書籍

クリックしながら身に付く内視鏡下手術マスターガイド(DVD-ROM付)

編集 : 木村泰三/森俊幸
ISBN : 978-4-524-24796-7
発行年月 : 2015年12月
判型 : B5
ページ数 : 246

在庫あり

定価10,800円(本体10,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

これから内視鏡外科手術に取り組む初学者から技術認定医を目指す医師までを対象に、「基本手技のトレーニング」と「標準術式の習得」の技術に重きを置いたガイドブック。内視鏡外科手術全般に通じる知識・技術を基本編としてまとめるとともに、実際のビデオ審査における評価のポイントを意識した安全な手技のコツについて、5時間以上に及ぶ多彩な動画と組み合わせて効果的に解説。

Part1 オリエンテーション編
 1章 腹腔鏡下手術機器
 2章 手術室の機器と設置
 3章 エネルギー源の原理と構成
Part2 基本手技編
 4章 セットアップ
 5章 術野展開
  A.上腹部
  B.下腹部
 6章 手術器具の使用法
  A.鉗子類
  B.エネルギー源
  C.クリップアプライヤー・自動吻合器
 7章 内視鏡下結紮・縫合手技トレーニング
 8章 内視鏡下手術トレーニング
 9章 内視鏡下手術のトラブルシューティング
Part3 手術手技編
 10章 食道の手術
  A.腹腔鏡下食道アカラシア手術
  B.腹腔鏡下Nissen手術
  C.胸腔鏡下食道癌手術
 11章 胃の手術
  A.腹腔鏡下幽門側胃切除術
  B.腹腔鏡下胃全摘術
  C.腹腔鏡下胃バイパス術
  D.腹腔鏡下調節性胃バンディング手術
 12章 大腸の手術
  A.腹腔鏡下結腸右半切除術
  B.腹腔鏡下S状結腸切除術
  C.腹腔鏡下横行結腸切除術
  D.腹腔鏡下直腸癌手術
 13章 胆.・脾臓の手術
  A.腹腔鏡下胆.摘出術(1)
  B.腹腔鏡下胆.摘出術(2)
  C.単孔式腹腔鏡下胆.摘出術
  D.腹腔鏡下総胆管結石手術
  E.腹腔鏡下脾臓摘出術
 14章 肝・膵の手術
  A.腹腔鏡下肝切除術
  B.腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術
 15章 腎・副腎の手術
  A.腹腔鏡下腎摘除術
  B.腹腔鏡下副腎摘除術
 16章 鼠径ヘルニアの手術
  A.腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術:TAPP法
  B.腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術:TEP法
 17章 乳腺・甲状腺の手術
  A.内視鏡下乳腺腫瘍摘出術
  B.内視鏡下甲状腺全摘術
索引

