書籍

ナース・研修医のための心電図が好きになる!

: 山下武志
ISBN : 978-4-524-23924-5
発行年月 : 2004年8月
判型 : A5
ページ数 : 164

在庫あり

定価2,700円(本体2,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

研修医、看護師、検査技師など、これから心電図を学ぶ人、心電図でつまずいた人を対象に、不整脈・心電図判読の名人である著者が単純明快に心電図を解説。所見に根ざした順序の記述ときれいな心電図で構成され、病棟でわからない心電図をみたときにすぐに答えにたどりつく。充実したコラムではより一歩上の知識をわかりやすく解説し、持っているだけで安心できる一冊。

1章 モニター心電図ってなに?
 A モニター心電図を記録するとき
 B なんとなく自信がない不整脈:名前がつけられないから迷っているだけ

2章 モニター心電図を読んでみよう
 A 心拍数が遅かったら―P波を見よう!
  Case 1 P波は遅くないけどQRS波が遅い
  Case 2 P波もQRS波も同じように両方遅い
  Case 3 P波がない遅い徐脈
  Case 4 速い不整脈のあとに急に遅くなる
 B 心拍数が速かったら―QRS波を見よう!―QRS幅が狭いとき
  Case 1 一見正常だけど、心拍数は100拍/分を超える
  Case 2 正常なんだけどなんとなく不規則
  Case 3 ときどき不規則
  Case 4 規則的で速い
  Case 5 基線がギザギザしている不整脈(ギザギザは規則的)
  Case 6 基線が揺れ、まったく不規則な不整脈
 C 心拍数が速かったら―QRS波を見よう!―QRS幅が広かったら
  Case 1 ときどき不規則
  Case 2 幅の広いQRS波からなる頻脈
  Case 3 心室頻拍?
  Case 4 グチャグチャのモニター心電図
  Case 5 グチャグチャのモニター心電図だけど...
 D ペースメーカー患者のモニター心電図

3章 12誘導心電図ってなに?
 A なぜ12誘導心電図なんだろう?
 B 12誘導心電図を見る順序を考えてみよう

4章 12誘導心電図を読んでみよう
 A 「この12誘導心電図は正常です」と自信をもって言ってみよう!
 B 異常なQRS波をチェックしよう!
  Case 1 異常Q波はないか?
  Case 2 大きすぎるQRS波はないか?
  Case 3 変な形のQRS波をチェックしよう!
 C 異常なST部分をチェックしよう!
  Case 1 一部の誘導でST部分が上昇している!
  Case 2 全部の誘導でST部分が上昇している!
  Case 3 ST部分が低下している!
 D T波、P波をチェックしよう!
  Case 1 異常なT波をチェックしよう!
  Case 2 異常なP波をチェックしよう!

5章 心電図プロになるアイテム集
 A 変行伝導って?
 B 変化していそうで実は変化していない心電図:移行帯を知っておこう!
 C WPW症候群って?
 D Brugada症候群って?
 E QT延長症候群って?
 F 不整脈エビデンス(1):心室期外収縮を見たらどうする?
 G 不整脈エビデンス(2):心房細動を見たらどうする?
 H 不整脈エビデンス(3):心室頻拍、心室細動を見たらどうする?
 I 心電図の解釈を間違えること:木を見て森を見ず!
 J 心電図プロになるコツ

