書籍

IVUSテクニックマニュアル

: 小谷順一
ISBN : 978-4-524-24064-7
発行年月 : 2006年6月
判型 : B5
ページ数 : 188

在庫僅少

定価6,156円(本体5,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

PCIの術前術後の診断・評価デバイスとして、今や欠かすことのできないIVUSについて、著者の豊富な経験・症例とエビデンスに基づき解説。IVUS機器のセットアップから画像の解釈、CAGとIVUSの比較、PCIへの応用までを実践的にあつかう。また、DESにおけるIVUSの活用法にも多くを割き、一層臨床に役立つ内容となっている

1章 IVUS活用のための基礎知識

A IVUSにおける基礎知識と基本操作
 1 システムの理解―solid state technologyとmechanical scanners
 2 機器のセットアップ―Clear View systemにおける関西労災病院法
 3 イメージの保存
 4 最低限押さえておくべき操作手技
  a.亜硝酸薬の冠動脈内投与
  b.カテーテルの通過―病変に起因するもの
  c.カテーテルの通過―解剖学的なもの
  d.カテーテルの断線
  e.冠動脈内におけるワイヤーとの干渉
  f.コントラスト法
 5 合併症とその対策

B IVUSの適応
 1 虚血性心疾患における IVUSの位置付け
 2 ガイドラインからみたPCIにおけるIVUSの適応
  a.ガイドラインの解釈と問題点
  b.術前のIVUSによる病変診断

C IVUSから得られること
 1 定量的評価
  a.外弾性板計測
  b.内腔計測
  c.粥種(plaque+media)計測
  d.ステント計測
  e.血管のリモデリング(vascular remodeling)
 2 定性的評価
  a.ソフトプラーク(soft, echolucent, low echoic)
  b.線維性プラーク(fibrous plaque)
  c.混合性プラーク(mixed plaque)
  d.石灰性プラーク(calcified plaque)


2章 冠動脈造影(CAG)とIVUSからわかること

A IVUS像の読み方(解釈)の基本
 1 planner image(transverse image)とlongitudinal image
 2 正常血管のIVUS像
 3 IVUS像と解剖学的特徴
 4 病態に特徴的なIVUS所見
 5 IVUSからみたPCIの合併症
 6 IVUSのアーチファクト
 7  CAGでは評価困難な、特殊な病変症状のIVUS所見

B CAGとIVUSの対比
 定量的冠動脈造影法(QCA)の解釈とその限界
  a.定量的評価におけるCAGとIVUSの相違
  b.定性的評価におけるCAGとIVUSの相違
  c.血管の代償性リモデリングとプラークの局在性

C PCI後の病変部の変化
 1 PCIによる内腔開大の機序
 2 PCI後の遠隔期の病変変化

D デバイスからみたPCI
 1 POBA(plain old balloon angioplasty)
 2 粥種切除・焼灼術(atherotomy、atheroablation)
  a.方向性冠動脈粥種切除術(DCA)
  b.PTCRA(ロータブレーター)とELCA
 3 bare metal stent(BMS)
  a.IVUSガイド下(bare-metal)ステント留置
  b.ステント長の影響
  c.“適切な”ステント留置
  d.ステント留置病変における再狭窄の成因

E PCIの不成功とその因子
 1 IVUSガイドによるPCI成功率の向上
  a.血管壁内血腫
  b.冠動脈穿孔
  c.ステント内血栓症

 2 PCIに伴うplaque embolization
  a.IVUSからみたdistal embolizationとprotection divice
  b.CAGをもとにした塞栓症の評価
  c.その他の手法による塞栓の検出


3章 PCIストラテジーにおけるIVUS活用法

A Drug-eluting stent時代のIVUS活用法
 1 POBAから新デバイス、そしてlocal drug deliveryへ
 2 DES時代のIVUSの役割
  a.“どれだけ拡張するか”から“どのように拡張するか”へ
  b.DES登場による適応の拡大
 3 DESの問題点
  a.DES留置後の再狭窄
  b.ステント内血栓症
  c.DES留置後の病変部の変化

B 各種病変(解剖学的分類)におけるIVUS活用法
 1 左冠動脈主幹部(LMT)病変
 2 入口部病変
  a.negative remodeling
  b.ステント留置時の位置決め
  c.DESによる治療効果
 3 分岐部病変
  a.分岐部病変の問題点
  b.側枝へのプラークの偏位
  c.分岐部病変におけるステント留置
 4 小血管・びまん性病変
  a.びまん性病変の問題点
  b.びまん性病変に対するPCI
 5 静脈グラフト
  a.IVUSによる静脈グラフトの評価
  b.IVUSからみた静脈グラフト治療の遠隔期成績

