書籍

臨床研修 救急一直線

編集 : 丸藤哲
ISBN : 978-4-524-22445-6
発行年月 : 2003年4月
判型 : B5
ページ数 : 270

在庫僅少

定価6,156円(本体5,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

救急の研修は、卒前教育体制が十分でないうえに、卒後においても各施設で十分な指導と適切な対応がとられていないのが現状といえる。本書では「初期救急から三次救急」というわが国独特なシステムと役割を解説し、研修医に必須の現場での実際の対処法を初期、二次、三次救急に分けてまとめた。心肺蘇生法、基本処置、症状への対処、臓器管理、外傷処置・管理から、中毒、脳死まで紹介。研修医の学習・教育に役立つだけでなく、研修先の病院でも頼りになる一冊。

第1章 総論
 A.救急医療、救急医学
 B.救急体制(システム)
 C.救急診断学
 D.救急医療と医事法制
第2章 救急蘇生法
 (1)心肺脳蘇生法
 (2)救急薬品の使用法
 (3)ショック
第3章 救急の基本処置
 (1)外科的処置
 (2)中枢神経
 (3)呼吸器系の処置
 (4)循環器系の処置
 (5)消化器・腹部の処置
 (6)その他
第4章 救急医療機器の使用
 (1)人工呼吸器、人工呼吸法
 (2)血液浄化器、血液浄化法
 (3)IABP、PCPS、Pacing
 (4)麻酔器
第5章 主要症状と診断・対処法
 (1)意識障害
 (2)頭痛
 (3)胸痛
 (4)腹痛
 (5)呼吸困難
 (6)吐血、下血、喀血
 (7)動悸、不整脈
 (8)痙攣
 (9)眩暈、発熱、乏尿
第6章 急性臓器不全の管理
 (1)頭蓋内圧亢進
 (2)心不全、急性冠症候群
 (3)呼吸不全、ARDS
 (4)肝不全
 (5)腎不全
 (6)出血傾向、DIC
 (7)SIRS/Sepsis/MODS
第7章 外傷の管理
 (1)頭部外傷
 (2)胸部外傷
 (3)腹部外傷
 (4)脊椎・脊髄・四肢外傷
 (5)骨盤骨折
 (6)多発外傷
第8章 熱傷の管理
 (1)広範囲熱傷
 (2)気道熱傷
 (3)電撃症
第9章 中毒の基本処置
 A.中毒か否かの診断
 B.中毒物質の同定
 C.重症度判定
 D.試料採取と保存法
 E.未吸収物質の排除
 F.既吸収物質の排除
 G.解毒薬、拮抗薬とキレート剤
 H.全身状態の管理
 I.精神面のサポート
第10章 その他の救急疾患
 (1)環境異常
 (2)刺咬症
 (3)溺水
 (4)気圧外傷
第11章 集中治療管理
 (1)水分、電解質、血液ガス
 (2)感染と抗生物質
 (3)栄養管理
 (4)鎮静・鎮痛
第12章 重症度評価
 A.重症度評価および予後予測の意義と必要性
 B.一般的な重症度の評価
 C.重症患者の重症度評価
第13章 脳死
 1.脳死と法律
 2.脳死判定法

本書を書店で手に取って購入を迷っている君に「買って損はしないよ」と言いたい。購入後に初めて通読してみた君に「買って損はしなかったろう」と問いたい。本書の定価を高いと感ずるかも知れないが、諸君が宴会で飲み食いし瞬時に消えてしまう数千円を考えれば、この知識の宝庫の値段がいかに安いかに気づくであろう。「酒を飲む前に本を買え」は研修医時代の私の先輩の言葉であるが、蓋し名言である。
 本書は救急医学の真髄を網羅し救急医療における必要最低限を記載した。小冊子ではあるが、教科書は厚すぎる、巷間溢れるマニュアル本では物足りないと感ずる君にぴったり、小粒でもピリッと辛いという言葉を実感してもらえることだろう。執筆陣は北海道大学附属病院救急部・集中治療部で日夜重症患者の治療にあたり学生・研修医を指導している現役医師であり、我々が講義・実習で読者諸君の仲間に現在指導している実際的内容を記述した。
 教師である先輩医師から与えられる教育−spoon teaching−はせいぜい卒後2年までであり、その後の諸君の知識は自分自身が努力して得てこそ初めて自分の血肉となる。本書は先輩から手とり足とり教育される期間に活用されることを念頭において執筆したが、学生・臨床研修の終わりには本書を卒業して自分自身で最新の知識を得るよう希望する。
“救急一直線”を携えた研修を通じて救急の面白さを実感していただきたい。本書は必ず諸君の手助けとなるものと信ずる。
2003年2月
丸藤 智

この本はよい。なかなかの逸品である。本書をはじめて手にとったとき、「救急一直線」というやや奇抜な表題をいぶかしく思いながらページをめくってみると、すぐさま表題のもつ意味とよさがわかった。ちまたには救急医療の本があふれている。その多くが帯に短し襷に長しの感があり、レジデント研修にこれぞというハンディーな一冊がなかなかなかった。丸藤先生が編集された本書は決してマニュアル本ではない。救急医学の脈々とした流れを俯瞰しつつも、その記載は具体的であり、かつ確固たるエビデンスに基づいている。

救急治療は、診断と治療が表裏一体となってすすめられていくところにその特殊性がある。ときに診断よりも治療が優先され、その治療効果から診断がくだされることが少なくない。救急医療・救急医学は、従来の医学体系とは異なった新しい医学分野である。このような医学を従来の教科書形式で解説することに、筆者は常々疑問に思っていた。疾患の概説、原因、検査、そして治療という順で書かれる教科書は書きやすいが、一刻を争う救急の現場では馴染まず使いづらいことが多い。救急の現場ですぐに活用できる教科書がぜひとも必要である。しかし、従来のマニュアル本では対処療法の解説に終わってしまい、症状を引き起す真の病態の治療につながらない。実践的でありながら、複雑な病態の把握を予備知識なしで容易に理解できる教科書を待っていた。そして、本書は救急医学の特殊性を見事に解説した書である。

内容は、総論から始まり13章で構成されている。救急医療に携わる医師として必要な要素はすべて網羅されている。診断の記載は簡潔であるが、しばしば見逃しやすいピットフォールを親切丁寧に解説している。たとえば、主要症状と診断・対処法の章では、「まず考えること、行うこと」、「絶対見逃してはいけない疾患、病態」、「どのような疾患、病態を考えるか」、「診断のために必要な問診、所見、検査」、「具体的対処法」、そして「してはいけないこと」の6項目に分けて解説している。それぞれの内容は、枝葉を刈りとったエッセンスの塊であり、救急の現場でもすぐに読め、すぐ役立つ。とくに、「してはいけないこと」の項はベテラン医師でも必読する内容と思われる。

経験した症例の項目を読んでいくのもよいであろうが、ぜひ通読していただきたい。本書を通読することによって救急医学のなんたるかを感じることができるであろう。そして、救急医療に精通したベテラン医師も今までの経験による思い違いや、新しい治療法を再発見するであろう。
本書を携え、救急患者治療に携わる研修医は救急の醍醐味を十二分に満喫するであろう。

〔島崎修次〕
臨床雑誌外科66巻4号(2004年4月号)より転載