書籍

ベッドサイド泌尿器科学改訂第4版

監修 : 吉田修
編集 : 小川修/岡田裕作/荒井陽一/寺地敏郎/松田公志/筧善行/羽渕友則
ISBN : 978-4-524-25037-0
発行年月 : 2013年5月
判型 : A4
ページ数 : 1112

在庫僅少

定価48,600円(本体45,000円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

1986年の初版刊行以来、泌尿器科学書の定本として版を重ねてきた『ベッドサイド泌尿器科学』待望の全面改訂版。わが国を代表する第一人者が総力を結集。前版の2分冊(診断・治療編/手術編)を統合し、基礎から臨床の最前線まで泌尿器科学の精髄をこの1冊に凝縮。最新の診療ガイドラインに対応。日々泌尿器科学の研鑽を積む専門医、泌尿器科を目指す研修医の必携書。

序章 泌尿器科を目指す人のために
 1.望まれる現代の医師像
 2.泌尿器科学とその歴史
 3.泌尿器科手術の歴史
I章 泌尿器科解剖学
 1.腹膜後域、腎臓、尿管
 2.下部尿路と男性生殖器
II章 泌尿器科検査診断学
 1.症候学
 2.理学検査(全身的な診察)
 3.尿および分泌物検査
 4.尿路内視鏡検査
 5.画像診断総論
III章 分子生物学の基盤的手法と泌尿器科領域への応用
 1.遺伝子解析法とその応用
 2.細胞生物学的解析法とその応用
 3.遺伝子発現の解析法とその応用
 4.蛋白質化学とプロテオミクスの応用
 5.遺伝子多型解析と分子疫学の応用
 6.薬物動態学と薬理遺伝学の応用
 7.泌尿器科領域の遺伝子治療
 8.再生医学の応用
IV章 泌尿器科基礎手術学
 1.泌尿器科手術の術前・術後管理
 2.基本手術手技
 3.尿路変向術
V章 泌尿器科的腎疾患
 1.正常の腎生理と腎不全の病態生理
 2.腎不全
 3.腎移植
 4.腎血管病変
 5.成人の嚢胞性腎疾患
 6.特発性腎出血
VI章 排尿機能障害
 1.排尿生理学と神経薬理学
 2.排尿障害の病態と分類
 3.下部尿路症状(LUTS)とその疫学
 4.排尿機能障害の診断
 5.排尿機能障害の治療
 6.過活動膀胱
 7.夜間頻尿
 8.神経疾患と下部尿路機能異常
VII章 女性泌尿器科学
 1.女性骨盤底の解剖と尿禁制メカニズム
 2.尿失禁の診断
 3.尿失禁の治療
 4.間質性膀胱炎
 5.性器脱(骨盤臓器脱)
 6.婦人科手術に伴う合併症
VIII章 前立腺肥大症
 1.前立腺・精嚢の解剖と発生生理学
 2.前立腺肥大症の疫学と自然史
 3.前立腺肥大症の病態
 4.前立腺肥大症の診断
 5.前立腺肥大症の治療(1):内科的治療
 6.前立腺肥大症の治療(2):外科的治療
IX章 泌尿器科腫瘍学(総論)
 1.腫瘍分子生物学
 2.腫瘍病理学
 3.癌の疫学
 4.臨床試験
 5.腫瘍薬物療法学
 6.腫瘍免疫学
 7.腫瘍放射線治療学
 8.新しいenergy sourceによる治療
 9.癌緩和医療とサイコオンコロジー
X章 泌尿器科腫瘍学(各論)
 1.腎実質腫瘍
 2.腎盂尿管腫瘍
 3.膀胱腫瘍
 4.前立腺腫瘍
 5.精巣腫瘍
 6.陰茎腫瘍
 7.尿道腫瘍
 8.後腹膜腫瘍
XI章 副腎および上皮小体の疾患
 1.内分泌機能検査総論
 2.原発性アルドステロン症
 3.Cushing症候群
 4.褐色細胞腫
 5.副腎皮質癌
 6.副腎皮質機能低下症
 7.上皮小体機能亢進症
 8.上皮小体機能低下症
XII章 尿路性器感染
 1.感染の成立と宿主反応
 2.感染症の分子生物学と診断への応用
 3.尿路感染症
 4.性感染症(STI)
 5.外性器皮膚科疾患
 6.尿路性器の特異的感染症
 7.マラコプラキア
 8.寄生虫感染症
XIII章 尿路結石症
 1.疫学
 2.成因・形成機序
 3.診断
 4.保存的治療
 5.手術的治療
 6.再発予防治療
XIV章 性機能障害と男性不妊症
 1.生殖の生理学
 2.男性不妊症
 3.性機能障害
 4.Peyronie病
 5.精巣機能低下症
XV章 尿路性器損傷
 1.腎尿路損傷
 2.性器損傷
XVI章 小児泌尿器科学
 1.腎尿路生殖器の発生学
 2.性分化の分子生物学
 3.小児泌尿器科学総論
 4.小児泌尿器科学各論

