書籍

理学療法フィールドノート

4.地域・在宅

責任編集 : 内山靖
編集 : 石川朗/内山靖/新田收
ISBN : 978-4-524-24765-3
発行年月 : 2009年6月
判型 : B5
ページ数 : 288

在庫あり

定価6,156円(本体5,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

実習から臨床まで接することが多い疾患と、主要な合併障害を幅広くとりあげ、「臨床思考過程」に沿って統一的な記述スタイルで解説した『理学療法フィールドノート』第4巻。各疾患の解説を、合併症、病期など、実際の症例に即した理学療法の流れに沿って展開。本巻では、通所・外来の際に担当することが多い疾患・障害を中心に臨床思考過程に基づいて基本的な考え方・とらえ方と実践的なモデル症例20に対する理学療法の実際を紹介する。また、外来や通所での理学療法に加え、介護予防サービスでの訪問理学療法や介護予防、健康増進のための理学療法も収載した。

第1部 総論
 A.理学療法における臨床思考過程
 B.臨床思考過程の具体的展開
 C.地域・在宅における臨床思考過程の具体的展開

第2部 各論
第1章 外来、通所
1 ソトス症候群により運動発達の遅れを呈した2歳男児に対する児童デイサービスでの理学療法
2 両側変形性関節症により長距離歩行の障害を呈した要支援2の85歳女性に対する介護予防のためのデイケアでの理学療法
3 外傷による不全頚髄損傷を呈した68歳男性に対する回復期から維持期にかけての通所による理学療法
4 多発性脳梗塞によるパーキンソニズムに脳血管性認知症を合併した74歳男性に対する外来理学療法
5 多発性脳梗塞によりパーキンソニズムを呈した70歳男性に対するデイケアでの理学療法
6 統合失調症で大腿骨頚部内側骨折後の70歳男性に対する精神症状の理解と理学療法
7 在宅酸素療法中で訪問看護の導入に至った慢性閉塞性肺疾患の76歳男性に対する外来理学療法

第2章 訪問
8 脳出血により重度左片麻痺を呈した52歳男性に対する住宅改修・福祉用具指導を含めた理学療法
9 筋萎縮性側索硬化症により人工呼吸器を装着した60歳女性に対する在宅での理学療法
10 退院後の臥床により廃用症候群を呈した86歳男性に対する在宅での理学療法
11 多発性硬化症によりQOL低下を呈した47歳女性に対する多職種連携による在宅での理学療法
12 脳性麻痺により四肢麻痺を呈した17歳男性に対する養護学校卒業後の生活支援を目的とした在宅での理学療法
13 末期肺癌により在宅での看取りを希望した80歳男性に対する在宅での理学療法
14 パーキンソン病により起居動作の困難を呈した85歳女性に対する在宅での理学療法

第3章 介護予防
15 転倒後の腰椎圧迫骨折により生活への意欲が減退した83歳男性に対する介護予防訪問介護サービスと協働で取り組んだ行政からの訪問理学療法
16 廃用症候群によりIADL障害を呈した78歳女性に対する筋力増強トレーニングを中心とした運動器の機能向上サービス(理学療法)

第4章 健康増進
17 関節リウマチによりディコンディショニングを呈した61歳女性に対する健康増進施設での理学療法
18 心筋梗塞を繰り返す72歳女性に対する疾患管理プログラムによる再発予防を目的とした理学療法
19 膝前十字靱帯損傷再建術後の20歳女性バスケットボール選手に対するスポーツ復帰のための理学療法
20 体力低下をきたした76歳男性に対する地域支援事業による理学療法

付録 介護保険と理学療法

索引

本書『理学療法フィールドノート4。地域・在宅』は、これまでの「脳血管障害・神経疾患」「運動器疾患」「呼吸・循環・代謝疾患」という疾患や障害に基づく内容とは異なり、介入の場と目的を基軸として編集したものです。
 元来、理学療法は広義の運動障害をきたした人、あるいはその可能性のある人に実施するもので、疾患や病態そのものを対象としているわけではありません。理学療法では、ヒト(生物学的存在)、ひと(個人)、人(社会の中でのひと)の要素を含んだ対象者への支援を行うため、生活機能が低下する要因となる病態、障害、生活習慣、環境などに働きかける必要があります。人を対象とする以上は、生活している場とその役割や参加が重要な要素となることは改めて言うまでもありません。
 おりしも、わが国では、健康寿命の延伸を共通の目標として、生活の場に応じた根拠のある医療を連続的に提供することが強調されています。砂原は、すでに1977年にリハビリテーションが目指すものは、家庭や社会からの隔離による機能回復ではなく、家庭、社会との統合であることを説いています。これまで理学療法士は、地域リハビリテーションの枠組みで20年以上の実績を重ねてきました。1999年には、指定規則が改正され、理学療法学教育課程に地域理学療法学の分野が明記されています。
 本書では、“外来・通所”、“在宅”に大別して、発達障害、脳血管障害、運動器疾患、がん、神経筋疾患、廃用症候群、精神疾患を伴う2歳から86歳までの事例を取り上げました。また、理学療法の重要な領域の1つである“介護予防”と“健康増進”については、独立した章として6事例を収載しています。理学療法士は地域・在宅で適用される諸制度や関係職種との連携の方法に精通している必要があります。なお、諸外国のcommunityとその邦訳である地域が意味する目標や内容の違いについては、当初から議論のあるところです。本書でも、これまでと同様に共通した8段階の理学療法思考過程に沿って具体的な記述が可能でした。
 現状では、地域・在宅での臨床実習の機会はきわめて限られておりますが、社会のニ−ズが高い重要な領域です。また、すでに地域で活躍されている理学療法士も、日頃の臨床経験の範囲はある程度限定されている場合もあろうかと存じます。本書をそれぞれの立場で広くご活用いただき、理学療法の本質の理解とともに、対象者と介入の場に応じた具体的な展開について理解を深めてくださることを願っております。
2009年3月
内山靖