教科書

臨床薬物動態学改訂第4版

臨床薬理学・薬物療法の基礎として

: 加藤隆一
ISBN : 978-4-524-25055-4
発行年月 : 2009年4月
判型 : B5
ページ数 : 382

在庫あり

定価6,156円(本体5,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

薬学部、医学部向けの薬物動態学分野の教科書。個人最適化医療をめざす臨床薬物動態学の基礎から最先端の発展的内容まで幅広く網羅。今改訂では「薬の生体膜通過」の章を新設し、進歩の速いトランスポーター、薬理遺伝学領域の研究成果を中心に最新情報をふんだんに盛り込んだ。また、概念的理解を助ける図表を追加し、より教科書として使いやすい構成とした。2色刷。

1.薬の体内動態
2.薬の生体膜通過
3.薬の投与部位からの吸収
4.薬の体内分布と臓器クリアランス
5.薬の代謝
6.薬の排泄
7.薬物動態理論
8.薬物動態の統合的把握の重要性
9.薬理遺伝学
10.薬物相互作用
11.食事内容・嗜好品・生活習慣と薬物動態
12.薬物反応性と薬物動態の個人差・人種差
13.年齢と薬物動態
14.女性および妊娠時における薬物動態
15.病態下における薬物動態
16.高分子生体医薬品の体内動態の特徴
17.TDMに基づく最適投与方法の設計
18.ヒトにおける薬物動態を指向した医薬品開発

『臨床薬物動態学ー臨床薬理学・薬物療法の基礎としてー』の初版を1992年に刊行して以来、1998年の改訂第2版の刊行を経て、幸いにも医学や薬学の関係者間で好評を得て用いられてきた。しかし、第3版刊行後の6年間に医療を取り巻く環境は著しく変化してきた。すなわち、医療においては従来の「疾患の治療研究」とともに「患者の治療研究」の重要性が強く意識され、薬物療法における個人最適化医療の必要性が強調されてきた。また、ゲノム科学の進歩により個人の遺伝情報、疾患の遺伝情報の解明が進み、新しい治療標的分子の発見にともなう分子標的治療薬の開発、個人の遺伝情報に基づく個人最適化医療の発展が期待されるようになってきた。
 一方、薬学部において6年制の教育システムが開始され、より高度の知識をもち医療における医師のパートナーとしての専門性の高い薬剤師の誕生が期待されるようになった。
 医療における医師とのコラボレーションにおいて、重要なことは自分が必要とするものをパートナーがもっていることであり、そこに相手に対する信頼と尊敬というコラボレーションに必須な条件が生まれる。医学部においては臨床薬物動態学の講義はほとんど行われておらず、現在の高度な薬物療法に必要とされる薬物動態の知識は医師には一般にきわめて乏しい。ここに臨床薬物動態学を身につけた専門薬剤師としての医師に対するアドバンテージが生まれ、尊敬の念が獲得されよう。
 本書においては医師として臨床薬物動態学を40年にわたり研究してきた筆者が、医師の立場から専門薬剤師として学んでほしいと思うテーマにつき、実例を図・表をできる限り用いてわかりやすく解説した。
 また、臨床薬物動態学を学ぼうとする医師に対しても入りやすく、理解しやすいよう、かつ実践にも役立つように配慮した。特に医薬品の臨床治験に関与する医師もぜひ学んでほしいとの思いは著者の長年にわたる願望である。
 一方、医薬品開発においては、良い薬とは単に強い薬ではなく、薬物動態の良い薬、特に個人差の少ない薬であるという概念が確立されてきた。特に2番手、3番手の薬の開発には先発の薬よりもすぐれた薬物動態をもつことが必要とされよう。これらのために、薬物動態の個人差の原因となる薬物代謝酵素やトランスポーターの研究、薬物相互作用や薬理遺伝学を十分に理解することが重要である。
 本書では医薬品開発研究者、臨床開発研究者にとって、よりすぐれた薬を短期間にかつ効率よく開発するには臨床薬物動態学の知識がいかに重要であるかを力説した。
 今回は特にトランスポーターの関与の重要性を各章で強調し、薬物相互作用および薬理遺伝学の章を大幅に改訂した。
 本書がわが国における臨床薬理学・医療薬学の教育・研究のために、薬物療法や医薬品開発のより科学的・実践的な推進のために貢献できれば筆者の望外の喜びである。
2009年3月
加藤隆一