書籍

PCIテクニックマニュアル

編集 : 南都伸介
ISBN : 978-4-524-23825-5
発行年月 : 2004年9月
判型 : B5
ページ数 : 318

在庫僅少

定価8,100円(本体7,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

PCI(冠動脈インターベンション)手技をマスターするため、初〜中級者・カテーテル室スタッフを対象に、実践的内容をわかりやすく解説する入門書。PCIの基本システムから実際の手技と適応・合併症・成績を豊富なイラストとともに示し、カテーテル室スタッフの役割についても一章設ける。「ワンポイントアドバイス」のコラムも内容充実。

1.PCIシステム
a.アンギオ装置とデータベース
 1.アンギオ装置
  A.X線高電圧発生装置
  B.X線管球
  C.イメージインテンシファイア
  D.TVシステムおよびシネカメラ(アナログからデジタルへ)
  E.アンギオ装置のシネレス化
 2.データベース
  A.データベース管理システム
  B.カテーテル検査・治療データベースのタスク
  C.カテーテル検査・治療データベースの導入理由と方法
  D.カテーテル検査・治療データベースの構築
b.PCIに必要な各種デバイス
 1.PCIシステム一般、ガイディングカテーテル、ガイドワイヤー、バルーンカテーテル
 2.カッティングバルーン
 3.ステント
 4.DCA
 5.ローターブレーター
 6.血栓吸引、distal protection
 7.TRIに特異的なデバイス

2.手技・テクニック
 1.ガイディングカテーテル
 2.ガイドワイヤー
 3.バルーンカテーテル(POBA)
 4.カッティングバルーン
 5.ステント
 6.DCA
 7.ロータブレーター
 8.血栓吸引、distal protection
 9.TRI
 10.PCIカテーテル交換
 11.合併症対策(トラブルシューティング)

3.PCIにおけるbeyond Angiography
 1.IVUS guide PCI
 2.ドプラガイドワイヤー(FloWire)、プレッシャーワイヤー

4.適応、合併症、成績
 1.バルーンカテーテル(POBA)
 2.カッティングバルーン
 3.ステント
 4.DCA
 5.ローターブレーター
 6.血栓吸引、distal protection
 7.TRI
 8.IVUS

5.インフォームドコンセントから退院後の患者管理まで
  A.インフォームドコンセントと手術承諾書(同意書)の意義
  B.術前および術中の評価
  C.術後管理

6.コメディカルスタッフの役割
 1.病棟におけるPCIの看護
  A.待機的PCIの看護―入院から退院まで
  B.急性心筋梗塞後のPCIの看護―急性心筋梗塞による入院
  C.病棟の教育体制
  D.コメディカルとの連携
 2.カテーテルラボにて
  A.検査に携わる看護師の心構え
  B.入室前の準備/患者の入室

