書籍

論文のレトリック改訂第2版

医学研究発表のTips&Pitfalls

: 廣谷速人
ISBN : 978-4-524-22357-2
発行年月 : 2001年7月
判型 : A5
ページ数 : 386

在庫なし

定価3,240円(本体3,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 書評

“誰も教えてくれなかった”論文の書き方、文章のこつ、学会発表の仕方について、具体的な示唆を与えてくれる「理系文章読本」。今改訂では、時代に即応して全体的な見直しをはかった。また、インフォームド・コンセント、患者情報の守秘などの医療の倫理、論文上の不正行為、authorshipなどの論文の倫理について新たに項を設け、さらに興趣の尽きないコラムを設けた

序論
1.いま何故〈論文〉なのか
 A.論文は科学的研究のゴール
 B.人は何故〈研究〉するのか
2.医療の倫理
 A.医学研究の倫理
 B.臨床研究の倫理
 C.インフォームド・コンセント
 D.患者情報の守秘
 E.動物実験の倫理
3.論文の倫理
 A.論文上の不正行為
 B.利害関係
 C.Authorship
4.臨床研究の方法
 A.臨床研究の方法
 B.いろいろな臨床研究デザイン
 C.ランダム化対照試験(RCT)
 D.総説とメタ分析
 E.アウトカム(ズ)・リサーチ
 F.臨床決断
 G.医療経済
5.論文を書く前に
 A.論文はニガテ?
 B.論文を書く前の心得五カ条
 C.雑誌学のすすめ
 D.論文の査読
6.どのような文を書くか
 A.わが日本語は今?
 B.語
 C.文
 D.段落
7.いよいよ論文を書く
 A.その心構え
 B.論文の骨組み
 C.論文に備わるべきもの
 D.執筆の順序
8.論文の書き方
 A.標題ページ
 B.本文
 C.文献
 D.症例報告の書き方
9.図表について
 A.図の書き方
 B.表の書き方
10.学会発表
 A.学会で発表する
 B.学会抄録の書き方
 C.口頭発表の技術
 D.スライドの作り方
 E.ポスター展示

本書の初版は1995年に上梓された。著者半生の蘊蓄を傾けられた好著であった。その書評は、版元は異なるが『整形・災害外科』(38:758、1995)に書いた。今回の第2版も畏友である著者からいただき、その面白さに魅せられ2日で読了してしまった。そこへ本書の版元である南江堂から書評の依頼がきた。同じ本の書評とはと最初はお断りしたが、本書は第2版とはいえ、まったく書き改められ、columnとしてのエピソードもほとんど改新されている。驚くべき情熱である。まったく別の本になったといっても過言ではなかろう。そこに「書評第2版」を書く意義もあろうとお引き受けした。

 よい研究を上手に人に伝える、ということは医学者の責務である。現在のような情報過多社会では、なるべく簡潔に、わかりやすく話し、書く必要がある。そのことを著者はご自身の経験、幾多の事例・参考書を基盤に、さすがにわかりやすく、手を取るように解説されている。見事なものである。著者はたまたま整形外科を専攻されたが、本書はすべての医学研究者に参考になろう。とかく骨大工と軽蔑されがちな、比較的単細胞的な整形外科医がこんな本を書いたということ自体が刺激的で、うれしいことである。永年温められてきたこの「研究発表のコツ」を1995年の定年退官時に世に問われ、6年後にそれを全面的に書き改めるというこの執念・粘着性は整形外科医離れ、いや日本人離れしているなと、まさに感じ入った次第である。

 そんな高価な本ではない。ぜひ手にとってお読みいただきたい。ゆえに内容の紹介はあえて省略する。Columnの1つに、ご丁寧にも「書評のスタイル」というのがある。「日本の書評には提灯持ちの書評が多すぎる」とのことで、『Annals of Internal Medicine』の書評フォーマットを紹介されている。それに準拠して本書を紹介する。

 専門領域:一般・医学論文の書き方・話し方。
 対象:一般医師、とくに臨床医。
 目的:研究内容を簡潔かつ効果的に伝達するためのコツを伝授。
 内容:具体的な記述が多く、読みやすく、ためになる。
 特徴:わずかの誤りがあるが、本書の価値を損なうものではない。ちりばめられたエピソード(column)がとくに面白い。

 限界と推薦:発表に値する研究内容をもつ人にとくにすすめられるが、今後論理的かつ倫理的に研究をすすめようとする人たちにも参考になろう。

 具体的記述の例:学会発表のところでのcolumnに「<ですけど的感じ>について」がある。近ごろの若い連中の「あいまい的表現乱用」は唾棄すべきで、「このような言い方のほうは学会的には閉め出したい感じがわたし的には強い」と揶揄されている。まことにそのとおりである。

 書評者:順天堂大学整形外科(にいた)、近ごろの若いモンの口調を聞いていると死んでしまいたくなる老整形外科医。

(山内裕雄)
臨床雑誌整形外科53巻6号(2002年6月号)より転載