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DVDで学ぶ理学療法テクニック

DVDで学ぶ脳血管障害の理学療法テクニック

病巣・病型別アプローチがわかる動画73

監修 : 山口武典
編集 : 今井保/峰松一夫
ISBN : 978-4-524-24315-0
発行年月 : 2010年4月
判型 : B5
ページ数 : 228

在庫あり

定価7,020円(本体6,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

脳血管障害による「病態」「病因」「障害像」の評価、治療(手技)を「病巣部位」と結びつけて具体的に解説。120分に及ぶDVDは、出血(梗塞)の部位により複数の障害が出現するなどの特徴をとらえ、治療について視覚的、具体的に理解できる。病態評価・機能評価、リハの計画と実行、効果の評価にいたる流れを示した実際書。

1章 実践理学療法の前に
 A.医師の診察方法
  1.問診
  2.一般内科的診察
  3.神経学的診察
 B.脳血管障害の診断
  1.アテローム血栓性脳梗塞
  2.心原性脳塞栓症
  3.ラクナ梗塞
  4.脳出血
  5.くも膜下出血
 C.患者情報の把握
  1.処方箋のみかた
  2.診療録からの情報収集
  3.他部門からの情報
  4.家族からの情報
 D.クリティカルパスのみかた
  1.理学療法を始める前に
  2.理学療法を進めていく際のクリティカルパスのみかた
  3.クリティカルパスで許可された動作レベルまで到達しない場合
 E.リスク管理(再発防止の観点から)
  1.高血圧
  2.心疾患
  3.糖尿病
  4.深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症
  5.感染症
  6.水電解質異常
  7.消化管出血

2章 共通する理学療法テクニック
 A.座位耐性練習
 B.急変時の対応(リハビリテーション中にもしこんなことが起こったら)
  1.意識消失
  2.手足の動きがいつもと違う
  3.胸痛発作、胸部不快感
  4.痙攣など
  5.嘔気、嘔吐
  6.呼吸困難
  7.めまい
 C.介助方法
  1.介助の位置
  2.安全性の確保
  3.介助するときのタイミング、介助量およびその方向
  4.自立につながる介助方法
  5.口頭指示も介助の一部
 D.特殊なトランスファーテクニック
  1.車椅子からマットへの移乗
  2.マットから車椅子への移乗
 E.装具について
  1.長下肢装具
  2.膝装具
  3.短下肢装具
  4.足関節装具
  5.足趾装具

3章 集中治療室での理学療法
 A.評価方法
  1.全体像の確認
  2.問診による評価
  3.高次脳機能障害の評価
  4.姿勢の評価
  5.運動麻痺の評価
  6.感覚障害の評価
  7.関節可動域と筋緊張の評価
  8.粗大筋力の評価
  9.運動失調の評価
 B.練習方法
  1.ベッド上ポジショニング
  2.関節可動域練習
  3.筋職増強練習
  4.神経筋促通法

4章 病巣病型別実践理学療法
4-1 右中大脳動脈領域梗塞(心原性脳塞栓症)――多くは劣位半球、左片麻痺――
 A.処方箋と画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
  1.劣位半球症候
  2.運動麻痺の特徴
  3.肩手症候群
 C.評価方法
  1.評価の注意点
  2.意識障害の評価
  3.高次脳機能障害の評価
  4.運動麻痺の評価
  5.感覚障害の評価
  6.筋力の評価
  7.関節可動域の評価
  8.痛みの評価
  9.基本動作能力の評価
  10.ADL実行状況の評価
 D.練習方法
  1.基本動作練習
  2.その他の練習

4-2 左中大脳動脈領域梗塞(心原性脳塞栓症)――多くは優位半球、右片麻痺――
 A.処方箋と画像
  1.処方箋
  2.画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
  1.優位半球症候
  2.運動麻痺
  3.肩手症候群
 C.評価方法
  1.評価の注意点
  2.意識障害の評価
  3.高次脳機能障害の評価
  4.筋緊張の評価
  5.関節可動域の評価
  6.感覚障害の評価
  7.痛みの評価
  8.運動麻痺の評価
  9.筋力の評価
  10.基本動作の評価
  11.ADL実行状況の評価
 D.練習方法
  1.基本動作練習