DotterとJudkinsは動脈硬化による血管の狭窄病変に対してカテーテルを用いて拡張する方法を1964年に考案し、バルーンカテーテルシステムを用いて下肢閉塞性動脈硬化症のカテーテル治療に成功した。カテーテルを用いた血管拡張術は、カテーテル挿入部の合併症の頻度が高いことや拡張部位での血管内膜の損傷があるため、米国ではあまり行われなかったが、ヨーロッパではPorstmann、Zeitlerらによってカテーテルの改良が行われ、カテーテル法による硬化性血管病変の治療法が発達した。1974年にはGruentzigとHopffは二腔式のバルーンカテーテルを考案し、血管拡張術の安全性と初期成功率が高まった。さらに本法を冠動脈に応用するために1976年にGruentzigは細いカテーテルを考案し、動物および剖検心の冠動脈の拡大に成功した。1977年にGruentzigとMylerは冠動脈バイパス術中に、同年9月には経皮的にバルーンカテーテルによる冠動脈狭窄の拡張に成功した。その後、Stertzerらによって本法の効果が確認され、劇的に普及するにいたった。
 現在では冠動脈疾患のカテーテル治療一般をPCI(percutaneous coronary intervention)と称するが、当時はPTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty)とよばれていた。その後、バルーンカテーテル以外のデバイスが登場したために、バルーンカテーテルを用いる手技のことはPOBA(plain old balloon angioplasty)とし冠動脈のカテーテル治療一般をPCIとよぶようになった。PTCA普及当初の1980年ごろの適応基準は、一枝病変の安定型の狭心症例で、近位部、限局性、求心性、非石灰化病変と大変限定されたものであった。それでもNHLBIの報告では、一次成功率は61%と低いものであった。その後、器具の改良と術者の経験の増加に伴って90%を超えるようになり、適応症例が年々拡大されていくことになる。
 日本においてもPCIは、年間の治療症例数が15万人を超すともいわれ、循環器科治療の要である。これからPCIを学ぼうとする術者のみならず、放射線技師、看護師などがその基本知識を正しく習得することは、これだけ多くの症例に村して本治療法を安全にかつ高い成功率で行っていくうえできわめて重要である。この本を編集するにあたり、幅広い読者層に容易かつ正確に内容を理解してもらえることを最大の目標においた。箇条書き形式で記述し徹底的に文章の簡素化をはかり、手技上のTips and Tricksはワンポイントアドバイスの形で説明を附加し、図も写真をイラスト化することにより重要な点を一目で理解してもらえるよう工夫した。そのために、著者各位や南江堂には大変な負担をおかけしたが、理解しやすいすばらしい本になったと思っている。本書が皆様のお役に立てればまことに幸甚である。
2004年7月
南都伸介

Gruentzigがバルーンカテーテルによる冠血行再建術(PTCA)を施行したのが1977年であるから、それからすでに30年近く経過したことになる。その間にバルーンのみならず、ステントやロータブレータやDCA(directional coronary atherectomy)など次々と新しい冠硬化病変の拡張術が開発され、バルーンによる当初のPTCAは、POBA(plain old balloon angioplasty)として、その呼称にoldがつけられるようになった。いまはステント全盛の時代となり、わが国でも薬剤溶出性ステント(DES)の普及が著しいが、さらにdistal protection(末梢保護)のための血栓吸引も広く行われるようになってきている。

 これらの新しい手段を包括して、当初のPTCAはいまではPCI(percutaneous coronary intervention)と呼ばれている。このPCIの手技を会得することがいわゆるinterventional cardiologyを志す医師の大きな課題となっている。日進月歩のPCIテクニックをいかに修得するか、修得の早道はないか、誰しも悩むところである。

 わが国でPCIは年間約15万例に行われているが、PCIのテクニック全般を術者の立場で解説した指南書がほとんどないのは不思議なほどである。本書の編者はこれまでにもカテーテル手技の解説書の必要性を説き、みずから仲間と共著で『図解心臓カテーテル法』(中外医学社刊)を著した。図説が多く好評で第2版を重ねている。その経験を基に今回、PCIテクニックの図解解説書の編集に取り組んだときいている。

 PCIをはじめる循環器の医師がこんな解説書が欲しいと切望するような構成は何かを術者の立場になって考え、図説も術者の立場に立った解説を付けて、きわめてわかりやすく、かつ、正確に記述されている。約300頁のマニュアル解説書であるが、図のない頁がほとんど見当たらないくらい図説が多く、イラストの作成にずいぶんご苦労があったのではないかと推察する。

 文章も簡潔で、それでいて要点が的確に記述されていて読みやすい。内容も単にPCIテクニックの基本のみならず、PCIに必要なあらゆるデバイスの解説が、それぞれの手技を得意とする筆者により書かれており、まさにかゆいところに手が届くきめ細かさが感じられる。各所にワンポイント・アドバイスやひとくちメモが挿入されているのも実に気が利いている。各手技には必ず合併症についても詳述されており、術者として責任ある立場に立ったとき、もう一度読み直すべき必携の書といえる。ぜひ役立ててほしいと念願している。

評者● 堀 正二(大阪大学大学院循環器内科教授)
臨床雑誌内科95巻4号(2005年4月号)より転載