書籍

超音波胎児病学

編集 : 竹内久彌
ISBN : 978-4-524-20294-2
発行年月 : 2009年12月
判型 : B5
ページ数 : 544

在庫僅少

定価21,600円(本体20,000円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

超音波を利用した胎児医学について、そのテクニック、診断・治療を総合的かつ実践的にまとめた。「超音波画像アトラス」と「超音波所見からひく疾患のレファレンスブック」という性格を併せ持つ。多数の写真を見やすくレイアウト。とくに読影技術に関しては、スクリーニングに用いるベーシックな内容から、臨床的に有意と考えられる画像情報の読み取りまでを取り上げた。

序章
第I部  超音波断層法による胎児形態異常の診断
第1章 頭蓋の異常
 画像上の特徴
 A 無頭蓋症、外脳症および無脳症
 B 頭蓋の大きさの異常
  1 短頭症と長頭症
  2 小頭症
  3 大頭症
  4 脳瘤
  5 その他の頭蓋形態異常
第2章 頭蓋内構造の異常
 画像上の特徴
 A 経腟超音波による妊娠初期胎児中枢神経系の超音波胎児発生学とそれに基づく胎児異常の早期診断
  1 中枢神経系とくに脳を対象とした超音波胎児発生学
  2 妊娠初期における胎児中枢神経系奇形の診断
 B 経腹超音波による妊娠中期以降の胎児中枢神経系奇形の診断
  1 妊娠中期以降の胎児頭部の正常像
  2 妊娠中期以降の胎児頭蓋内異常
 C 経腟超音波法による胎児中枢神経系診断
  1 超音波による血管描出
  2 経腟3次元超音波による頭蓋および脳の描出
  3 骨盤位胎児に対する経腟超音波法の意義
第3章 脊柱管および脊柱の異常
 画像上の特徴
 A 頭部
  1 無頭蓋症/無脳症
  2 脳瘤
  3 羊膜索症候群
 B 脊柱
  1 二分脊椎
  2 後頭孔脳脱出
  3 脊柱側弯症/脊柱後弯
  4 半椎
  5 四肢・体壁複合異常
  6 仙骨無形成
  7 尾部退行症候群
  8 腰仙椎部腫瘤
第4章 顔面とその近接部位の異常
 画像上の特徴
 A 眼窩および眼窩内の異常
  1 眼間狭小
  2 眼間解離
  3 小眼球症および無眼球症などの眼球異常
  4 眼窩およびその周辺の腫瘤
 B 口腔の異常
  1 口唇裂および口蓋裂
  2 巨舌症
  3 先天性エプーリス
  4 上顎体
 C 鼻および顎の異常
  1 鼻の異常
  2 顎の奇形
 D 耳の異常
第5章 頸部の異常
 画像上の特徴
  1 嚢胞性ヒグローマ
  2 腫瘤
  3 項部透過像
第6章 胸郭の異常
 画像上の特徴
  1 肺低形成
  2 先天性横隔膜ヘルニア
  3 先天性肺嚢胞性腺腫様形成異常
  4 肺分画症
  5 気管支原性嚢胞
  6 先天性上気道閉塞症候群
  7 胸水症
  8 胸腺の異常
第7章 心臓・大血管の異常
 画像上の特徴
 A 正常心構造の評価
  1 胎児心臓超音波スクリーニング
  2 超音波診断に必要な心臓の発生
 B 先天性心疾患の診断
  1 胎児心奇形の診断
  2 胎児不整脈
 C 胎児心機能評価法
  1 胎児心不全
  2 心拍出量の評価
  3 静脈還流の評価
  4 房室弁逆流
  5 心嚢液、心拡大
第8章 腹部の異常
 画像上の特徴
 A 消化管の異常
  1 食道閉鎖
  2 十二指腸閉鎖
  3 腸閉鎖
  4 高輝度腸管像
  5 鎖肛、ヒルシュスプルング病
 B 腹腔内の異常
  1 胎便性腹膜炎
  2 その他の腹腔内石灰化像
  3 腹水
  4 腹腔内腫瘤
第9章 腹壁の異常
 画像上の特徴
  1 腹壁破裂
  2 臍帯ヘルニア
  3 Body Stalk Anomaly、Limb-Body Wall Complex、羊膜索症候群
  4 その他の異常
第10章 泌尿・生殖器の異常
 画像上の特徴
 A 腎、尿管の異常
  1 腎無形成
  2 腎の位置・形態異常
  3 腎の嚢胞性疾患
  4 水腎症
  5 腎腫瘍
 B 膀胱、尿道の異常
  1 膀胱出口部閉塞
  2 外反
第11章 骨格の異常
 画像上の特徴
 A 骨異形成症
  1 軟骨無発生症
  2 軟骨無形成症
  3 窒息性胸郭異形成症
  4 屈(弯曲)肢異形成症
  5 尾部退行症候群
  6 軟骨外胚葉性異形成症
  7 点状軟骨異形成症
  8 捻曲性異形成症
  9 先天性骨形成不全症
  10 短肋骨・多指[趾]症候群
  11 致死性異形成症
 B 異形成以外の骨形成異常
  1 無肢症
  2 アペール症候群
  3 多発性関節拘縮症
  4 頭蓋骨癒合症
  5 ホルト・オーラム症候群
  6 低ホスファターゼ症
  7 多指症
  8 ロバーツ症候群
  9 人魚体
  10 血小板減少症・橈骨欠損症候群
  11 羊膜索症候群
第12章 胎児水腫
 画像上の特徴
 A 免疫性胎児水腫
 B 非免疫性胎児水腫
第13章 染色体異常児の形態的特徴
 画像上の特徴
 A 大奇形と染色体異常
  1 中枢神経系奇形
  2 顔面奇形
  3 頸部奇形
  4 胸部奇形
  5 腹部奇形
  6 泌尿・生殖器奇形
  7 四肢・骨格奇形
 B 染色体異常の超音波マーカー
  1 妊娠初期の超音波マーカー
  2 妊娠中期の超音波マーカー
 C 染色体異常スクリーニングの実際
  1 妊娠初期における染色体異常のスクリーニング
第14章 多胎(双胎)に起因する胎児病
 画像上の特徴
 A 双胎妊娠における羊膜、絨毛膜、卵黄嚢の超音波診断の意義
 B 双胎間輸血症候群
 C 無心(無頭)体双胎
 D 臍帯相互倦絡
 E 結合双胎
 F 臍帯辺縁付着と発育不全(IUGR)
第15章 3次元超音波による胎児形態異常の診断
 画像上の特徴
 A 3次元超音波の進歩
 B 3次元超音波による画像
  1 3次元像
  2 任意断面
 C 3次元超音波の画像以外の機能
 D 3次元超音波による胎児形態異常の診断
  1 頭蓋の異常
  2 頭蓋内構造の異常
  3 脊柱の異常
  4 顔の異常
  5 頸部の異常
  6 胸部の異常
  7 心臓・大血管の異常
  8 腹部の異常
  9 腹壁の異常
  10 泌尿・生殖器の異常
  11 四肢の異常
  12 多胎に関連した異常
 E 4次元超音波による胎児診断
 F 3次元超音波におけるアーチファクト
  1 超音波断層法におけるアーチファクト
  2 3次元走査時に生じるアーチファクト
  3 3次元像構築時に生じるアーチファクト
 G まとめ