毎年春になると、病棟ではたくさんのナースや研修医がフレッシュマンとして夢と希望に満ちながら働さ始める姿が見られます。そして1年もすれば彼らはすっかり仕事に慣れ、今度は逆に新たなフレッシュマンを迎える立場となります。全てのナース、医師にとって、病棟で働き始めた最初の1年間ほど、さまざまな経験を積み、多くのことを学び、そしてその結果大きく成長できる期間はないと思います。
 この最初の1年で、患者さんにどのように接するか、指示をどのように出すか、処理するか、そしてカルテにどのように記録するかなどの基本を身につけます。では、このような病棟業務の基本の中で最も親しみにくいものは何でしょうかと尋ねてみると、心電図に関する答えが数多く返ってきます。
 心電図の教科書はえてして規則と理屈が多くなりがちです。しかし、病棟勤務が始まると心電図以外にも勉強しなければならないことは山積みです。そのような中、いかに時間をかけずに心電図が好きになるかということが重要になります。本書の目的はそこにあります。だから、心電図を見て何をすればよいのかという実践的な観点を重視しています。前半はモニター心電図、後半は12誘導心電図について書かれていますが、どこからでも気軽に読んでください。病棟で困った心電図を見たときのために調べやすいようにも工夫しました。本書をお読みになれば、今まで親しみにくいと思ってきた「心電図」がきっと好きになることでしょう。そして不安なく、自信をもって毎日勤務できるようになることと期待しています。
2004年8月
山下武志

心電図嫌いの人をまず読む気にさせる
 心電図の教科書はややもすると波形の原理から入り、おびただしい心電図の羅列とパターン認識に終始する。原理がわからず、心電図パターンも多すぎて覚えられず心電図嫌いになった人も多いのではないだろうか。その中で、この本は“心電図が好きになる”という大胆なタイトルが付いている。いったいどんな内容だろうとページをめくってみると、予想に反してまずモニター心電図をなぜつけるのかという目的意識に訴えてくる。最初の 2 ページには心電図パターンのことは一言も書かれず、心電図嫌いであった人をまず読む気にさせる。また重要な箇所は赤字で目に飛び込み頭に焼き付く。

不整脈の名前付けは簡単
 その次に、不整脈の種類は少なく意外と簡単ですよとおっしゃる。徐脈は大きく 2 つ、頻脈は 2 つと 4 つの組み合わせであると単純明快に解説されている。なんとなくわかった気になってさらに読み進む。
case ごとのタイトルをパターンで示し、自分が出合った不整脈を探しやすい

 大項目として、モニター心電図と 12 誘導心電図に分け、モニター心電図では case ごとのタイトルを不整脈名ではなくパターンで示し、自分が出合った不整脈に合うパターンをみつければ、そこに心電図の解釈が述べられている。12 誘導心電図では、順序立ててみる方法がわかりやすく書いてある。正常 12 誘導心電図をたくさんみよう、というコンセプトは私も大賛成である。
対処法を簡潔にしかも要点をもらさず記載
 さらに優れていると感じるのは、心電図診断にとどまらず、その心電図をみてどう対応するのかが簡潔にしかも要点を逃さず記載されていることである。たとえば、case 4 のグチャグチャのモニター心電図(心室細動)では、迅速な救急蘇生処置の必要性と回復しない場合の心肺蘇生術(ACLS)にまで言及している。
“プロになるために”と向上心をくすぐる
 また、ところどころに“プロになるために”という表題で向上心をくすぐり、最後に心電図プロになるアイテム集がまとめられている。実にバランスのよいコンパクトな心電図読本とお見受けした。

 ここで、当院 CCU 看護師にこの本をみせ、以下の意見をもらったので紹介しておこう。
(1) 臨床の場に合った実践に結び付けられる内容だと思います。処置方法が書かれているのがよい。
(2) 心電図についての説明がわかりやすく、ポイントを押さえてくれているので理解しやすい。
(3) チェックポイントが色々な形で示されており、楽しく読むことができました。看護対応、医師対応まで書かれていて実際の臨床場面につながりやすい。
(4) 楽しく読むことができました。不整脈をどのような順番で考えていけば理解できるのか、などわかりやすかった。

 楽しく読める心電図の解説本は貴重である。おそらくナース、研修医になって 3 ヵ月以上が経ち、心電図入門編を読んでもなかなか理解できない。そんな場合に最適の心電図攻略本といえる。大変ご多忙の中このようなすばらしい本を執筆された山下先生に敬意を表したい。

評者● 是恒之宏(国立病院機構大阪医療センター臨床研究部長)
臨床雑誌内科95巻1号(2005年1月号)より転載