書籍

臨床研修実践マニュアル

編集 : 奈良信雄
ISBN : 978-4-524-23515-5
発行年月 : 2003年12月
判型 : A5
ページ数 : 650

在庫僅少

定価7,344円(本体6,800円 + 税)

  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

【本書の特長】

・厚生労働省のガイドラインを網羅
・2年間の臨床研修期間に習得すべき事項を余すところなく記載
・簡潔な記述、3Dのビジュアルな図で、短時間で頭の中をスッキリ整理
・ベテラン医師の考え方がわかる「ココがポイント」「ココが豆知識」
・届出義務、診断基準など、実地医療を行うのに必要な項目を付録として満載
・研修医だけでなく、指導医、クリニカル・クラークシップ実習を受ける医学生にも満足の1冊

【主要目次】
第1章 医療記録の書き方
1 診療録(カルテ)
2 処方箋の書き方
3 指示簿の書き方
4 診断書の書き方
5 紹介状と報告書

第2章 基本的診察法
1 医療面接
2 全身の診察
3 バイタルサイン
4 心音の聴診
5 呼吸音の聴診
6 腹部の診察
7 直腸診
8 乳房の診察
9 産婦人科的診察
10 外陰部泌尿器の診察
11 神経学的診察
12 眼の診察
13 耳鼻・頸部の診察
14 四肢・脊柱の診察
15 皮膚病変の診察
16 新生児の診察
17 乳幼児の診察
18 育児相談・乳児健診

第3章 基本的検査法
1 尿検査
2 便検査
3 血球検査、凝固線溶検査
4 血液型判定・交差適合試験
5 心電図検査
6 動脈血ガス分析
7 生化学検査・酵素
8 免疫血清学的検査
9 呼吸機能検査・スパイロメトリー
10 細菌(真菌)学的検査・薬剤感受性検査
11 髄液検査:髄液採取
12 病理検査
13 内視鏡検査
14 心臓超音波検査
15 腹部超音波検査
16 単純X線検査
17 造影X線検査
18 CT検査
19 MRI検査
20 核医学検査
21 神経生理学的検査(脳波と誘発電位)

第4章 基本的手技
1 気道確保、挿管手技
2 採血法
3 注射法
4 穿刺法
5 導尿法
6 浣腸
7 ドレッシング(ガーゼ)交換
8 ドレーン・チューブ類の管理
9 胃管の挿入と管理
10 局所麻酔法
11 皮膚および創部の消毒法
12 簡単な切開・排膿
13 皮膚縫合法
14 包帯法
15 軽度の外傷・熱傷の処置

第5章 基本的治療法
1 療養指導
2 薬物療法
3 輸液
4 輸血
5 血液製剤
6 食事療法
7 運動療法
8 経腸栄養法
9 中心静脈栄養法(TPN)
10 血液浄化療法

第6章 救急処置
1 バイタルサインの把握
2 重症度および緊急度の把握(判断)
3 心肺蘇生術の適応と実施
4 小児救急疾患と処置

第7章 経験すべき症状・病態
◆緊急を要する疾患・病態
意識障害/脳血管障害/ショック/高血圧性脳症/急性心不全/急性冠不全/急性呼吸不全/急性腎不全・尿閉/急性感染症/急性腹症/急性消化管出血/急性中毒/外傷/熱傷/誤飲、誤嚥/アナフィラキシー/流産、早産、正期産/精神科領域の救急
◆頻度の高い症状
頭痛/めまい/胸痛/腹痛/腰痛/関節痛/歩行困難/四肢のしびれ/発熱/体重減少、体重増加/痙攣発作/失神/全身倦怠感/リンパ節腫脹/食欲不振/便通異常(下痢、便秘)/嘔気、嘔吐/嚥下困難/胸やけ/息切れ・呼吸困難/咳・痰/動悸/浮腫/脱水・電解質異常/血尿/失禁・排尿異常/不眠/発疹、かゆみ/結膜の充血/鼻出血/聴力障害、耳鳴り/黄疸/嗄声/尿量異常

第8章 Common Diseases
循環器疾患
呼吸器疾患
消化器疾患
血液疾患
腎疾患
内分泌疾患
代謝疾患
神経疾患
膠原病・アレルギー疾患
感染症
精神疾患・心身医学
眼科疾患
耳鼻科疾患
整形外科疾患
皮膚科疾患
泌尿器科疾患
婦人科疾患
小児科疾患

付録
・医師の届出義務
・感染症新法における感染症の分類
・伝染性疾患の登校停止期間
・予防接種法
・厚生労働省特定疾患
・各疾患診断基準
・改訂長谷川式簡易痴呆スケール(HDS-R)
・介護保険
・臨床検査基準値
・コンピューター画面での処方オーダー時の注意点