泌尿器科の診療に実際に役立ち、臨床泌尿器科学のすべてを網羅するという目的で本書『ベッドサイド泌尿器科学』の初版が発行されたのは1986年である。すでに30年近くが経過したことになるが、本書は「診断・治療編」と「手術編」の2分冊として、この間に内容をより充実させ2度の改訂を経た。改訂第3版から13年が経過したが、この間に分子標的薬、遺伝子診断、ロボット支援下手術、再生医学などの新しい医学・医療が泌尿器科分野に次々と登場した。また、情報の発受信には、書籍という媒体以上にインターネットが利用される機会が増え、手術などの技術的詳細は動画データとして閲覧できる時代になっている。
 このような時代背景をふまえた今回の改訂は、初版の理念を忘れることなく、また余分なぜい肉を取り去った内容としての全面改訂とした。まず、執筆者を大幅に変更し、第一線で活躍しておられる新進気鋭の先生に各専門領域の担当をお願いして最新の内容で執筆していただいた。また、手術領域などの詳細は他の専門書に譲ることで簡素化し、最終的に1冊にまとめあげている。
 前版で「診断・治療」と「手術」に分けられていた項目を各論ごとに入れ込んだこともあって、今回の改訂編集において最も知恵をしぼったのは項目建てである。例えば、第3版「手術編」の初めに吉田修先生が執筆された「序章 理想的な医師」と「第I章 泌尿器科手術の歴史」であるが、本改訂では折笠精一先生に執筆いただいた「泌尿器科学とその歴史」とともに「序章 泌尿器科を目指す人のために」としてまとめ、格調高い冒頭とした。また、分子生物学など先端技術の泌尿器科診療への応用を読者が理解しやすいように別に項目を建てた。さらに、腫瘍学総論では、癌の疫学研究、臨床試験、緩和ケアにも言及し、癌治療の開発から癌患者の終末期医療まで包括する内容となっている。
 最後に、本改訂にあたり、すばらしい内容で執筆いただいた執筆者の先生方に心からお礼申し上げる。これからの泌尿器科学の発展スピードを予想すると、今後は少なくとも5年以内での改訂が必要かもしれない。これからも本書が時代の変遷に対応した良書として育っていけるようにさらなる協力をお願いしたい。

