書籍

新スポーツトレーナーマニュアル

編集 : 武藤芳照/鹿倉二郎/小林寛和
ISBN : 978-4-524-25361-6
発行年月 : 2011年8月
判型 : B6
ページ数 : 484

在庫あり

定価5,076円(本体4,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

スポーツトレーナーやスポーツ指導に携わる人々を対象に、医療面だけでなく栄養面・心理面にいたるまで、指導の現場で必須の知識を包括的に学べる手引書。スポーツ指導を取り巻く制度の変化や職域の拡大に伴って内容を全面的に刷新、競技スポーツのみならず健康増進のサポートや指導も含めたスポーツ全般の知識を網羅。スポーツ指導に携わる人がまず手に取るべき入門書。

第I部 スポーツトレーナーとは
1.スポーツトレーナーの役割と位置付け
2.諸外国におけるスポーツトレーナーの歴史と現状・課題
 A.米国
  1 歴史
  2 National Athletic Trainers’Association(NATA)
  3 教育プログラム
  4 資格認定制度
  5 課題
 B.カナダ
  1 アスレティックセラピスト(CAT(C))とは
  2 CAT(C)への道
  3 CATA公認検定試験のガイドライン
  4 資格維持のために
 C.ヨーロッパ
  1 トレーナーの現状
  2 スポーツ理学療法士(スポーツPT)
  3 国際スポーツ理学療法士連盟(IFSP)
 D.World Federation of Athletic Training and Therapy(WFATT)
  1 WFATTとは
  2 WFATTの活動目的
3.日本におけるスポーツトレーナーの歴史と現状・課題
 A.日本体育協会アスレティックトレーナー
  1 公認スポーツ指導者育成制度
  2 公認アスレティックトレーナー養成事業
  3 現状と課題
 B.日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者
  1 日本トレーニング指導者協会の概要
  2 日本トレーニング指導者協会の資格認定制度
 C.健康運動指導士・健康運動実践指導者
  1 健康づくりのための運動を指導する者
  2 少子高齢社会で期待される役割とは
  3 健康づくりのための運動指導者の取得方法

第II部 スポーツトレーナーのための基礎知識
1.スポーツトレーナーの活動に必要な知識と基本技術
  1 スポーツトレーナーの業務
  2 スポーツトレーナーに必要な基礎知識
  3 スポーツトレーナーに必要な技術
2.スポーツトレーナーとして整理しておきたいキーワード
3.運動器の機能と解剖
  1 骨の形態と機能
  2 関節の運動と構造
  3 腱・靱帯の構造と機能
  4 骨格筋の構造と機能
4.アスレティックリハビリテーションの基礎知識
  1 アスレティックリハビリテーションにおけるスポーツトレーナーの役割
  2 アスレティックリハビリテーションにおける評価の考え方と方法
  3 アスレティックリハビリテーションでよく用いられる手技
5.食事・栄養
  1 トレーニング期の食事
  2 試合前の食事
  3 サプリメント(栄養補助食品)の利用や注意点
6.スポーツ心理
 A.トレーナーによる心理的アプローチ
  1 トレーナーと心理的な問題の関わり
  2 スポーツ選手が抱える様々な心理的な問題
  3 心理的な問題が起こる原因
  4 心理的な問題へのトレーナーによるアプローチ
  5 今後への課題
 B.競技スポーツ
  1 スポーツトレーナーに必要なスポーツ心理学の知識
  2 競技人生を「人生のなかの一部分」と捉えるキャリアトランジション
  3 トレーナー自身に必要な心理
 C.健康スポーツ
  1 健康スポーツとは
  2 健康スポーツの心理的効果
  3 健康行動としての健康スポーツへの心理学的介入
  4 心理的発達段階に応じた指導と生涯スポーツ
 D.運動器の痛みと心理的要因
  1 原因のわからない痛み
  2 トレーナーにできる痛みに対する心理的な指導
7.測定と評価
 A.メディカルチェック―整形外科系
  1 障害のスクリーニング
  2 障害の早期発見
  3 身体特性のスクリーニング
  4 身体動作の確認
  5 フィットネスチェック
 B.メディカルチェック―内科系
  1 メディカルチェックとは
  2 メディカルチェックの実際
  3 コンディショニングとしてのメディカルチェック
 C.体力測定
  1 体力測定の意義
  2 体力測定の実際
  3 体力測定の注意点
  4 フィードバックの重要性
 D.形態・身体組成測定
  1 形態測定
  2 身体組成
8.ドーピング
  1 ドーピングとは
  2 ドーピング禁止薬物および禁止方法
  3 競技会時検査と競技会外検査
  4 ドーピング防止規則違反(WADA code 2009第2条)
  5 治療目的使用の除外措置(TUE)
  6 トレーナーの役割
9.スポーツにおけるリスク管理
  1 リスクマネージメントとは
  2 リスクマネージメントから見た事故・傷害予防

