書籍

イラストレイテッド心電図を読む

鑑別に迷わないために

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

監修 : 杉浦哲朗
: 土居忠文
ISBN : 978-4-524-23534-6
発行年月 : 2003年9月
判型 : B5
ページ数 : 214

在庫なし

定価3,780円(本体3,500円 + 税)

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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

心臓の病態によって心電図はどんな波形を示すのか、どこからの刺激がどんな波形となって現れるのか、心臓断面図と波形を組み合わせたイラストで心電図の判読がいつのまにかできる一冊。覚えていたい知識を囲み記事にして随所にちりばめ、巻末の練習問題で復習もできる、研修医、臨床検査技師、看護師向けテキスト。

●口絵
 刺激伝導系
 心電図波形の成り立ちと名称
 基準値
 標準12誘導

第1章 調律異常および伝導異常
 1.洞調律とその異常
  A.正常洞調律
  B.洞性頻脈
  C.洞性徐脈
  D.洞性不整脈
  E.洞停止
  F.移動性ペースメーカー
  G.洞房ブロック
  H.洞不全症候群
  I.房室接合部調律
  J.補充収縮
  K.房室解離
 2.期外収縮
  A.期外収縮の分類
  B.期外収縮と基本調律との関係
  C.二段脈、三段脈
  D.心房性期外収縮
  E.房室接合部性期外収縮
  F.心室性期外収縮
 3.融合収縮
 4.心房細動・心房粗動
  A.心房細動
  B.心房粗動
 5.発作性上室頻拍
 6.心室頻拍・心室固有調律
  A.心室頻拍
  B.心室固有調律
 7.心室細動
 8.早期興奮症候群
  A.WPW症候群
  B.LGL症候群
 9.房室ブロック
 10.心室内伝導障害
  A.右脚ブロック
  B.不完全右脚ブロック
  C.左脚ブロック
  D.左脚前枝ブロック
  E.左脚後枝ブロック
  F.2枝ブロック
  G.3枝ブロック
  11.人工ペースメーカー

第2章 心房・心室肥大
 1.心房負荷
  A.右房負荷
  B.左房負荷
 2.心室肥大
  A.右室肥大
  B.左室肥大
  C.両室肥大

第3章 虚血性心疾患
 1.狭心症
  A.労作性狭心症
  B.異型狭心症
 2.心筋梗塞
  A.心筋梗塞
  B.下壁梗塞
  C.前壁中隔梗塞
  D.広範囲前壁梗塞
  E.側壁梗塞
  F.後壁梗塞
  G.右室梗塞
  H.非Q波梗塞

第4章 その他のQRS波、ST-Tの異常
 1.電気軸
 2.移行帯異常
 3.低電位
 4.右胸心
 5.心筋症
  A.肥大型心筋症
  B.拡張型心筋症
 6.急性心膜炎
 7.QT延長症候群
 8.R波の漸増不十分

第5章 電解質異常
 1.高カリウム血症
 2.低カリウム血症
 3.高カルシウム血症
 4.低カルシウム血症

練習問題
練習問題解説

心電図の判読を学ぶには、まず、P波、QRS波、ST部分、T波、PQ間隔、QT間隔などの基本パターンを十分に習得し、それから異常心電図のパターンの読み方、さらに各種病態における心電図の判読へと進むのが、一般的な勉強法のひとつと考えられます。
 本書は、主に異常心電図のパターンと各種病態における心電図の判読に重点を置き、心電図を学ぶための入門書としてまとめたものです。イラストを多く用い、わかりやすく簡潔に仕上げるよう努めました。また、初学者の理解の助けとして、各波形の基本的パターンや基礎的事項についても「ひとくちMEMO」で確認できるように配慮しました。
 臨床心電図の種々の所見は、心臓電気生理の比較的単純な原則によって理解できるものが多く、これらをよりわかりやすく理解できるように、イラストを用いて解説しました。とくに、不整脈の波形と刺激伝導系との関係を示したイラストは、著者自身が心電図を判読するときに頭に描いて判読の助けとしているものです。異常心電図の解説は簡潔にまとめ、心電図を判読する際に初心者が見落としなく判読できるように、症例ごとに心電図波形および所見を掲載しました。また、不整脈の鑑別診断について実例を示し、判読する際の助けになるように配慮しました。
 心電図検査は循環器疾患の診断において、最初に患者に適したオリエンテーションをつけるためのもっとも有効な検査のひとつであり、臨床検査技師や看護師などの的確な心電図の判読が、患者の救命に役立つことも少なくありません。本書は、初心者の方に活用していただくことを基本方針として作成しましたので、検査技師学校の学生諸君や臨床検査技師、看護師、研修医など、多くの方々に入門書として活用していただければ幸いです。
 本書の発刊にあたって、ご多忙の中、監修の労をとっていただいた杉浦哲朗先生に心から感謝いたします。
2003年8月
土居忠文
(一部改変)

医学図書売り場に立ち寄ってみると、びっくりすると同時に考えてしまうことがある。これほど多くの書物が出版されていて、どのぐらいの人たちが実際にその本を読んでいるのだろう。その中でも、「心電図」に関する書物はきわめて多い。逆に医学図書の分野でもっとも読まれているのも、この「心電図」に関する書物だというデータがある。つまり、困って探している人たちが多い一方で、読者が満足する本がなかなかないという状況だ。多くの情報が立て続けに流され、コメディカル、メディカルともに「心電図」に関わる教育の時間は確実に減少している。にもかかわらず、医療現場に入ると、どのような分野に配属されても絶対に必要になるのは、この「心電図」に関する知識である。

 このような数多くある心電図教本の中に、今回新たな一冊が出版された。これまでの書物は循環器専門医が執筆していたが、この本は検査部の副技師長によって書かれている、というのが一番のポイントだろう。読んでみるとすぐわかるが、このポイントが一言でいうと「きわめて親切丁寧」である、という形で表現されている。出されている心電図は非常に綺麗で、イラストも多い。ともすればむずかしく書かれがちな心臓電気生理学に関する知識も、心電図を解釈するときに必要な程度だけ、きわめて平易に書かれていて、初学者の読者視点を重視する教科書である。「デバイダーをあてるようにしよう」、「誘導は、心臓をどの方向からみるかということ」、あるいは臨床現場には多い「アーチファクトの説明」など、他書にはあまりみられない記述が多くなされている。これも実際に検査室で多くの経験をされ、さらに学生指導を行ってこられた著者の「こつ」ともいうべきものである。

 初学者は読み進めていると、検査室で実習を受けているような気分になるだろう。本書はこのように、初学者がともすると敬遠しがちな「心電図」を親しみ深くさせてくれる。これまでの書物に距離を感じた人にとっては、とくに一読する価値のある書物だと思う。本書は心電図をいかにたやすく理解するかという本であるため、解釈したあと、どのように対処するか、治療するかのコメントには乏しい点があるが、とくにコメディカルからの反響がよいのではないだろうかと推察する。

 書物はそれぞれ、一つの大きな特徴をもっていることが望ましい。その特徴が著者の人柄をもしみじみ味わわせてくれる。本書は「心電図」に関するそのような好著だ。この本を手にとれば、「心電図」嫌いは間違いなく減るだろう。

(山下武志)
臨床雑誌内科93巻3号(2004年3月号)より転載