書籍

所見の書き方がまねできる腹部超音波検査レポート実例集

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

監修 : 久直史
: 土居忠文
ISBN : 978-4-524-24069-2
発行年月 : 2005年10月
判型 : 新書
ページ数 : 212

在庫なし

定価3,240円(本体3,000円 + 税)

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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

腹部超音波検査のレポート、チェックシートにマークするだけで済ませていませんか? 正しく伝えるためにきちんとまとめたい、だけどどう書いたらよいかわからないという医療スタッフのために74の実例を用意。これをまねしてレポート作成していくうちに、疾患の特徴所見も自然に身に付く。よく目にする専門英語用語も調べられ、辞書のようにも使える一冊。

■総論
チェックリスト
一般的なチェック項目
有所見の記載
肝臓超音波所見のポイント
胆嚢超音波所見のポイント
胆管超音波所見のポイント
膵臓超音波所見のポイント
脾臓超音波所見のポイント
脾門部超音波所見のポイント
腎臓超音波所見のポイント

■各論
Case 1 脂肪肝(軽度)
Case 2 脂肪肝(中等度)
Case 3 脂肪肝(高度)
Case 4 脂肪肝(中等度)
Case 5 不均一脂肪肝
Case 6 慢性肝炎 リンパ節腫大
Case 7 肝硬変
Case 8 肝硬変
Case 9 肝硬変 門脈血栓症
Case 10 肝硬変 側副血行路
Case 11 肝細胞癌
Case 12 肝細胞癌(高エコー型)
Case 13 転移性肝腫瘍(結腸癌)
Case 14 転移性肝腫瘍
Case 15 限局性結節性過形成
Case 16 肝血管腫
Case 17 肝嚢胞
Case 18 多発性肝嚢胞
Case 19 ポルフィン症
Case 20 肝内石灰化
Case 21 胆道気腫
Case 22 うっ血肝
Case 23 肝内門脈―肝静脈吻合
Case 24 肝外門脈閉塞症
Case 25 胆石
Case 26 胆石
Case 27 急性胆嚢炎
Case 28 慢性胆嚢炎
Case 29 胆泥
Case 30 胆嚢ポリープ
Case 31 胆嚢腺筋腫症
Case 32 胆嚢癌
Case 33 胆管癌
Case 34 先天性胆管拡張症
Case 35 急性膵炎
Case 36 慢性膵炎
Case 37 膵 癌
Case 38 島細胞腫瘍
Case 39 膵嚢胞
Case 40 脾腫・副脾
Case 41 脾リンパ管腫
Case 42 胸 水
Case 43 慢性腎不全
Case 44 腎結石
Case 45 腎石灰化
Case 46 腎細胞癌
Case 47 腎嚢胞
Case 48 傍腎盂嚢胞
Case 49 多発嚢胞性腎異形成
Case 50 多発性嚢胞腎
Case 51 ナッツクラッカー現象
Case 52 腎動脈狭窄
Case 53 尿管癌
Case 54 副腎腫瘍
Case 55 副腎腫瘍・肝転移
Case 56 腹部大動脈瘤
Case 57 大動脈解離
Case 58 腹部大動脈血栓
Case 59 偽性大動脈縮窄症
Case 60 回盲部リンパ節腫大
Case 61 胃癌
Case 62 肥厚性幽門狭窄症
Case 63 イレウス
Case 64 腸重積症
Case 65 急性虫垂炎
Case 66 癌性腹膜炎
Case 67 腹壁瘢痕ヘルニア
Case 68 膀胱癌
Case 69 膀胱沈殿物
Case 70 前立腺腫大
Case 71 前立腺癌
Case 72 子宮筋腫
Case 73 卵巣嚢腫
Case 74 停留精巣
参考文献
索引