第III部 コンディショニングの理論と実践
1.コンディショニングの概要とその構成
  1 スポーツにおけるコンディショニングの意味
  2 コンディショニングの変遷
  3 コンディショニングの構成要素
2.各種エクササイズの基礎知識とその実際
 A.ストレッチング
  1 ストレッチングの目的
  2 各種ストレッチング
 B.筋力トレーニング
  1 筋力トレーニングの有用性
  2 筋力トレーニングのプログラムに関する基本事項
  3 筋力トレーニングの実技に関する基本事項
 C.エアロビクス(有酸素運動)
  1 エアロビクス(有酸素運動)に関する基礎知識
  2 代表的なエアロビクス(有酸素運動)の特色
  3 エアロビクス(有酸素運動)の実際
  4 エアロビクス(有酸素運動)の留意点
 D.バランスエクササイズ
  1 バランスとは
  2 バランスエクササイズのプログラミング
  3 バランスエクササイズの実際
  4 競技復帰に向けた専門的バランスエクササイズ
  5 バランス能力に影響を与える要因
 E.コーディネーションエクササイズ
  1 コーディネーション能力
  2 エクササイズプログラムに際して
  3 コーディネーションエクササイズの実際
 F.アジリティエクササイズ
  1 アジリティとは
  2 アジリティに求められる要素
  3 アジリティエクササイズ構成の代表的な基本要素
 G.アクアエクササイズ
  1 アクアエクササイズとは
  2 アクアエクササイズによるコンディショニング理論
  3 アクアエクササイズによるコンディショニング実践
3.その他のコンディショニング方法の基礎知識とその実際
 A.マッサージ
  1 スポーツマッサージの目的と分類
  2 スポーツマッサージ実施上のポイント
  3 スポーツマッサージの生理的作用
  4 スポーツマッサージの禁忌
  5 スポーツマッサージの基本手技
 B.アイシング
  1 冷却による効果
  2 アイシング時間
  3 アイシングの実際
  4 注意事項
 C.テーピング
  1 テーピングとは
  2 テーピングの目的
  3 テーピングの効果
  4 テーピングにおける注意事項
  5 テーピングを実施する際の準備および注意
  6 テーピングの基本形

