書籍

Cure and Care Series

精神疾患の治療と看護

編集 : 安西信雄/青木民子
ISBN : 978-4-524-21948-3
発行年月 : 2003年2月
判型 : B5
ページ数 : 244

在庫あり

定価3,456円(本体3,200円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

精神疾患の最新の医学・医療とそれに伴う看護をわかりやすく解説した実践書。精神疾患患者のケアに必要な基礎知識(診察法、検査法、治療法)、主要な精神科的症候への対応の仕方(看護の指針)から、各疾患別に概念、診断へのアプローチ、治療・看護の指針を解説。さらに、精神保健福祉法と人権、看護計画とクリティカルパス、訪問看護と地域精神科看護、社会参加の支援と社会生活技能訓練についても触れた。2色刷。

はじめに:今日の精神科医療と看護師の役割

1. 精神疾患の理解と看護の役割
2. 精神疾患の診断の進め方
3. 精神疾患の治療法
4. 主な精神科的症候と看護の指針
5. 疾患別にみた治療と看護
6. 治療の場からみた精神科看護の指針と技法

精神分裂病から統合失調症への呼称変更についてはさまざまな意見があった。「病名が変わっても治療内容が変わらなければ意味がない」という意見も聞かれた。しかし、病名告知を受ける側の患者・家族が受け入れやすい病名ということが変更を決定づけることになった。こうしたことにこだわらない患者さんもいるが、なかには「精神・分裂という病名を聞いたときの強烈な感じを思い出します。統合失調症ならショックが和らぐ気がします」という感想を述べる人もいる。医療をサービスと位置づけ、患者さんや家族をサービスの利用者(ユーザー)として尊重する患者中心の医療への転換が医療の各分野で起きているが、統合失調症への呼称変更は精神科医療分野での大きな転換といえるであろう。
 精神科看護の実践においては、すでに患者中心の看護への転換が進みつつある。たとえば、看護計画を立てるにあたっても、実際にはいろいろな困難があるにしても、できるだけ患者さんの意見や希望を取り入れて治療と看護の方針を立てる努力が払われ、一緒に相談しながら目標を立てることも行われている。インフォームド・コンセントに沿った看護実践ということになるが、これを適切に実施し、患者さんの理解と納得を得るには、精神疾患とそれぞれの治療法についての正確な知識と技術が求められる。精神科医療はチーム医療として実践されるが、医師は医師なりの立場で、看護師は看護師なりの立場で「なぜその治療が必要か、どういう効果が期待されるか」という患者さんの問いに答えることが求められている。
 本書は東京都立松沢病院で実践に取り組んでいる医局員諸氏と看護部が力を合わせて「現段階での精神科治療の到達点と指針」をまとめたものである。一部は他の都立病院や大学、東京都精神医学総合研究所の専門家にもご協力をいただいた。東京都立松沢病院は約30の病棟を擁する大規模な公立病院で、精神科救急や身体合併症治療、民間病院での対応困難例や、アルコール・薬物依存症の治療、痴呆性老人治療などを行っている。重症・困難な患者さんが多いなかで、医療の改善に取り組んでおり、看護部は長期在院患者の退院促進のための訪問看護の実践、痴呆性老人の「縛らない看護」、リスクマネジメントやクリニカルパスの導入などに積極的に取り組んでいる。
 最近は精神科看護についての書籍が多数出版されているが、現場の実践の立場から精神疾患の看護に必要な知識・技術を整理して提供しているものは少ないように思われる。看護師への名称変更を契機に、より主体性をもった専門性の高い看護が求められるようになっているなかで、日頃の実践に役立つ精神科看護のハンドブックとして本書が活用されることを期待したい。
2002年冬
安西信雄、青木民子