書籍

スポーツPNFハンドブック

編集 : 覚張秀樹
ISBN : 978-4-524-24736-3
発行年月 : 2008年11月
判型 : B5
ページ数 : 166

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

スポーツPNFの位置付けを明確に述べるとともに、写真を多用して施術の実際をわかりやすく解説。部位別・動作別のアプローチ法を具体的に示しており、スポーツ障害に対する治療、パフォーマンス向上のためのトレーニングにおいてPNFをどのように活用すべきかが理解できる。水中PNFについても詳しく述べている。

1章 PNFとファシリテーション・テクニック
 1 スポーツPNF
 2 ファシリテーション・テクニック

2章 PNFの理論的根拠とPNFテクニック
 1 PNFの理論的根拠−PNFの促通の要素
 2 基本手技(basic techniques)
 3 特殊テクニック(specific techniques)
 4 PNFアプローチ上の注意点
 5 PNFの問題点

3章 スポーツにおけるPNFの活用
 1 スポーツ障害とPNF
 2 運動様式と平衡反応、慣性モーメント、運動量のモーメント
 3 スポーツ動作と姿勢反射
 4 運動パターンと正中線および腋下線の関係
 5 筋収縮
 6 スポーツ場面での筋の伸張(stretching)とPNF

4章 スポーツコンディショニングとPNF
 1 スポーツコンディショニングにPNFを用いる前提として
 2 スポーツコンディショニングにおけるPNFの考え方
 3 スポーツコンディショニングにおけるPNFの実際
 4 部位別アプローチ
 5 動作別アプローチ

5章 水中におけるPNF
 1 水中におけるPNFの特徴
 2 水中でのPNFの実際
 3 ラガツ法の実際
 4 ラガツ法の発展系

今日、理学療法においてますます「根拠に基づいた理学療法」、すなわちEBPT(evidence-based physical therapy)の重要性が強調されてきています。リハビリテーション医学で活用されている、いわゆるファシリテーション・テクニックと呼ばれる各種のアプローチ方法の中で、PNF(固有受容性神経筋促通法)は最も客観的な論証がされてきています。米国で開発されてきたPNFですが、日本で世界に先駆けて中村隆一先生、柳澤健先生がその根拠を理論的に明らかにするという業績を築かれそれを受けて新井光男先生を中心としてさらに論証が進められています。
 私は「ヒト」の動きについて、特に「理にかなった力強い動きとは何か」という命題に関心を持ち、様々な角度から取り組んでいる中でPNFに出合いました。そして、スイスのパートラガツ(Bad Ragaz)にあるHermitage卒後研修センターにおいて水中運動療法のコースを受講した際に、水中運動療法の一つである「Bad Ragaz Ring Method」が「水中における対角・らせん方向の抵抗運動」であることを経験しました。その後、米国のカイザー(Kaiser)病院でPNFを研修した理学療法士が中心となって設立した「日本PNF研究会」[現在の日本PNF学会(PNFSJ)]の講習を通じてPNFの研鑽を積んできました。
 これまで理学療法士としての私の臨床フィールドは、アスレティックリハビリテーション場面における運動療法(水中運動療法を含む)と、障害児療育場面における主に脳性麻痺児を中心とした障害児の水中運動療法です。一見すると両者には共通する点がないようですが、「抗重力メカニズムの中で活動性を高めていくことにつながる水中運動」および「理にかなった力強い動きの探究」という観点からは、両者を相互に参照することが非常に役立ちました。すなわち、主にアスリートを中心としたアスレティックリハビリテーションの場面で活用している内容が、中枢神経系に様々な問題を有する脳性麻痺児にも適応となり、またその逆に脳性麻痺児の各種緊張をコントロールして動きをより活発化するために用いている方法が、アスレティックリハビリテーションの場面で非常に有効でした。ヒトに対してのアプローチの根本は同じであることを強く感じました。特に水中運動療法の場面においては共通点が多く、その境界を探ること自体が無意味であることが分かりました。こうした試行錯誤の連続ではありますが、最善策を模索しながら理学療法士としての活動を進めてきました。
 さかのばって1992年に『スポーツPNFマニュアル』(南江堂)を刊行しましたが、以降、PNFの理論および臨床に応用できるテクニックは大いに発展を遂げていることから、これらについての研究や臨床経験の蓄積を踏まえて本書を刊行することになりました。本書ではアスレティックリハビリテーションおよびスポーツコンディショニングの場面において、PNFの特に秀でた点として以下に分類して説明しています。
[スポーツ外傷に対して]
 スポーツ外傷からの早期の復帰へ向けて、外傷部位以外から間接的に刺激を入力する「発散」の考え方はPNF以外には見当たりません。スポーツ外傷の早期リハビリテーショソの可能性について紹介しました。
[スポーツ障害に対して]
 身体運動時の「misuse or overuse syndrome」のうち、特にmisuseを防ぐために身体のバランスの良い使い方を学習する手段としてPNFを紹介しました。特に運動を全身への広がりからとらえる必要性について説明しました。
[スポーツコンディショニングに対して]
 特にウォーミングアップにおいてはPNFにより適正覚醒レベルを維持することができます。特に重心のかかり方、運動や荷重の方向についての考え方を提示しました。また水中での「自由浮遊位での対角・らせんの全身運動」により、よりふさわしい全身運動を学習するきっかけが得られることを説明しました。
 上記のように、本書はPNFの臨床応用編として、主にスポーツ場面でのPNFを扱っていますが、内容はあくまでもPNFの哲学に基づいた臨床経験の紹介が中心です。PNFそのものに関しては『PNFマニュアル、第2版』(2005年、南江堂)を参考にしていただきたいと存じます。本書が日々臨床に取り組み、研鑽を積まれている皆様の参考となることを願っております。また、PNFのより良き発展に向けて、皆様から更なるご指摘・ご指導を賜わることができましたらこれに勝る幸いはないと存じます。
2008年10月
覚張秀樹
(抜粋)