4-3 前大脳動脈領域梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)
 A.処方箋と画像
  1.処方箋
  2.画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
  1.下肢に強い麻痺
  2.強制把握などの前頭葉症状
 C.評価方法
  1.評価の注意点
  2.意識障害の評価
  3.把握反射、強制把握反射
  4.高次脳機能障害の評価
  5.運動麻痺の評価
  6.感覚障害の評価
  7.筋力の評価
  8.関節可動域の評価
  9.痛みの評価
  10.基本動作の評価
  11.ADL実行状況の評価
 D.練習方法
  1.基本動作練習

4-4 脳幹(中脳)梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)
 A.処方箋と画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
  1.中脳の梗塞
  2.橋の梗塞
  3.延髄の梗塞
 C.評価方法
  1.眼球運動障害の評価
  2.小脳性運動失調および片麻痺の評価
 D.練習方法
  1.基本動作練習

4-5 延髄外側梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)
 A.処方箋と画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
  1.病巣側への突進現象
  2.回転性めまい
  3.上下肢の小脳性運動失調
 C.評価方法
  1.病巣側への突進現象の評価
  2.回転性めまいの評価
  3.上下肢の小脳性運動失調の評価
 D.練習方法
  1.バランス練習
  2.歩行練習

4-6 多発性脳梗塞(ラクナ梗塞)
 A.処方箋と画像
  1.処方箋
  2.画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
  1.パーキンソン症候群(パーキンソニズム)
  2.体幹機能障害
  3.嚥下障害・構音障害
  4.強迫泣き、強迫笑い
  5.脳血管性認知症
 C.評価方法
  1.評価の注意点
  2.意識障害の評価
  3.高次脳機能障害の評価
  4.運動麻痺の評価
  5.感覚障害の評価
  6.筋力の評価
  7.関節可動域の評価
  8.構音障害の評価
  9.嚥下障害の評価
  10.基本動作の評価
  11.ADL実行状況の評価
 D.練習方法
  1.基本動作練習

4-7 被殻出血
 A.処方箋と画像
  1.処方箋
  2.画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
  1.高次脳機能障害
  2.筋緊張の亢進
  3.運動麻痺
  4.Wernicke-Mann肢位
 C.評価方法
  1.評価の注意点
  2.意識障害の評価
  3.高次脳機能障害の評価
  4.筋緊張と関節可動域の評価
  5.感覚障害の評価
  6.痛みの評価
  7.運動麻痺の評価
  8.筋力の評価
  9.基本動作の評価
 D.練習方法
  1.基本動作練習

4-8 視床出血
 A.処方箋と画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
 C.評価方法
  1.感覚障害の評価
  2.運動失調の評価
  3.不随意運動の評価
  4.痛みの評価
  5.視床手
 D.練習方法
  1.基本動作練習
  2.その他の練習方法

4-9 橋出血
 A.処方箋と画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
 C.評価方法
  1.小脳性運動失調の評価
  2.運動麻痺の評価
  3.感覚障害の評価
  4.体幹機能障害の評価
  5.基本動作能力の評価
  6.ADL実行状況の評価
 D.練習方法
  1.基本動作練習
  2.その他の練習方法

4-10 小脳出血
 A.処方箋と画像
  1.処方箋
  2.画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
  1.同側性の運動失調
  2.失調性構音障害
  3.嘔気、嘔吐
 C.評価方法
  1.評価の注意点
  2.意識障害の評価
  3.失調性構音障害の評価
  4.筋緊張と関節可動域の評価
  5.感覚障害の評価
  6.運動失調の評価
  7.筋力の評価
 D.練習方法
  1.基本動作練習
  2.バランス練習

4-11 くも膜下出血
 A.処方箋と画像
 B.病巣部位から生じる特徴的な症候
 C.評価方法
  1.意識障害(意思疎通方法)の評価
  2.筋緊張と関節可動域の評価
 D.練習方法
  1.頸部筋へのアプローチ
  2.マットでの寝返り
  3.端座位保持
  4.起立傾斜台での立位練習
  5.平行棒内起立
  6.平行棒内歩行-歩行器歩行
  7.その他の練習法

索引



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【動画タイトル一覧】
1章 実践理学療法の前に <動画数8、合計19分35秒>
動画1 問診
動画2 一般内科的診察
動画3 神経学的診察
動画4 脳神経のチェック
動画5 運動系のチェック
動画6 感覚系のチェック
動画7 運動失調のチェック
動画8 反射のチェック