第II部  胎児発育とwell-beingの評価
第16章 超音波による胎児計測
 はじめに
 A 胎児計測の基本
  1 妊娠初期の超音波計測
  2 妊娠中期以降の超音波計測
 B 胎児計測の実際
  1 妊娠初期
  2 胎児各部の計測
  3 推定体重
  4 胎児計測の評価基準値
  5 発育評価の実際
  6 基準値および基準値算出のための回帰式など
 C 胎児計測による発育異常の診断
  1 IUGRの診断
  2 IUGRの診断の実際
 D 胎児の健康診査
  1 羊水量
  2 BPS
  3 超音波ドプラ法による胎児胎盤血流計測
第17章 Fetal Hypoxia(胎児低酸素症)
 はじめに
 A 低酸素症の胎児血所見
 B 低酸素症の原因
  1 胎児に内在する原因
  2 胎盤異常による低酸素症
  3 臍帯異常による低酸素症
  4 母体疾患の影響
 C 胎児低酸素症の種類
 D 低酸素症による胎児臓器の障害
  1 胎児新生児脳の障害
  2 胎児循環系の変化
  3 胎児消化器系
  4 胎児泌尿器系と副腎
 E 胎児低酸素症の循環動態
  1 胎児心拍数
  2 血流動態
 F 低酸素症の治療
  1 基礎疾患の治療
  2 子宮内治療(子宮内蘇生)
  3 急速遂娩
  4 出生後の治療