コラム
・重症急性呼吸器症候群(SARS)
・西ナイル熱(West Nile Fever)
・診療報酬
・DNAチップ

略語一覧

索引

国内医学会のホームページリンク集

2004年4月より臨床研修が義務化され、国家試験に合格した後、研修指定病院で2年間の研修を行うことになった。従来努力目標とされてさた臨床研修が義務化されたことは、医師になるためにしっかりした研修を行うことの重要性が認識されたことによる。
制度が発足するまでには、さまざまな議論が行われた。制度の是非はともかく、臨床研修の充実を図ること自体は、国民の健康を担う医療人となるにあたり必須の要件であり、諸手を挙げて賛成したい。
 ところで、臨床研修制度が実を上げるには、研修指定病院の設備、指導医を充実し、研修医が十分なトレーニングを受けられるような環境づくりが必須である。もちろん臨床研修医の熱意も欠かせない。と同時に、研修を受ける際に参考になるテキストの整備も求められる。臨床研修医は、指導医からただ教わるだけではなく、自らがテキストを読み、積極的に、ときには貪欲に、診療技法を学ぶことが重要だからである。
 編者は、かねてより臨床研修の実効性を高めるための適切なテキストが必要であると考えてきた。そこで、臨床研修必修化が現実になった時点で、臨床研修医の指導に造詣の深い先生方に執筆を依頼し、テキストを作成することにした。当然のことながら、厚生労働省から提示されているガイドラインを網羅し、臨床研修期間に習得すべき事項は余すところなく記載した。構成は、医療記録の書き方にはじまり、基本的診察法、基本的検査法、基本的手技、基本的治療法、救急処置、経験すべき症状・病態、common diseasesよりなる。
 医学生のときに教わっただけでは到底実践できない手技や検査法については、初心者でも十分に理解でき、かつ応用ができるように記述した。図や表を多く用い、短時間で理解できるような体裁にした。また、ポイントを囲み記事にして、ベテラン医師が経験的に重要と思う事項を掲げた。ベテラン医師ならではの工夫なども随所に盛り込まれており、臨床研修医には大変に参考になると思う。さらに付録として、届け出義務や診断基準など、実地医療を行うのに参考になる項目を満載した。いずれも臨床研修医には有用なものであろう。
 臨床研修医はもちろん、クリニカル・クラークシップ実習を受ける医学生諸君、さらに臨床研修医の指導にあたられる先生方に、ぜひとも活用していただきたいと願う。
2003年 仲秋
奈良信雄
(一部改変)

卒後臨床研修の必修化を機に数多くの研修医向けマニュアルが出版されている。なかでも本書は初期研修医を対象に、今回の必修化に伴って明示された卒後2年間の研修目標に準拠して構成され、必要な事項がハンディな一冊にまとめられている。

実践的という点では、付録に、感染症新法における感染症の分類、各疾患診断基準、介護保険、臨床検査基準値、略語一覧のほか、コンピュータ画面での処方オーダー時の注意点なども収載され、新しく臨床研修を始める人たちへの気配りがいき届いている。また、従来の類書のように参考文献を示すかわりに国内医学会のホームページリンク集が紹介されていて、新しい時代の到来を実感させる。これからは、各学会ホームページに初期研修医のためのページを積極的に掲載(アップ)していただくよう働きかける必要があろう。医療研修財団のホーム
ページ(PMET)なども研修医にとって必須のサイトといえよう。

実践的という点で、本書のもう一つの特徴は、第1章が「医療記録の書き方」から始まるところにある。このあたりにも編者の研修医への思いが感じられるが、本文の合間に挿入されている「ココがポイント」、「ココが豆知識」、「コラム」などが、研修医にとって喉から手が出るほど欲しい「コツ」や豆知識をそっと教えてくれるのもありがたい。

一方、研修医は日々の忙しさの中で、慣れとともに、ときに先輩が吐露するネガティブなコメントに引きずられ、オリエンテーション時にしっかり聞いたはずの、医師としての基本的心構え(「人格の涵養」ないしは「プロフェッショナリズム」)がおろそかになる懸念がある。このことも含め、患者との接し方をはじめとする医療現場におけるコミュニケーションのとり方について研修医はかなり不安をもっている。したがって、「医療面接」の一項にとどまらず、安全管理や感染症対策、さらには福井次矢先生が率先して紹介してこられたEBM(根拠に基づく医療)や患者の解釈モデル(explanatory model)についてもどこかでまとめて触れていただけるとよかったのではないかと感じた。

安全管理の例でいえば、流行性角結膜炎の患者が外来受診された場合など、臨床現場では感染予防にずいぶん気を使っている、このようなことについてもそれぞれの項で具体的なアドバイスが欲しいところである。また上述のように、治療の選択に関してはエビデンスに基づいた臨床情報が比較的容易に手にはいるようになってきたので、次版ではぜひこれらを付け加えていただきたい。

以上、いくつか注文をつけたが、研修医のニーズにきめ細かく対応したマ
ニュアルとして、これから臨床研修を始めようとする皆さんにとって、たんに使いやすいだけでなく、研修目標が明確になる有用なマニュアルとしてぜひおすすめする。

〔小泉俊三〕
臨床雑誌外科66巻9号(2004年9月号)より転載