2章 共通する理学療法テクニック <動画数2、合計1分42秒>
動画1 車椅子からマットへの移乗
動画2 マットから車椅子への移乗

3章 集中治療室での理学療法 <動画数2、合計5分22秒>
動画1 関節可動域練習
動画2 神経筋促通法

4章  病巣病型別実践理学療法
4-1 右中大脳動脈領域梗塞(心原性脳塞栓症) <動画数15、合計23分00秒>
動画1 車椅子でできる評価
動画2 寝返り
動画3 起き上がり
動画4 台を使用したマット上での座位(Pusher症候を呈する症例)
動画5 椅子からの立ち上がり
動画6 平行棒内立位(Pusher症候を呈する症例)
動画7 平行棒内歩行
動画8 治療台を使った歩行(Pusher症候を呈する症例)
動画9 4脚杖歩行
動画10 T字杖歩行
動画11 階段昇降
動画12 床からの立ち上がり
動画13 ベッドから車椅子への移乗(Pusher症候を呈する症例)
動画14 車椅子駆動
動画15 体幹筋の筋力増強

4-2 左中大脳動脈領域梗塞(心原性脳塞栓症) <動画数7、合計7分44秒>
動画1 意識障害の評価
動画2 寝返り
動画3 マット上起き上がり
動画4 ベッド上起き上がり
動画5 端座位バランス
動画6 4脚杖歩行
動画7 階段昇降

4-3 前大脳動脈領域梗塞(アテローム血栓性脳梗塞) <動画数7、合計7分20秒>
動画1 把握反射
動画2 把握反射を呈した症例の起き上がり
動画3 大腿四頭筋筋収縮の程度の確認
動画4 歩行練習における上肢への注意点(上肢の把握反射を抑える方法)
動画5 歩行練習における注意点(下肢に強い麻痺、把握反射を呈した例)
動画6 階段昇降練習における注意点(足趾の把握反射と手指の把握反射の影響と対策)
動画7 強制使用の場面

4-4 脳幹(中脳)梗塞(アテローム血栓性脳梗塞) <動画数1、合計1分44秒>
動画1 歩行

4-5 延髄外側梗塞(アテローム血栓性脳梗塞) <動画数2、合計3分49秒>
動画1 四つ這い位でのバランス
動画2 側方突進現象を呈する症例の歩行

4-6 多発性脳梗塞(ラクナ梗塞) <動画数5、合計8分55秒>
動画1 寝返り・起き上がり
動画2 立ち上がり
動画3 平行棒内歩行
動画4 4脚杖または歩行器を用いた歩行
動画5 前方・左右への重心移動の促進


4-7 被殻出血 <動画数3、合計2分45秒>
動画1 筋緊張と関節可動域の評価
動画2 平行棒内歩行
動画3 4脚杖歩行

4-8 視床出血 <動画数4、合計4分32秒>
動画1 愛護的なマッサージ
動画2 歩行
動画3 階段昇降
動画4 床からの立ち上がり

4-9 橋出血 <動画数4、合計8分53秒>
動画1 起き上がり
動画2 座位保持
動画3 四つ這い位保持
動画4 歩行器歩行

4-10 小脳出血 <動画数8、合計16分24秒>
動画1 運動失調の評価
動画2 マット上起き上がり
動画3 座位保持
動画4 立ち上がり
動画5 平行棒内歩行
動画6 歩行器歩行
動画7 4脚杖歩行
動画8 T字杖歩行

4-11 くも膜下出血 <動画数5、合計8分14秒>
動画1 意思疎通方法
動画2 頸部筋へのアプローチ
動画3 マットでの寝返り
動画4 端座位保持
動画5 起立傾斜台での立位