第III部  超音波ガイド下の侵襲的処置
第18章 超音波ガイド下穿刺術
  1 臍帯穿刺・胎児採血
  2 胎児穿刺
第19章 胎児輸血・薬物投与
  1 胎児輸血
  2 頻拍型不整脈の胎児治療
  3 胎児穿刺による薬剤局所注入
第20章 超音波ガイド下シャント設置術
  1 下部尿路閉鎖に対するシャント手術
  2 水腎症に対する腎盂―羊水腔シャント術
  3 胸水症に対するシャント手術
  4 シャント手術手技
  5 ファントームシミュレーター

付表 胎児計測値の基準参照値
索引

産婦人科領域における超音波画像診断の最初の報告が行なわれたのはイギリスと日本で、奇しくも同年の1958年のことであった。したがって、昨年はそれからちょうど50年目にあたる、われわれ産婦人科で超音波画像診断に従事してきたものにとってはまことに記念すべき年といわねばならない。その記念すべき年を経て本書が上梓されることはまことに感慨深いものがあるが、ここに至るまでには、それなりの経緯があったことを先ず申し上げておきたい。
 この半世紀の間に、超音波診断技術に多くの技術的革新が行なわれた結果、超音波画像診断法は検査・診断法としての臨床的実用性の高さとコストパフォーマンスの高さが相俟って、とくに産婦人科領域において普及が進み、いまでは日常診療の際の一次的診断からさらに高次の二次的、三次的診断に至るまで広範囲に、いわば産婦人科領域の診療に必須の診断法として利用されるに至っている。ことに、胎児の日常的な描出・検査法としては唯一の方法であるため、その臨床的有用性がきわめて高いことは周知の事実である。換言すれば、こんにち、超音波画像診断法のない胎児診断は考えられないのである。
 一方、これほどまでに高い臨床的有用性を持つ超音波画像診断法ではあるが、おそらく欠点と言わねばならない大きな特徴も持っている。それはこれによる診断結果は非常に検査者依存性が高いと言うことである。すなわち、装置を用手的にしかも恣意的に扱ってはじめて診断の役に立つ画像が得られることから、検査者の超音波画像診断法に関する知識と経験の量により診断結果が大きく左右されかねないところがある。換言すれば、超音波画像診断を行おうとするものは、これについての豊富な知識と経験をもって検査技術を駆使することはもちろんのこと、関連する事項にまで精通していることが要求される。すなわち、超音波検査を担当するものは自分の経験のみに頼ることなく、網羅的、総合的で詳細なresourceを座右に置き、これを参照しながら検査にあたることが望まれる。
 わが国には超音波胎児画像診断の総合的で詳細に記述されたテキストブックが未だあらわれていない。本書は実用性を考えたアトラスであると同時に、超音波胎児病学のテキストブックとしての役割を果たすべく企図されたものである。
 準備から完成までかなりの年数を必要としたが、これまで、わが国における超音波画像診断の進歩を担ってきた多くの方々にご協力をいただき、ようやく、ここに「超音波胎児病学」と銘打った本書を上梓することができた。ご協力をいただいた共著者の方々に厚く御礼申し上げるとともに、これから超音波胎児画像診断をマスターして、これを胎児診断の基本的技術として活用しようと望まれている方々の一助に本書がなることを心から願うものである。
 なお、本書は基本的には分担執筆の形ではじまったものの、良質・貴重な写真を適切な箇所に掲載することにこだわったために、結果として分担の境界が明確ではなくなってしまった。そのため、分担執筆部分を明記できなかったことをお断りしておく。したがって、執筆内容に問題があるとすればすべて編者の責任としていただきたい。
2009年10月
編集者竹内久彌