C 病変背景におけるIVUS活用法
 1 石灰化病変
 2 血栓性病変と塞栓症
 3 慢性完全閉塞病変
  a.IVUS使用による初期成功率の向上
  b.長期開存とCTOに対するIVUSガイド下PCI
  c.CTOに対するDES留置
 4 ステント内再狭窄に対する再PCI
  a.“pseudo”ISR
  b.バルーン/cutting balloon angioplasty(CBA)
  c.ISRに対するBMSによる再治療
  d.ISRに対するアブレーションと“instant”restenosis
  e.ISRに対する血管内放射線照射療法(VBT)
  f.ISRに対するDESによる治療

D 患者背景とIVUS
 1 腎機能障害例に対するIVUSガイド下“less contrast use”PCI
 2 糖尿病患者におけるIVUSとPCI
 3 多枝病変に対する治療(バイパス術とPCI)


4章 血管内診断法の最前線

A IVUSを用いた薬剤の効果および区間領域における経時的変化の判定
 1 脂質低下療法と動脈硬化
 2 脂質低下とプラークおよび血管構築の変化
 3 移植心における冠動脈病変の進行

B 超音波診断における今後の展望
 1 血管造影法とIVUSの融合
 2 血管内病変における局所診断法
  a.従来のグレイスケールIVUSによるACSの予測
  b.elastographyとpalpography
  c.virtual histology
  d.超音波顕微鏡(scanning acoustic microscope)

C その他の血管内診断法
 1 ドプラフローワイヤー/プレッシャーワイヤー
 2 血管内視鏡
 3 血管内温度計測機器(thermal detection catheter)
 4 MRI
 5 光干渉断層像(CTO)

索引

“IVUS is the in vivo pathology”は、私の師でありIVUS研究の第一人者であるGary S.Mintz先生の言葉である。虚血性心疾患の治療に経皮的冠動脈インターペンション(percutaneous coronary intervention:PCI)が広く用いられるようになったことから、その成績向上のためには病変部からの詳細な情報収集が必要となった。そして、1980年代には多くは剖検例からの知見としてPCIの病変拡張機序や再狭窄の機転が報告されるようになった。ところが、同一症例における治療前後の比較といった臨床家の疑問を解決できるに十分な報告はなく、これが基礎系研究と臨床的研究との大きな乖離であった。このような背景から生体において冠動脈造影法(coronary angiography:CAG)のさまざまな限界を補う手段が模索され、歴史的には生理学的手法と画像診断法が主として用いられてきた。この中で、血管内超音波法(intravascular ultrasound imaging:IVUS)は画像診断法の代表として非常に多くの情報を提供した。これらの情報の集積とその評価は、今日においては術介入の適応決定や至適エンドポイントに影響を与える程となっている。
筆者は、IVUSとIVUSを用いた臨床研究がここまで広く浸透したのは、得られる情報が非常に病理学(pathology)的な要素を含んでいるからであろうと考えている。すなわち冒頭言である。さらに、IVUSが超音波といった診断機器の範疇を越えて術中・術後の評価あるいは遠隔期における再狭窄の機序、ならびにその予測といった治療に直結した手法として有用であることも大きい。これが私のIVUSを活用する所以でもある。
 ところがIVUSから得られる画像は基本的にはグレースケール表示であり、まったく知識のない状態でこの静止画の断層像を見ても得られる情報は少ないであろうと思われる。実際に筆者への画像解釈の依頼や定期的にIVUSの研修に来られる先生も多くなってきた。このような中、南江堂よりIVUSを通してPCIというものを正しく理解・整理し、IVUSを日常のPCIに有効に活用するための手引書があまりに少ないとのご指摘があった。これが本書発刊の契機となった。
 一方、本書は1996年よりIVUSが正式導入された関西労災病院における1,000余例のデータならびに筆者の知識整理の結果でもある。筆者のIVUS診断は動的であるべきだとの観点から、III章(p.25〜)とIII章(p.93〜)にはanalog movie(いわゆるパラパラ漫画)も掲載した。この分野では初めての試みであり、適当なcoffee breakになるのではないかと愚考している。
 また、本書では多くの文献を基礎知識のエビデンスとして掲載した。本書のタイトルにあるテクニックとは、私流のPCIやIVUS画像の解釈を押し付けるのではなく、これを読んだ諸兄自身にその基礎知識を理解した上で磨きあげられるものと考えている。
 PCIの際にIVUSを用いたというだけでは、術中・術後の心事故回避には繋がらない。得られた情報を正しく認識・診断し、自分の中の正しい知識と照合し、適切な処置を追加することによって初めて達成されうる。これは特別難しいことではなく、すべての臨床の基本であると考えている。本書が多くの方の日常臨床に役立てば、まことに幸甚である。
2006年5月
小谷順一