第IV部 現場でよくみられる外傷・障害・事故への対処方法
1.救急処置
 A.頭部の外傷
  1 頭部や顔面からの出血に対する処置
  2 意識レベルの確認
  3 神経症状の経時的変化の記録
  4 現場からの移送時の注意(頸椎損傷の合併)
  5 救急車が到着するまでの処置
 B.脊柱の外傷
  1 脊柱の構造
  2 脊髄損傷時の症状
  3 脊椎・脊髄損傷の原因
  4 受傷現場において患者を移送する際の注意点
 C.内科的疾患―熱中症を中心に
  1 運動中の内科的救急疾患
  2 熱中症とは
  3 ヒトの体温調節
  4 運動時の発汗量
  5 熱中症の種類と症状
  6 熱中症の救急処置
  7 熱中症の予防法
 D.皮膚の問題
  1 外傷
  2 感染症
  3 スポーツにおける皮膚アレルギー疾患
2.スポーツ外傷と障害
 A.肩のスポーツ外傷と障害
 A-1.肩のスポーツ外傷
  1 メカニズム
  2 応急処置
  3 アスレティックリハビリテーション
  4 再発予防
 A-2.肩のスポーツ障害―投球障害肩を中心に
  1 メカニズム
  2 アスレティックリハビリテーション
  3 再発予防(局所的)
 B.肘・手関節・手のスポーツ外傷と障害
 B-1.肘・手関節・手のスポーツ外傷
  1 肘内側側副靱帯(MCL)損傷・肘過伸展損傷
  2 手関節捻挫
  3 いわゆる突き指
 B-2.肘・手関節・手のスポーツ障害
  1 野球肘
  2 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
  3 遠位橈尺関節障害
 C.膝のスポーツ外傷と障害
 C-1.膝のスポーツ外傷
  1 膝前十字靱帯(ACL)損傷
  2 膝内側側副靱帯(MCL)損傷
  3 半月板損傷
  4 膝蓋骨(亜)脱臼
 C-2.膝のスポーツ障害
  1 ジャンパー膝、鵞足炎、腸脛靱帯炎、膝蓋大腿関節症など
 D.足部・足関節のスポーツ外傷と障害
 D-1.足部・足関節のスポーツ外傷
  1 足関節捻挫
  2 腓骨筋腱脱臼
  3 足関節果部骨折
 D-2.足部・足関節のスポーツ障害
  1 足部の疲労骨折(舟状骨)
  2 足底腱膜炎
  3 外反母趾
 E.大腿部のスポーツ外傷と障害
  1 大腿部打撲
  2 いわゆる肉離れ
 F.下腿部のスポーツ外傷と障害
  1 シンスプリント
  2 脛骨疲労骨折
  3 アキレス腱の障害
  4 アキレス腱断裂
 G.腰部のスポーツ外傷と障害
  1 腰部のスポーツ外傷・障害
  2 診断、治療
 H.骨盤帯・股関節のスポーツ外傷と障害
  1 構造と機能
  2 スポーツ外傷と障害

第V部 性・年齢に関連した対処方法
1.発育期
  1 発育期のスポーツ指導におけるトレーナーの役割
  2 発育期の特徴
  3 発育度に応じた指導の原則
  4 発育時のスポーツ指導を開始する際に注意すべき点
2.中高年
  1 中高年齢者の特色
  2 中高年齢者のリスクならびに加齢性変化と運動にあたっての注意点
3.女性
  1 女性の身体特性
  2 女性の内分泌学的特性
  3 社会的・文化的性差と心理的特性

第VI部 内科的疾患への対処方法
1.内科的疾患に対するトレーナーの役割
  1 疾患発生の予防
  2 疾患の発見
  3 疾患発生の際の対処
  4 医薬品の使用
  5 一時救命処置(BLS)
2.各内科的疾患への対処方法
 A.熱中症
  1 熱中症とは
  2 熱中症への対処法
 B.オーバートレーニング症候群
  1 オーバートレーニング症候群とは
  2 オーバートレーニングの対処法
 C.かぜ・気管支喘息
  1 かぜとは
  2 インフルエンザ
  3 気管支喘息
 D.貧血
  1 貧血とは
  2 貧血の原因
 E.不整脈
  1 不整脈とは
  2 不整脈の発見
  3 検脈の仕方
  4 触診だけである程度わかる不整脈
  5 不整脈を持つ競技者を担当する際の注意点
3.海外遠征に伴う健康管理
  1 旅行者下痢症
  2 エコノミークラス症候群(ロングフライト血栓症)
  3 時差ボケ
  4 感染症対策
  5 その他

