書籍

これでわかる外来インスリン導入と管理

実例から学ぼう!

編集 : 清野弘明/朝倉俊成
ISBN : 978-4-524-25304-3
発行年月 : 2009年2月
判型 : A5
ページ数 : 156

在庫あり

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

外来インスリン導入は、入院と異なった環境での導入であり、外来特有のコツと配慮が求められ、患者に合わせた最良の治療法を選択する必要がある。外来インスリン導入に多くの経験を持つ執筆陣が、そのコツとポイントを実例を紹介しながら実践的に解説。これから外来インスリン導入を始めたい内科医・開業医、また外来インスリン導入につまづいた医師にも最適の一冊。

I 外来インスリン導入とその後の経過
 A.外来インスリン導入を始めるとき
 B.実例から学ぼう!

II 外来インスリン導入を始めるための知識整理
 A.外来インスリン導入の長所と短所─どんな患者さんに行うか?
 B.患者さんへの説明のコツとポイント─ライフスタイルを探る
 C.インスリンの種類と外来インスリン導入での使い方
 D.インスリンデバイスの種類と選択のコツ
 E.インスリン注射の手技指導のコツ
 F.食事療法と運動療法とのかかわり
 G.外来インスリン導入における血糖自己測定(SMBG)の指導法
 H.低血糖対策の指導法
 I.シックデイ対策の指導法
 J.調剤薬局の役割と指導の実際
 K.医療スタッフとのネットワーク
 L.外来インスリン導入のクリティカルパス─外来パスと連携パス

III 実際のクリニックにおける導入アウトライン
 A.せいの内科クリニックでの導入アウトライン
 B.杉本クリニックでの導入アウトライン
 C.加藤内科クリニックでの導入アウトライン
 D.陣内病院での導入アウトライン
 E.自由が丘横山内科クリニックでの導入アウトライン

IV こんな患者さんにはこうやって導入─難例への対処法
 A.せいの内科クリニックでの困難患者さん
 B.杉本クリニックでの困難患者さん
 C.加藤内科クリニックでの困難患者さん
 D.陣内病院での困難患者さん
 E.自由が丘横山内科クリニックでの困難患者さん

付録 外来インスリン導入に役立つアイテム集
 A.インスリン製剤一覧
 B.インスリンの作用機序
 C.インスリン注入器一覧とその特徴
 D.インスリン注入器専用針
 E.血糖自己測定器一覧

索引

糖尿病患者さんの増加は、疫病にもたとえられる状況にあります。世界では、10秒に1人が糖尿病を発症しています。また、インスリン分泌能力や徐々に低下していく患者さんも多く、インスリン治療による血糖コントロールが必要な患者さんも増加しています。
 高血糖の症状、口渇、多飲、多尿の症状があり、全身倦怠感が強く体重も減少してきた患者さんには、インスリン治療が確実に血糖値を改善し、上記症状をとってくれます。入院でのインスリン治療導入は、患者さんも医療スタッフも時間に余裕を持って、インスリン治療の意義の説明やインスリン自己注射手技の療養指導が可能となります。そのため、入院可能な患者さんでは、入院でのインスリン導入が安全かつ確実な方法といえます。ただし、入院は種々の事情でできない患者さんも多く、血糖コントロール改善のためには、インスリン治療を外来で導入する必要があります。
 しかし、インスリン治療に抵抗感を持たない患者さんは皆無といっても過言ではなく、また医師側にもインスリン治療導入に抵抗感を持つ場合があります。外来でインスリン治療をいかに上手に導入していくかの実践例があれば。医療スタッフに役立ち、ひいては患者さんの血糖コントロール改善にも役立つと考えられます。「こんなによくなるのであれば、もっと早くにインスリン治療を始めておけばよかった」という患者さんもいます。
 本書は、これらインスリン治療を取り巻く現状を鑑みて、外来におけるインスリン導入とその後の管理について、外来で多数の患者さんにインスリン導入をされている経験豊かな先生方に、そのノウハウを教えていただきたいという願いから企画されました。お忙しい中、インスリン導入のコツをご執筆いただいた先生方には感謝の言葉もありません 本書が、外来インスリン導入に少しでもお役に立てば。これ以上の喜びはありません。
2009年1月
清野弘明、朝倉俊成
(一部改変)

糖尿病治療の目的はいうまでもなく糖尿病合併症を予防・進展防止し、健康寿命を延長させることにある。細小血管障害の予防・進展防止のためには長期の良好な血糖コントロールが大切であることは、DCCT、Kumamoto Study、UKPDSの研究によってすでに常識となった。
 一方、糖尿病患者の主な死因である大血管障害の予防・進展防止には、血糖のみならず血圧・脂質など複数の危険因子の良好なコントロールが必要であることがSteno−2研究やその予後調査で明らかにされた。これらの危険因子の中で、血糖コントロールの影響は長期にわたって心血管イベントや死亡率に大きな影響を及ぼすことがDCCTやUKPDSの予後調査で明らかにされ、メタボリックメモリーやレガシーエフェクトと呼ばれている。
 前置きが長くなったが、前述の歴史的な研究成果が教えることは、糖尿病の細小血管・大血管障害を抑制するためには糖尿病発症早期から長期間にわたって血糖を厳格にコントロールしなければならないということである。
 しかし、血糖コントロールが不良(HbA1c7%以上)・不可(HbA1c8%以上)のまま妥協し、それに甘んじている糖尿病患者さんが少なくない。生活習慣改善に努め、種々の経口血糖降下薬を使用しながらも、血糖コントロールがわるい患者さんたちである。いろいろな事情があるにせよ、患者さんの健康寿命の延長のためには血糖コントロールをもっともっと改善しなければならず、そのためにはインスリンが必要となる例が多い。
 最後の頼りのインスリン導入は慣れていないとハードルが高く、必要性を感じても一歩を踏み出せないものである。インスリン療法の適応、インスリンの選択、今までの経口血糖降下薬をどうするのか、患者さんへの注射指導、インスリン量調整の方法、血糖自己測定、低血糖への対応など、やるべきことがたくさんある。大変さが先立ち決心がつかない。さらに、肝心の患者さん自身もインスリン療法を歓迎せず、できるなら経口薬でという。このような理由でインスリン導入が遅れ、血糖コントロール不良のまま時間だけが過ぎていく。この間にも合併症はじわじわ進行する。
 本書はこのようなインスリン自己注射のハードルを低くし、外来で、いつでもどこでもできるインスリン療法がわかりやすく、かゆいところに手が届くように具体的に解説されている。わかりやすい理由は、編者、著者らはインスリン療法では日本有数の糖尿病専門病院において、数多くの患者さんにインスリンを導入、指導してきた豊富な実践的経験の持ち主であり、現在も第一線でご活躍中の先生方だからである。
 迷っておられる先生は、ぜひこの本を参考に早めにインスリンを導入して、先生を頼って通院されている患者さんの血糖コントロールを可能な限り正常に近づけ、糖尿病合併症の発症予防や進展防止に努めていただくことを願っております。
評者● 佐藤 譲
臨床雑誌内科104巻3号(2009年9月号)より転載