序文

 内視鏡下手術は、今や、種々の領域の手術において中心的役割を果たすようになってきた。これからの外科医にとって、内視鏡下手術のマスターは必須の事柄である。まず開腹手術から入り、しかるのちに内視鏡下手術に挑むという時代は、多くの手術手技において過去のものとなり、はじめから内視鏡下手術を行うという時代が到来した。
 内視鏡下手術はビデオ画像下に手を術野に直接入れることなく、器械器具のみを用いて行う手術である。よって、内視鏡下手術を行う医師は、まず、ビデオシステムや気腹器の取り扱いを覚え、エネルギーデバイスや縫合器、手術器具の原理と使用法を学ばなければならない。また、内視鏡下手術を行うためには、ビデオ画像下でのhand-eye coordinationの獲得が必須なので、あらかじめ、トレーニングボックス、シミュレータ、アニマルラボなどで修練を積んでおく必要がある。縫合結紮手技は、内視鏡下手術では難度が高いが、この技術を獲得することで可能な手術の幅が広がる。
 内視鏡下手術において新人外科医が最初に行う役割は、カメラマンであり、次いで助手である。カメラマンや助手は、視野を展開し確保するが、ビデオ画像のなかでこれを適切に行うにはコツがあり、手技ごとにその方法を熟知しなければならない。また、執刀医になる前に、手術の手順を細部に至るまで完全に把握するとともに、乖離やクリッピング、切離や縫合器などの基本操作を習得していなければならない。内視鏡下手術では、手術中に指導的助手が操作を直接手伝うわけにはいかないのである。
 内視鏡下手術は、上記のように執刀医となる前に学ぶことが多く、開腹手術よりマスターしにくい手術と思うかもしれない。それは一面の事実ではあるが、開腹手術より圧倒的に有利な点がある。それは、カメラマンであれ助手であれ、あるいは、手術台の外からでも、術者とまったく同じ目線でビデオ画像上に手術を見て、学ぶことができることである。しかも、ビデオは後から繰り返し見ることも可能である。開腹手術では、新人外科医はほとんど術野の見えない位置で鉤を引きながら手術を学ばねばならないことを考えると、はるかに容易に学ぶことができる。ビデオ学習は、内視鏡下手術を早くマスターする鍵である。
 本書は、内視鏡下手術のオリエンテーション、基本手技、手術手技のすべてを、その道の達人のビデオつきで解説したものである。重要な場面はDVDに収録されており、本文と対応する番号をクリックすると、その場面がビデオで見られるようになっている。オリエンテーションではビデオシステム、気腹器、エネルギーデバイスの原理などが解説され、基本手技ではセットアップ、術野展開、手術器械の使用法、トレーニング法、トラブル対処法が解説されている。手術手技は、食道から始まり、胃、大腸、胆.、脾、肝、膵、腎、副腎、鼠径ヘルニア、乳腺、甲状腺に至るまで、ほとんどすべてを網羅しており、その道の達人が最新のテクニックを余すところなく披露している。
 本書は、新人の外科医、技術認定取得を目指す外科医、また、自分の専門領域外の手術に挑もうとする外科医などにとって、この上ない指導書になると信じている。

2015年12月
木村泰三

 多くの外科手術書は内視鏡手術書も含め美しいイラストや術中写真で、その手技を説明するものである。しかし、何よりも本書の注目すべきことは、ビデオ付き解説で重要な場面はDVDでクリックすることによって、動画で映し出される点である。内視鏡手術野は、映し出される画像をみながら特殊な器具を用いて行う手術であり、高度な技術が要求される。本書には各分野の内視鏡手術の達人たちの匠が随所に紹介されており、まさに内視鏡手術のABCから詳細な臓器別こだわり手技までを学ぶうえで、きわめて有効である。
 内視鏡手術の初心者である若手外科医にとっては、基本操作にも動画をとり入れて説明されているので、非常に理解しやすい。おそらくカメラ操作からスタートすることになる初心者は、この動画から術野の展開、なかでも手術操作をカメラの正面でとらえ、拡大視効果から遠近の使い分けに注目すべきである。またトロカールの挿入方法やポート位置のセットアップも、総論では上腹部、下腹部に分け、また臓器別にもわかりやすく説明されている。特にhand-eye coordinationの獲得が重要である内視鏡下結紮・縫合手技トレーニングも、ドライボックスの横で動画を繰り返しみながら練習できる。
 本書は消化器・一般外科領域の食道、胃、大腸、胆・脾、肝・膵、腎・副腎、鼠径ヘルニア、乳腺・内分泌のすべてが網羅されている。内視鏡外科技術認定取得をめざす外科医にとって、その共通項目から臓器別項目までを一つひとつ確認しながら、自身のビデオと比較することによって、その手術技術を伝えるきわめて有効なツールとなるであろう。また、トラブルシューティングを動画で説明しているものはきわめてまれで、遭遇するさまざまな場面に対して、その対処法を細かく紹介しておりたいへん役立つ。ベテランと考えている内視鏡外科医にとっても、重要な場面での詳細な手技での達人のこだわりを知ることによって、自身の技術を見直し、自信と自戒を深める恰好の書となり新たな技術展開が生まれてくる可能性も高い。
 内視鏡手術は急速に普及されているが、低侵襲性の利点を生かすには安全かつ確実な技術の習得が不可欠である。そのための内視鏡外科手術書は1990年以後、数々出版されてきたが、本書はその総論から消化器一般外科のすべてを網羅し、重要な点はDVDをクリックすることによって動画で映し出されることから、初心者、中級者、上級者問わず手術実践に即した名書である。蔵書として身近に備えておくべき一冊と考える。

臨床雑誌外科78巻6号(2016年6月号)より転載
評者●東邦大学一般消化器外科教授 金子弘真