書籍

心肺運動負荷テストと運動療法

編集 : 谷口興一/伊東春樹
ISBN : 978-4-524-22495-1
発行年月 : 2004年8月
判型 : B5
ページ数 : 366

在庫なし

定価10,260円(本体9,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

心肺運動負荷テストを、呼気ガス分析の観点からとらえた実際書。その原理と評価法について、最新の知見を多数の文献とともに示すと同時に、近年重要性の増してきている運動療法についても詳述。豊富なイラストと実際的な解説により、循環器疾患・呼吸器疾患に携わる医師のみでなく、心臓リハビリテーション指導士にも役立つ一冊。

第1部 総論:運動と呼吸・循環系の関連

 1. 運動と循環
 2. 運動と外呼吸
 3. 運動と内呼吸(代謝)
 4. 運動と酸素輸送


第2部 心肺運動負荷テスト

 第1章 心肺運動負荷テストの方法
  1. 運動負荷テストの方法と装置
  2. 運動負荷テストの対象
  3. 呼吸ガス流量計とガス分析装置
  4. 各種呼気ガス分析指標

 第2章 関連測定項目
  1. 乳酸
  2. 血液ガス
  3. 磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)
  4. 近赤外線分光法(NIRS)
  5. NO
  6. 自律神経機能
  7. 運動とサイトカイン、NO
  8. 血液の流動特性と血液粘度
  9. 心拍出量

 第3章 健常者およびスポーツ選手における心肺運動負荷テスト
  1. 健常者およびスポーツ選手における心肺運動負荷テスト
  2. 健常者およびスポーツ選手における呼気ガス分析
  3. スポーツ選手に対する心肺運動負荷テストの応用
  4. 健常者、スポーツ選手のトレーニングと心肺運動負荷テスト

 第4章 各種疾患と心肺運動負荷テスト
  1. 心疾患
  2. 呼吸器疾患


第3部 運動療法と運動処方

 第1章 運動療法と運動処方の基本
  1. 運動療法とは
  2. 運動処方の基本
  3. 運動療法のプロトコール

 第2章 各種疾患の運動療法
  1. 生活習慣病
  2. 狭心症・冠動脈形成術後
  3. 心筋梗塞後
  4. 開心術後
  5. 心不全
  6. 呼吸器領域

付録 定義・法則・定理の成立条件と測定条件

古生代の渚において、進むべきか退くべきか、遅疑逡巡していた人類の祖先が、海を捨てて陸に新天地を求め、陸上での棲息を始めた。上陸を果たした人類の祖先は、浮力が大きい海中では感じ得なかった地球の引力をもろに受けることになった。そして、鰓呼吸から肺呼吸への変革に伴い、強力な左心ポンプと高圧系血管を備えて、重力を凌ぐ体制を整備し、単式循環から複式循環へと進化していったのである。さらに、副交感神経のみの支配であった鰓呼吸循環から、交感・副交感神経の二重支配となった。すなわち、海中では鰓呼吸と鰓心が連動し自動能となっていたのに対して、陸上での肺呼吸はもはや自動能がなく、胸壁の骨格筋に呼吸運動を委ねることになり、肺と心は個別行動になったのである。運動を行うと、単式循環である鰓呼吸循環では心拍出量と分時換水量の増大が1回拍出量と1回換水量の増大によって賄われるのに対して、陸上の複式循環ではvolumeの増加に限度があるため、主として呼吸数と心指数の増大によって賄われることになる。人類の呼吸と循環は連動ではなく、個別に活動し、運動による心肺動態の変化はきわめて複雑になったのである。人類が上陸への道を辿ったことが、人類の生命史における宿命的な発生と形象変化をもたらしたといえよう。
 心と鰓の運動が完全に一致している魚類とは異なり、人類では心と肺の運動は別々であり、また交感・副交感の2つの神経によって調節され、さらに神経体液性因子によって制御されているので、運動時における肺と心の相互関係はさわめて複雑に推移する。心肺運動負荷テスト(cardiopulmonary exercise testing)は、運動負荷中の呼気ガス分析を持続的に行い、そのパラメータの推移から心肺動態を評価しようというものである。
 本書は、1993年に上梓した『心肺運動負荷テスト−呼気ガス分析による心肺疾患の新しい見方』の後継として刊行するものである。今回は、全体を第1部、第2部、第3部に分け、第1部では運動と呼吸・循環系の連関をとりあげ、運動と循環、運動と外呼吸、運動と内呼吸、および運動と酸素輸送に言及し、これを総論としてまとめた。第2部は、心肺運動負荷テストを総括し、心肺運動負荷テストの方法・装置・測定指標などをまとめ、健常者やスポーツ選手の負荷テスト、各種疾患に対する負荷テストについても記載した。第3部は運動療法と運動処方をとりあげ、各種疾患を対象としたそれぞれの場合について記述した。そして最後に、付録を設けて、定義・定理・法則の成立条件と測定条件について触れた。これは定理・法則・算定式などを用いる生理検査にとって忘れてはならない重要な事柄である。
 本書は、呼吸と循環の病皆生理を学び、生理検査を行う内科医、研修医、またリハビリテーションを行う技師、看護師などを対象として企画したものである。本書が日常臨味において何らかの指針を与えることになればと、祈念するものである。
2004年7月
谷口輿一