私が超音波検査を始めた頃は、超音波所見の記載に大変苦労していました。胆石の症例ひとつを取ってもどのように書けばよいのかわからず、最初は先生方の書かれた所見を見本に、まねて書いたものです。所見書きの手本になるものがあればと常々思っていました。本書はそのような思いから生まれました。
 腹部超音波検査の報告書形式は施設によりさまざまですが、「チェックリスト」と「有所見のコメント」で構成されているものが多いと思います。有所見のコメントには、病変の有る無しのみではなく、その詳細を正確に臨床医に伝えるという使命があります。また、有所見の詳細が適切に記載できるということは、適切な超音波像の描出ができているということでもあります。検査室で所見の書き方が確立されている施設では、所見書きの苦労は少ないと思いますが、超音波検査を始めて間もない検査室では、所見書きに少なからず苦労されているのではないでしょうか。
 本書は、典型例についての有所見の記載例をできるだけ示しました。超音波所見を示す単語については和文、英文が選択できるように配慮しました。また、ガイドポストとして、超音波像のポイントとなる部位、所見をイラストで示し、少しの説明を加えました。本書をヒントに、最終的には各施設に合ったかたちでアレンジしていただければ幸いです。本書が、これから超音波検査を始められる方々や始めて間もない方々に活用していただけることを願っています。
 本書の発刊にあたって、ご多忙の中、監修の労をとっていただいた図南病院院長の久直史先生、本書の作成に協力していただいた高知大学医学部附属病院検査部生理検査室スタッフー同に心から感謝いたします。
2005年9月
土居忠文
(一部改変)

消化器科の医師にとって、超音波検査は現代の聴診器である。かつて名医のみが知り得た情報を、客観性をもって正確に示すことが可能となり、診断のみならず治療にも盛んに超音波検査は導入されている。肝癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法は好例で、超音波検査下の治療として、昨今急速に普及している。

 さて、腹部超音波検査を学ぼうと、How to 本を探してみると、最近では一体どれを読むべきかと迷うほど多数見受けられる。内容もそれぞれに異なり、多種多様な手順や工夫があることに気付かされるが、レポートの書き方となるとどうだろう。そこまで面倒をみてくれる書物はなかなか見当たらない。本書は、そういった初心者の要求にストレートに答えてくれる数少ない一冊である。

 まず本を開いて、ポケットサイズであるのに鮮明な画像に驚かされる。紙質でいえば決して贅沢なものではなく、一枚一枚の画像サイズも大きなものではないが、それでいてかなり微細な構造まで描出され、正確に印刷されていると感じる。このような画像テキストの生命線は文字通り「画質」であると思われるが、著者および検査室スタッフの高い技量に基づくものと感服する。また、すべての画像にボディマークが挿入され、ガイドポストと名付けられたイラストが、画像所見の理解を助けてくれる。症例にもとづく各論(記載例)に多くの頁をさき、疾患に対応する所見もすぐに探すことができる。ここではまず、「臨床診断・検査目的」が記載されているが、超音波検査がオーダーされた経緯まで知ることができる。さらに、他疾患との鑑別ポイントなど、熟達者にも参考になると思われる簡潔な解説もなされており、大変興味深い。

 一方、フットノートに専門用語が英語と日本語で併記されており、索引も充実しているため用語集としても活用できる。専門用語を習得することは、初心者の必須項目である。超音波プローブを握るときには、本書をつねにポケットに入れ、自ら所見を書き出す前に、本書の所見と比較してみてはどうだろうか。サブタイトルにあるように、「所見の書き方がまねできる」ことが実感できるだろう。

 ボリュームが決して多くないのに、腹水量の算出法など、きめ細かい情報も挿入された本書は、まさしく臨床の現場で生まれたものである。超音波の技能が向上しても、それを表現する手段をもたねば現場で活かされない。「手本になるものがあったなら……」との著者の思いが結実した良書といえる。

評者● 寺谷卓馬(東京大学消化器内科)
臨床雑誌内科97巻4号(2006年4月号)より転載