第VII部 各種スポーツ種目におけるスポーツトレーナーの役割と注意点
1.スポーツ種目特性とスポーツトレーナーの役割(総論)
  1 スポーツ外傷の多いスポーツ競技種目
  2 スポーツ障害の多いスポーツ競技種目
  3 スポーツ競技種目特性に対応したトレーナー活動の必要度
2.種目別外傷・障害の特徴とスポーツトレーナーの役割・注意点
 A.陸上競技
 A-1.外傷・障害の特徴
  1 競技種目と外傷・障害
  2 発生要因と外傷・障害の種類
  3 陸上競技における外傷発生の場面
  4 種目特有の動きと障害
 A-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
  1 大会主催者トレーナー
  2 ナショナルチームのトレーナー
  3 チームトレーナー(実業団や大学などの団体)、個人サポートトレーナー
 B.水泳
 B-1.外傷・障害の特徴
  1 競泳
  2 シンクロナイズドスイミング
  3 飛び込み
  4 水球
 B-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
  1 トレーナーの役割
  2 トレーナーの注意点
 C.野球
 C-1.外傷・障害の特徴
  1 外傷・障害の内的要因
  2 外傷・障害の外的要因
 C-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
  1 内的要因に対するトレーナーの役割
  2 外的要因に対するトレーナーの役割
  3 スポーツトレーナーの注意点
 D.バスケットボール
 D-1.外傷・障害の特徴
  1 競技特性
  2 外傷・障害の特徴
  3 多くみられる外傷・障害の発生機転
 D-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
  1 コンディショニング
  2 怪我を予防するトレーニング
 E.バレーボール
 E-1.外傷・障害の特徴
  1 外傷
  2 障害
 E-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
  1 外傷予防のヒント
  2 障害予防のヒント
 F.サッカー
 F-1.外傷・障害の特徴
 F-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
  1 スポーツトレーナーの活動、役割の実際例
  2 トレーナーの注意点
 G.ラグビー
 G-1.外傷・障害の特徴
  1 競技特性および外傷の発生機転
  2 外傷の特徴
  3 スクラムでの外傷
  4 ラインアウトでの外傷
  5 モール・ラックでの外傷
  6 ランニング中の外傷
  7 その他の外傷・障害
 G-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
  1 スポーツトレーナーの役割
 H.体操競技
 H-1.外傷・障害の特徴
 H-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
 I.チアリーディング
 I-1.外傷・障害の特徴
 I-2.スポーツトレーナーの役割と注意点
  1 競技大会での救護活動
  2 チームに帯同する際の役割
 J.アルペンスキー
 J-1.外傷・障害の特徴
 J-2.スポーツトレーナーの役割と注意点

第VIII部 スポーツトレーナーの多様な役割と注意点
1.競技会別
 A.国内の競技会
 A-1.秋季国体―大分国体ホスト県
  1 開催県の選手のサポート
  2 大会会場でのサポート
 A-2.高校生の大会―高校野球
  1 経緯
  2 内容
  3 運営
  4 展望
 A-3.低年齢層の大会―リトルリーグ
  1 リトルリーガーの外傷の要因と対応
  2 リトルリーグに対するトレーナー―役割と注意点
  3 リトルリーガーへの外傷予防対策―組織的活動の例
 B.国際大会
 B-1.総合競技大会のホスト国として―長野オリンピック
  1 長野オリンピック、パラリンピック冬季競技大会に向けての準備過程
  2 長野冬季オリンピック、パラリンピック競技大会期間中の活動
 B-2.総合競技大会の参加国として―北京オリンピック
  1 北京オリンピックの概要
  2 事前準備
  3 大会中の本部メディカルの活動内容
  4 総合競技大会でのトレーナーサポートの特徴
 B-3.単独競技大会のホスト国として―大阪世界陸上
  1 大会概要
  2 事前準備
  3 活動内容
  4 トレーナーの組織運営の活動内容:人材の確保と配置
  5 利用状況
  6 問題点
 B-4.単独競技大会の参加国として―サッカードイツワールドカップ
  1 大会の概要
  2 スポーツトレーナーの役割
2.スポーツイベント別(含む健康スポーツ)
 A.学校現場(スクールトレーナー)
 B.障害者スポーツ
  1 障害者スポーツの特性
  2 遠征などの移動による特性
  3 自己管理指導
 C.健康増進のスポーツ現場
 D.企業における健康増進
  1 概要
  2 活動内容
  3 今後の課題