筆者が理学療法士を目指していた頃、脳卒中の障害像はほぼ「片麻痺」に限定され、代表される用語も「脳卒中片麻痺」という「脳卒中」と「片麻痺」を繋ぎあわせた単語であった(もちろん現在もこの用語はもっとも一般的である)。しかし、実際の臨床場面で脳卒中の患者さんと接したとき、障害像が「片麻痺」だけではなく多彩かつ複雑であることに戸惑った。そもそも「脳卒中」は「卒然として邪風に中る」という意味の疾病で、その昔から「中風病み」と呼ばれ、原因不明で治療法のない病としてやむなく世間に受け入れられていた。しかし近年、画像診断などの検査機器の開発に伴い、脳卒中を「脳の血管の疾病」すなわち脳血管障害と捉え、脳血管の状態や症候と病巣の関連性を明らかにすることにより、評価・治療に結びつける技術が格段に向上した。これは筆者の個人的な意見であるが、こういった飛躍的な進歩を遂げた脳卒中の臨床に理学療法の世界は「脳卒中片麻痺」というやや運動障害に偏重した考えの中、少し距離を置く形で進んできたのではないかと思う。理学療法士が脳血管障害の症候の一つである運動障害を重視することは当然のことといえる。しかし運動障害以外の症候、例えば高次脳機能障害が理学療法の進め方を大きく左右することは誰しもが経験することである。本書の企画は、こういった疑問に答えるべく、脳血管障害を基本からそして客観的に捉えることを原点に構成されている。
 第1章の[実践理学療法の前に]では、理学療法士が医師の視点を理解することにより、脳血管障害という疾病を客観的に捉えるための第一歩が始まると考え、医師の診察方法、診断基準、リスク管理など、脳血管障害と接する際に必要不可欠な基本的事項について解説した。特に医師の診察方法の動画では、診察の手順や会話から得られる情報など、活字のみからでは決して学ぶことができない貴重な映像を紹介している。
 第4章の「病巣病型別実践理学療法」では、病巣病型の異なる典型的な11症例を呈示し、特に病巣部位と関連した特徴的な症候に対する理学療法について、できる限り特別な器具や特殊な技術を用いずに行える基本的かつ臨床的な方法を詳しく紹介している。また、ここで紹介した症例が典型例であるが故に、実際の臨床では、この11症例の必要箇所を抜粋統合する応用的な作業が必要になる症例もあることをご理解いただきたい。
 本書が脳血管障害の理学療法に携わる多くの理学療法士の方々にそして理学療法士を目指し日々勉学に励まれている後輩学生諸君に少しでも役立てば幸いである。
2010年3月
今井保

脳血管障害は、発症時において速やかな治療が求められるとともに、回復までの過程は長く、患者さんだけでなく医師や病院にとっても負担の大きい疾患である。しかし、個々の障害の程度や能力に即した効果的な治療プログラムを立てて、密度のあるリハビリテーションを行えば、生活復帰は高まると考えられている。
 本書は、一般的にリハビリテーションの対象として遭遇することの多い脳血管障害に対して、医師の診察場面をはじめ、理学療法士による具体的な理学療法技術を、これまでになかった病巣病型別にして、大変わかりやすく解説している実用的な書籍である。
 本書は4章から構成されており、第1章の「実践理学療法の前に」では、脳血管障害を捉えるために、診察方法、診断基準、再発予防、リスク管理が、第2章の「共通する理学療法テクニック」では、急性期での座位開始基準、急変時の対応、標準的な動作介助方法、歩行装具の説明が、第3章の「集中治療室での理学療法」では、急性期のベッドサイドで行える理学療法評価、ベッド上での運動方法が紹介されている。そして、第4章の「病巣病型別実践理学療法」では、病巣病型が異なる典型的な11症例が供覧され、病巣部位と関連した特徴的な症候に対する理学療法が紹介されている。中でも、病巣病型別の理学療法においては医師の処方、画像情報をもとに、病巣部位から生じる特徴的な神経症候が詳しく示され、その症候に応じた適切な評価方法と基本的な理学療法アプローチがより具体的に解説されている。
 また、本書の特徴は、多数のDVD動画とナレーションを駆使して、脳血管障害での診察場面から、基本的な理学療法技術を実際に視覚的・聴覚的に学習できる点にある。とくに、医師による診察時の問診の仕方や診察技術が目に見えるように把握できるとともに、病巣病型別に寝返り・起き上がり・座位・立位・歩行などの基本動作練習での動作の診方、動作獲得のための要点が明確に示されて、理学療法の技術習得に役立つ動画内容になっている。さらに、日々の臨床場面に直結した「ワンポイントアドバイス」の記載は、理学療法を進めるうえでの大切な事柄について、著者の経験をもとにして解説されている。
 実際に、脳血管障害に対するリハビリテーションを行う際には、多職種からなるチームでの連携が重要である。本書は、全体を通して、とくに理学療法士が医師の視点を、医師がまた理学療法士の治療アプローチを理解できる内容となっている。本書が示す、脳血管障害の病型や病巣部位から生じる特徴的な症候を理解して理学療法を実践することは、脳血管障害のリハビリテーションを充実させて、患者さんのニーズに応えることができる一助になると思われる。したがって、患者さんの生活復帰のためにも、本書は、ぜひとも活用していただきたい良書として、推薦したい一冊である。
評者● 川合宏
臨床雑誌内科106巻6号(2010年12月増大号)より転載