書籍

がん化学療法看護スキルアップテキスト

アセスメントと患者支援の総合力アップをめざして

編集 : 国立がんセンター中央病院看護部
責任編集 : 丸口ミサヱ/浅沼智恵/森文子
ISBN : 978-4-524-25363-0
発行年月 : 2009年2月
判型 : B5
ページ数 : 196

在庫あり

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

がん専門病院である、国立がんセンター中央病院看護部の研修プログラムをもとに作成された、自己学習用の研修テキスト。個人がステップ・バイ・ステップで国立がんセンター中央病院での“がん化学療法看護”を学習・研修することが可能。がん看護の質の均てん化がさけばれる現在、あなたの看護の質向上に必ず貢献できる一冊。

I がん化学療法看護総論
II がん化学療法概論I
III がん化学療法概論II
IV 臨床薬理学・薬剤情報の活用
V 抗がん剤の安全な取扱I
VI 抗がん剤の安全な取扱II
VII 急性期の副作用対策と対応
VIII 代表的な副作用対策とセルフケア支援
IX 確実・安全・安楽な抗がん剤の投与管理
X レジメンのアセスメントとセルフケア支援
XI セルフケア支援に活かす患者教育と情報・資源
XII 意思決定の支援とチーム医療
XIII 外来化学療法の実際
付録:研修のモデルプラン(概要)と評価

平成18年に厚生労働省は、がん医療の均てん化を図ることを目標に、がん対策基本法の制定ととともに、がん対策推進基本計画を公表した。計画の1つに、放射線療法、化学療法の推進、これらを専門的に行う医師等を育成し、すべての拠点病院で放射線療法、外来化学療法を実施できるようにすることがあげられている。これに伴って、国立がんセンターがん対策情報センターのがん対策企画課研修推進室では、がん診療連携拠点病院の看護師を対象にしたがん化学療法看護についての研修も実施している。
 がん化学療法は、すでに確立されたレジメンもあれば、まだ研究段階のレジメンも多く、それらのレジメン以外に各施設、あるいは担当医師によって治療の方法が異なっていることもあり、まだ、標準的な治療法が全国に浸透しているとは言い難いようである。そのようながん医療の環境の中で、化学療法に携わっている看護師も、施設の状況によって、どのような知識と技術が必要かという認識は異なっているのではないかと考える。治療を受ける患者にとっては、どの施設においても標準的な治療や看護を受けることができなければならない。しかし、現実には、まだどこの施設においても同じ治療や看護が受けられるとは限らない。
 同じレベルの看護の知識・技術を習得するためには、一定のプログラムに基づいた学習が必要であると考え、平成18年度厚生労働省科学研究費補助金(がん臨床研究事業)により「地域がん診療拠点病院の機能向上に関する研究−地域がん診療拠点病院の連携、研修教育システムの樹立に関する研究−がん看護(がん化学療法看護)」(分担研究者:平出朝子 前国立がんセンター中央病院看護部長)を行い、その研究過程で作成した講義のテキストをもとにこの本の作成をすることになった。そのテキストの内容は、国立がんセンター中央病院で行っている院内教育のがん看護専門プログラム「がん化学療法看護コース」の講義内容をもとに作成された。そして今回、この本を出版するにあたり、講義を担当しているがん看護専門看護帥、がん化学療法看護認定看護師、がん専門薬剤師がそれぞれの項目にさらに加筆した。
 がん化学療法を受ける患者は、抗がん剤の副作用による苦痛だけではなく、不確実な自分の将来に対する不安も抱えながら生活しなければならない。また、それまでの生活の仕方を変えざるをえない状況にもなってくる。そして、病気の経過によってたびたび治療の選択を迫られることもある。このような患者に対しては、化学療法を受けている時に必要な薬物に対する知識だけでなく、がんを抱えて生活していく患者を支援するための知識・技術も必要になってくる。
 以上のようなところに視点をおいて、このテキストは構成されている。内容は、がん化学療法に関する基本的知識、抗がん剤に対する知識やその取り扱いに対する技術、副作用とその予防・対応、確実・安全・安楽な抗がん剤の投与管理、患者の意思決定とセルフケアへの支援、外来での化学療法の実際という構成になっている。最後に付録として、各施設での研修に、このテキストを役立てていただければという思いで、研究事業で行った研修プログラムも入れている。各施設で研修会をされる場合には、ぜひ参考にしていただきたい。また、本書は各自でさらに学んでいくための参考書としても十分活用していただきたいと思う。
2009年1月
国立がんセンター中央病院看護部長
丸口 ミサヱ
(抜粋)

がん医療の地域格差をなくすために、専門的な知識および技能を有するがん医療従事者の育成は急務である。がん化学療法看護のスペシャリストであるがん化学療法看護認定看護師の教育機関は2009年に全国で9ヵ所となり、本学も今年度から養成を開始したところである。そのようなときにこの本を読ませていただき、その内容の充実に驚いた。この本は、がん看護専門看護師の森文子さんをはじめ国立がんセンター中央病院のがん化学療法看護認定看護師の方々が、地域がん診療連携拠点病院の機能向上に関する研究の一環として看護師を対象とした研修会を開催し、その際に作成したテキストをもとに書かれている。したがって単なるHow to本とは違い、根拠と実践に基づいたがん化学療法看護の知識が詰まっており、がん化学療法看護に携わる看護師が何をどの程度学ぶことが必要かという検討が十分になされている本といえる。
 内容は、一般的ながん化学療法看護の知識に加え、がん化学療法の作用機序や特徴、臨床薬理の基礎知識、抗がん剤の安全な取り扱い、確実・安全・安楽な抗がん剤の投与管理についての知識や技術などがていねいに解説されている。そして、がん化学療法を受ける患者へのセルフケア支援の意義や重要性が随所で取り上げられており、患者・家族を支える看護師に求められる姿勢に気づくことができる。
各ページには学びを助けるポイントが示されており自己学習に適しているほか、研修のモデルプランが付録としてついていることも本書の特徴である。各施設で開催する研修会や勉強会のプログラムづくりにとても参考になるだろう。
 がん化学療法看護を本格的に学びたいと思っている方に、まずこのテキストを読んでいただきたい。がん化学療法看護の奥深さが伝わると思う。そこから好奇心や探究心が生まれ、さらに学習したいと思わせる一冊である。
評者●石岡明子
がん看護14巻6号(2009年9月号)より転載