第IX部 付録
付録1.スポーツトレーナー施設
 A.トレーナールーム
 B.アスレティックリハビリテーションルーム
 C.ウエイトトレーニングルーム
  1 ウエイトトレーニングルームの設計
  2 ウエイトトレーニングルームに設置する器具の選定と配置
付録2.コンディショニング用品
  1 バーベル
  2 ダンベル
  3 ベンチ
  4 ラック
  5 プラットフォーム
  6 トレーニングマシン
  7 トレーニング用チューブ
  8 メディシンボール
  9 心拍数計測記憶装置(HRモニター)
  10 自転車エルゴメータ
  11 アクアエクササイズ用品
  12 セルフケア用品
付録3.スポーツトレーナーに必要な用具と備品
 A.競技別防具一覧
  1 サッカー
  2 野球
  3 ラグビー
 B.トレーナーズバッグ
  1 日常使用する消耗品・備品類
  2 緊急時に使用する備品類
 C.テーピング用テープ
  1 テーピング用テープの種類
  2 テーピング用テープの特性
  3 巻き戻し張力
 D.スポーツ用装具とサポーター
  1 スポーツ用装具とサポーターの目的
  2 装具とサポーターの種類
  3 装具やサポーターに必要な要素
  4 選択する際の注意事項
付録4.コンディショニング管理に必要な備品
 A.コンディショニングチャート
 B.アイシング用品
  1 氷のタイプ
  2 各種アイシング方法に用いる用具

索引

こどもから高齢者まで全てのライフステージの一人ひとりが自らの運動器健康管理の重要性を認識し、これを積極的に推進する社会の実現を目指して、世界保健機構(WHO)の支援を受けて「運動器の10年」世界運動が97カ国の参加を得て2000年にスタートした。我が国に於いても、運動器に関る医学団体・日本体育協会などスポーツ団体・患者の会や医療関係団体の計58団体が参加し「運動器の10年」日本委員会が組織され、運動器の健康を守る多くの事業が各地で広く展開されている。重点事業である「児童・生徒のスポーツ障害及び運動器疾患・障害の早期発見と予防のためのモデル事業」および「高齢者の生活機能低下を防止し健康寿命延伸を目指す事業」は、他国にみられない我が国オリジナルな活動的事業であり高く評価されている。国も「健康日本21」や「新健康フロンティア戦略10ヵ年計画」の柱のなかに「スポーツ力の向上」および「運動器力の向上」を掲げると共に、中央教育審議会の答申の中に子どもの現代的健康課題の一つに運動器疾患・障害を組み入れるなど、運動器健康推進を支援している。
 1996年に発刊されこれまでに高い評価を受けて来た本書『スポーツトレーナーマニュアル』が今回内容を刷新し、競技スポーツのみならず、健康スポーツ・健康増進サポートにも貢献出来るよう改訂される運びになったことは、「運動器の10年」の立場からも極めて意義深いことである。内容面も極めて充実したものであり、基礎知識、コンディショニングの理論と実際、現場での外傷・障害・事故への対処方法、スポーツ種目別の役割や注意点など、最新の科学的知識と具体的な技術指導が網羅され解説されている。
 スポーツこそ「運動継続の推進力」である。スポーツトレーニングに関る全ての職種の方々、並びにスポーツトレーナーを目指す若い人たちが本書で学び、外傷や痛みに脅かされることなく、楽しみながらスポーツ力を向上させ、国民の一人ひとりが健康で幸せに活動できる社会の実現に貢献されることを強く願うものである。
2011年6月
一般財団法人運動器の10年・日本協会理事長
高知医科大学名誉教授
山本博司

