下肢動静脈エコー実践テキスト
編集 | : 重松宏/松尾汎 |
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ISBN | : 978-4-524-24732-5 |
発行年月 | : 2008年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 226 |
在庫
定価6,600円(本体6,000円 + 税)
正誤表
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2012年11月14日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
下肢血管エコーをきちんと検査・診断するためにはどうすればよいか、またその後どんな治療法があるのか。病態・治療を見据えて下肢血管エコーに取り組むためのテキスト。写真・図満載で解説する検査手技から、病院のリスクマネジメントにも関係する深部静脈血栓症や閉塞性動脈硬化症などの知識まで、エコーをいかに活用するかがわかる。下肢血管エコーのすべてを集結。
I 下肢エコー実施時に必要な基礎知識
1 動脈・静脈の解剖と生理
2 超音波の基本
3 超音波検査の位置づけ(エコーで何を診るのか)
4 動脈疾患の治療
5 静脈疾患の予防と治療
II 下肢動脈エコー
A 検査手技
1 機器
2 体位
3 各部位における動脈の描出方法
4 身体所見の診かた
5 評価方法
6 閉塞性動脈硬化症(ASO)
7 その他の動脈疾患
B 臨床応用:治療にどう活かすか
III下肢静脈エコー
A 検査手技
1 下肢静脈エコー実施の前に
2 下肢静脈エコーに適した装置設定
3 臨床所見の重要性
4 おもな下肢静脈疾患の特徴
5 検査の実際
6 下肢静脈エコー診断の基本操作
7 深部静脈検査
8 表在静脈検査
B 臨床応用:治療にどう活かすか
今、なぜ、末梢血管なのか。
最近、「末梢血管」という言葉をよく耳にする。その理由はわが国の疾病構造の変化に起因する。すなわち、近年の「生活習慣の変化」に伴って疾病構造も変化し、血管疾患が著しく増加し、末梢血管にも関心が高まってきたと考えられる。
生活習慣に関連する糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙などは生活習慣病とも称され、それらに関連して全身の動脈に「動脈硬化性変化」が生じ、脳血管障害、心筋梗塞などの重篤な臓器障害とともに、末梢動脈でも閉塞性動脈硬化症などをきたすことが知られ、その早期発見の有用性や必要性が指摘されるようになった。
また静脈でも、ときに致死的となる、いわゆる「エコノミークラス症候群(long-flight Syndrome、traveler's thrombosisなど)」や周術期血栓症とも関連する「静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism)」(肺塞栓症、深部静脈血栓症)、およびquality of lifeを低下させる「下肢静脈瘤」などの静脈疾患にも関心が集まってきた。静脈血栓の早期発見が肺塞栓症の予防や診断に有用であり、その重要性も認識されるようになった。
このような、末梢血管疾患の増加や、それらへの関心の高まりに伴って、簡便かつ確実な無侵襲検査法の普及が切望されるようになった。その要望に対して、最近の超音波検査法の技術革新、機器の進歩が十分に応えられるようになった。
超音波検査は、そのデジタル化、高機能化に伴い、さらに本来の無侵襲性や簡便性(ベッドサイドでも簡便に検査可能)、しかも形態と機能の両面から「病態の情報」が得られるため、きわめて有用かつ有効な検査法となった。その結果、末梢血管の診断に、血管エコー検査を第一選択にする施設も増加してきている。
本書では、超音波検査による末梢血管の診断方法や評価法、さらに体位や装置の設定などの実際的な事項など、これら末梢血管の超音波診断のすべてが網羅されている。本書で、末梢血管エコー検査の知識や実力を養い、実際の臨床でその威力を遺憾なく発揮していただければ幸甚である。
2008年2月
重松 宏
松尾 汎