2013年3月
編集代表
京都大学教授 小川修

1986年の初版発行以来、泌尿器科学書の定本として版を重ねてきた『ベッドサイド泌尿器科学』がこのたび13年ぶりに第4版として全面改訂された。
 吉田 修先生の監修に加え、小川 修先生はじめ7人の京都大学大学院御一門の先生の編集のもと第一線で泌尿器科の診療・教育・研究に従事している総勢154人の先生方が執筆されている。本書はこれまで「診断・治療編」と「手術編」の2分冊であったが、本改訂では手術領域の詳細は他の専門書に譲ることとし簡素化し、1冊(A4判、全1,112頁)にまとめられた。内容は初版でかかげられた「泌尿器科学の臨床のために基礎医学から最先端の医療まで、必要にして十分な知識を備えた教科書」の理念を踏襲し、近年の分子生物学の発展に伴う遺伝子診断、分子標的薬、再生医学など新しい分野に加え、がんの疫学研究、臨床試験、緩和ケアにも言及し、がん治療の開発からがん患者の終末期医療までも十分網羅されるとともに最新の診療ガイドラインにも対応している。また、近年その重要性が増大しつつある女性泌尿器科学についても当該領域のエキスパートの先生が記述している。全体を通して図表、写真も多くまた見出し項目だても工夫されており、大変わかりやすく記載されている。
 学生時代『Smith’s GENERAL UROLOGY』を泌尿器科の教科書として学んだ筆者が泌尿器科医になって最初に手にした教科書『Campbell’s UROLOGY』に衝撃を覚えたことは今でもよく憶えている。レジデントのころはこの本をまさに泌尿器科学のバイブルと思って一所懸命に読んだ。『Smith & Tanago’s GENERAL UROLOGY』は第18版となり、『Campbell―Walsh UROLOGY』は2012年に第10版を数えている。両成書ともほぼ定期的に改訂、常にupdateしていることも、その高い評価の所以であると思われる。本書『ベッドサイド泌尿器科学』はその内容からSmithとCampbellの中間あるいは和製Campbellといっては大変失礼であるが、日本の臨床泌尿器科学の聖書になりうる素晴らしい教科書と考える。とくにその序章「泌尿器科医を目指す人のために」として、望まれる現代の医師像を Osler W先生に造詣の深い吉田 修先生が執筆されている。ロチェスター大学のMorgan WL教授とEngel GL教授による臨床医学入門書『The Clinical Approach to the Patient』のなかの「The Qualities of the Ideal Physician」という項に掲げられている理想的医師像の8ヵ条を吉田先生が解説されている。同時に医学・医療における研究の重要性、患者中心の医療推進の重要性、さらに専門医への警告にまで言及されている。泌尿器科医が、専門医である前に医師として具備すべきものが本書冒頭に記述されていることに感銘を受けた。
 泌尿器科学の研鑽を積む専門医・研修医に、ぜひ読んでいただきたい。さらに他科の先生方におかれても、泌尿器科臨床の参考書として必要に応じてご利用いただければ幸いである。

内科113巻2号(2014年2月号)より転載
評者●国際親善総合病院病院長/慶應義塾大学名誉教授 村井勝

本書は1986年に「泌尿器科学の臨床のために基礎医学から最先端の医療まで、必要にして十分な知識を備えた教科書」として初版が発行されてから27年目に、吉田修・京都大学名誉教授の監修で第4版として全面的に改訂して発行されたもので、7名の著名な泌尿器科教授の編集のもと154名もの第一線の医師により執筆された1,112頁に及ぶ大作である。泌尿器科学の歴史や骨盤の詳細な解剖、CT・MRIなどの画像診断の原理、各種遺伝子解析・治療、最新の外科手術から放射線療法、ホルモン療法、未承認の化学療法まで網羅されており、まさしく現在の泌尿器科学のすべてが詰まっている。
 われわれ外科医、特に大腸直腸外科医にとっては、同じ骨盤外科医として泌尿器科学の知識や技術は不可欠であり、その点ですべてを1冊で学べる本書は非常にありがたい本である。Hippocratesの時代のはるか以前から膀胱結石や腎結石の手術は行われており、もっとも古い外科手術といわれている。まさに泌尿器科学は外科の祖であり、そこから学ぶことは非常に多い。外科医としては特に、28頁も割いて詳細に記載されている下部尿路と生殖器を中心にした骨盤解剖は、基礎知識として非常に有用である。また、回腸導管や新膀胱などの尿路変更術も23頁にわたり、その適応から具体的な方法、注意点など非常に詳細に記載されている。骨盤全摘や膀胱切除術の可能性がある手術の前には不可欠な知識内容であるが、外科の成書ではとてもかなわない情報であり、まさに骨盤外科医には必読の本である。
 なんといっても秀逸は、監修の吉田修先生が自ら執筆された序章「望まれる現在の医師像」である。格調高い文章で、足元を見つめ直しながら堅実に前に歩むべき医師像を示しており、泌尿器科医、外科医のみならず、すべての医師に読んでいただきたい章である。
 以前は2冊組であった本書は第4版となり、非常に目につく7色のデザインの存在感のある1冊となっている。書店ですぐに目につくので、ぜひとも手にとっていただきたい。

臨床雑誌外科75巻10号(2013年10月号)より転載
評者●東邦大学医療センター大橋病院外科教授 斉田芳久