洋書

Casarett & Doull's Toxicology, 9th ed.

- The Basic Science of Poisons

著者 : C.D.Klaassen (ed.)
出版社 : MCGRAW-HILL EDUCATION
ISBN : 978-1-259-86374-5
ページ数 : 1620pp.
出版年 : 2019年

在庫僅少

定価39,270円(本体35,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 書評

毒物学のゴールドスタンダードテキスト,最新の発展や知見を反映させて,内容を完全にアップデート!

本書は主要な原理,概念,メカニズム,化学毒性,その領域の土台となる考え方を含めた現代の毒物学について,卓越した知識を身に着けるのに役立つ一冊である.毒物学における必要な要素をまとめた単なる包括的なレビューではなく,世界中の誰にでも当てはまる毒物の全身性反応を徹底的に調べ上げている. 前版と比較し三分の一以上の寄稿者が新たに執筆しており,ここ数年の毒物学の進歩を本書に反映している. 彼らの専門性を共有することで,アポトーシス,自食作用,サイトカイン,成長因子,がん遺伝子,細胞周期,受容器官,遺伝子制御,防御機構,修復機構,転写因子,シグナル伝達経路,遺伝子導入マウス,ノックアウトマウス,ヒト化マウス,多型性,マイクロアレイ技術,第二世代DNAシーケンサ,ゲノミクス,プロテオミクス,エピジェネティックス,エクスポゾーム,微生物叢,Read-across,有害転帰経路,ハイコンテントスクリーニング,計算毒性学,革新的な検査法,臓器チップ,などの重要な範囲を網羅しており,毒物学のメカニズムや化学的規制の理解するためには非常に重要な内容になっている.

毒性学は化学物質の安全性評価の中心的役割を果たす多様性の科学であり、医薬品の開発とともに大きく展開している。
この流れの中で、毒性学のバイブルともいえる本書の第9版が発刊された。日本毒性学会とも馴染みの深い編纂者Prof. Klaassenは、序文で、本書が世に出る経緯と、書名にCasarett & Doull’sを採用した背景を簡潔に述べており興味深い。Prof. J. Doullは本学会とのご縁も深く、第19回年会(1992年、昭和大学薬学部黒岩幸雄年会長)の特別講演者として招聘され、数十分の毒性学総論を低音の魅力を醸しだしながら原稿なしで講演されたことは今でも印象に残っている。
本書は、身の回りの毒性物質のほとんどを網羅しており、毒作用発現機構を先端科学が到達しているレベルで解説している。各論では、各表題の背景や基礎事項の丁寧な説明があり、毒性学の入門者の理解が進むように配慮されている。手に取ればすぐにわかるが、第1〜7部門が色付けされており、読者の専門領域や興味ある事項へ容易に辿り着ける。図表もオールカラーで、学ぶ楽しみや理解のしやすさへの配慮もあり、多様性の科学の基本から先端までを習得できる体裁となっている。版を重ねるにつれ頁数も増え、今版では1620頁と大部である。読み通すには多大な労力が必要であるが、グローバル化の時代を生き抜くために、国際的な場で議論を進めるうえで是非本書に親しみ、馴染み、専門能力を高め、発揮していただきたい。
第1部の総論は、毒性学の古代から現代までの歴史概観、原理、毒性機構、リスクアセスメントで構成され、毒性学の背景となる基盤知識の概説と最新の毒性の科学を解説する。第2部は、毒性物質の動態で、ADME、生体内変換、トキシコキネティクスから成り、毒性物質の代謝に関わる各種薬物代謝酵素の役割や調節等に関する最前線の知識を習得できる。第3部は、非器官毒性としての化学発がん、遺伝毒性、発達毒性で成り、最新の発現機構関連情報とヒトへの外挿について解説している。第4部は、器官毒性で、各標的臓器・器官における毒性物質の作用その発現機構について新知見を含めて議論している。第5部は、毒性物質としての農薬、金属類、有機溶剤と蒸気、放射線と放射活性物質、植物と動物由来毒物、食品毒性学の基礎と規制、カロリーについて、それぞれの標的臓器、毒作用・毒性発現機構を詳説している。第6部は環境毒性学で、生態毒性と大気汚染について、毒性化学物質の生態系や環境汚染の内容や問題点を整理している。最後第7部は応用毒性学として、分析及び法中毒学、臨床、職業、規制の各分野で毒性学が果たす役割を解説している。
今改訂では、この数年間の毒性学関連科学の発展と知見を反映させ,内容を完全に最新のものにしている。すなわち、全35章のうち3分の1以上の章で著者の交代が行われ、最新情報に直接関与している研究者の執筆により新鮮味を出している。専門性を共有して,アポトーシス,オートファジー,サイトカイン,成長因子,がん遺伝子,細胞周期,受容器官,遺伝子制御・防御機構・修復機構,転写因子,シグナル伝達経路,遺伝子導入・ノックアウトマウス,ヒト化マウス,遺伝多型性,マイクロアレイ技術,第二世代DNAシーケンサー,ゲノミクス,プロテオミクス,エピジェネティックス,エクスポゾーム,微生物叢,有害転帰経路,計算毒性学,革新的検査法,臓器チップ、といった重要なキーワードに関して最新情報を基にした毒性発現機構や化学物質の規制の解説がなされている。毒性物質の各種の規制や基準関連の記述は、国際協調が進んでいるが、米国内の状況が主になっていることは注意が必要であろう。
日本毒性学会の皆様はもとより、毒性物質に関与している大学、公的機関や製薬企業など産業界のあらゆる研究者、実務家、さらには大学院学生にとって有用であり、座右の書として手元に置き、毒性学の知識の引出しを充実させ、論理を高めるために是非読まれることをお薦めしたい。

評者■ 昭和大学名誉教授,公益社団法人薬剤師認定制度認証機構 代表理事 吉田 武美

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