なでしこJAPANの女子サッカーワールドカップ優勝などの明るいニュースは、未曾有の大震災および原発事故に遭遇し、悲惨な状況にあった日本を大いに勇気づけた。これら観るスポーツのみならず、国民のスポーツ活動への関心は急速に高まっており、スポーツ人口は急増している。スポーツの種類も競技スポーツから生涯スポーツ、さらに健康スポーツへと広がり、それに伴ってスポーツ医学もまた、競技スポーツ、生涯スポーツ、健康スポーツへと対象分野を広げている。これら多くのスポーツ選手やスポーツ愛好家を支える人たちといえば、スポーツトレーナーである。
 スポーツトレーナー必携の書として1996年に発刊され、これまで高い評価を受けてきた本書が今回大幅に刷新された。競技スポーツのみならず、健康スポーツ、教育としてのスポーツ、レクリエーションスポーツ、リハビリテーションや介護予防としてのスポーツにも貢献できるよう改訂されている。前版の目次・構成と比較して、その多様さと質・量の充実ぶりは一目瞭然であり、この間のスポーツトレーナーにかかわる知識・技術・実践活動の積み重ねの大きさを知ることができる。まずは本書の構成と執筆者を決められ、編集された武藤芳照・鹿倉二郎・小林寛和の3名の先生方、ならびにスポーツ現場で長年先達として実践活動を続け、知識を深め技術を摩いてこられた方々の苦労と努力に対して改めて敬意を表する。
 本書の内容面はきわめて充実したものであり、基礎知識、コンディショニングの理論と実際、現場での外傷・障害・事故への対処方法、スポーツ種目別の役割や注意点など、最新の科学的知識と具体的な技術指導が網羅され解説されている。大きな目次を追っていくと「スポーツトレーナーとは」、「スポーツトレーナーのための基礎知識」、「コンディショニングの理論と実践」、「現場でよくみられる外傷・障害・事故への対処方法」、「性・年齢に関連した対処方法」、「内科的疾患への対処方法」、「各種スポーツ種目におけるスポーツトレーナーの役割と注意点」、「スポーツトレーナーの多様な役割と注意点」とある。スポーツトレーナーの役割と位置づけは多彩であり、狭義のスポーツ(アスレティック)トレーナーとして指導者的色彩をもって競技力向上に役立つコンディショニングや救急処置を行う者と、メディカルトレーナーとしてスポーツ外傷・障害や痛みに対して治療的行為やそれらの予防的指導を行う者とが混在している。そのために、体育学部系出身者から医療資格を有する者(理学療法士、鍼灸師、按摩・マッサージ・指圧師、柔道整復師、看護師、保健師など)までが、多様な資格・技能・経験・情報を基礎にスポーツの現場で活躍している。トレーナーの仕事は、理学療法士の行うリハビリテーションだけで成り立つものでもなく、按摩・マッサージ・指圧師の行うスポーツマッサージなどの施術だけで終わるものでもない。医学・医療の現場とスポーツの現場との架け橋、コーチと選手との間の架け橋、ドクターと選手との間の架け橋、選手の身体と心の架け橋などと表現され、選手にとっては、身体のケアおよび心のケアをしてくれる信頼できる存在ともいえる。
 本書は、トレーナーが知っておくべき理論、現場における対処法など、スポーツトレーナーばかりでなく整形外科医にとってもスポーツ現場ですぐに役に立つ情報が数多く記載されており、整形外科医がぜひとも常備しておきたい必携の一冊と考える。
評者● 高岸憲二
臨床雑誌整形外科63巻3号(2012年3月号)より転載