不評であることが多いが、本マニュアルでは必要不可欠な項目が簡潔に、図表入りで解説されている。これまで呼吸機能検査に不得手感をおもちの先生方にぜひ一読をお勧めしたい。また、フローボリューム曲線では、実際の波形のパターンを数通り示してあり、どういった場合に再度検査を行ったらよいのかの参考にもなる。
 各疾患の治療に関しても、たとえば喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として第一選択薬となる各吸入薬のデバイスが写真入りで解説されており、はじめて来院した外来患者に使用薬を確認する場合に役立ちそうである。驚いたことに、吸入薬の粒子径の大きさと肺内沈着部位の推定といった、基礎的なことまでわかりやすく解説してある。
 気管支内視鏡検査、胸腔穿刺・ドレナージ、といった検査・治療手技に関しても実際の手順を写真入りで解説してあり、超音波気管支内視鏡検査、バーチャル気管支内視鏡といった新しい方法・技術に関しても網羅してある。さらに将来的に一般臨床応用が期待される呼気凝縮液検査(患者の呼気を−20℃で冷却し液体成分を測定する検査。気道の被覆液の成分を非侵襲的に採取でき、気管支喘息などの炎症モニタリングとして期待されている)まで、その原理と方法が記載されている点には驚かされた。生化学的検査法が遅れている呼吸器の分野で、この呼気凝縮液検査はブレイクスルーとなるべく期待されていることを考慮してのことと思われるが、臨床マニュアルでははじめての試みと思われる。
 もちろんX線やCT写真も必要に応じ掲載されているが、典型例で鮮明なものをえりすぐっている点にも、執筆者や編者の細かい心配りを感じる。忙しい診療や研究の中から、こういった良書を出版にこぎつけられた相澤久道久留米大学教授とその一門の先生方に改めて敬意を表するとともに、日常診療の必携の書としてぜひ皆様にお勧めしたい。
評者● 一ノ瀬正和
臨床雑誌内科104巻3号(2009年9月号)より転載