洋書

ASE's Comprehensive Echocardiography, 2nd ed.

著者 : R.M.Land, S.A.Goldstein, I.Kronzon, et al.
出版社 : SAUNDERS
ISBN : 978-0-323-26011-4
ページ数 : 879pp.(600illus.)
出版年 : 2016年

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定価39,733円(本体36,790円 + 税)

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2010年Dynamic Echocardiographyのタイトルで初版が出版された、米国心エコー図法学会の総力をあげた名著の改訂第2版.
初版は3D心エコー図法を大々的に取り入れ、画期的な診断技法を普及させた.
大動脈疾患・僧房弁疾患、人工心臓弁の不具合、心膜疾患・心内腫瘤、心筋症、心不全惹起高血圧など心臓疾患を引き起こす状況下の心エコー図診断法の全てを詳説している.
ExpertColsultが付属し、全文検索のみならず、広範なマルティメディア・ライブラリーにアクセスが出来る.

 自分も心臓超音波検査(心エコー)には思い入れがある.初期研修での心エコーの研修は,現在自分が循環器内科を選んだ大きな一つの影響を与えることとなった.心エコーのおもしろさは,エコーという機器を用いて実際の心臓の動きや病態生理がみえたりすること,さらにはそれぞれの病態の定量的評価ができることにある.ドプラでの流速の測定からの圧較差の推定,これらの数学的な表現からの重症度評価や身体診察との関係など,非常に臨床的であり,理系とされる医師に興味深く映ることは当たり前なのかもしれない.  本書は米国心エコー学会のオフィシャルな教科書である.上記の基本的な心エコーのおもしろさを堪能するために必要な情報を必要十分に盛り込んでいる.自分もいくつもエコーの教科書を読んできたが,本書の一番の特徴としては,学会の名称を標榜するだけあり,ガイドラインに沿った内容が中心となっているところであろう.ガイドラインの理解のために必要な情報のみならず,3Dでの画像,structual heart diseaseでの心エコーなど最新の情報も多く盛り込まれている.

 本書を読んだ個人的な感想としては,CTやMRIといったmultimodality imagingの時代における心エコーの役割を適切に記載していこうという意気込みを強く感じた.確かに今はCTやMRIなどで心機能なども含めて客観性の高い評価が可能となってきている.そのなかで即座に施行でき,繰り返し行える心エコーの利便性も大切であるが,心エコーでしかできないような特殊検査(たとえば,コントラストエコーや負荷心エコー)に関する記載もしっかり記載されている.これらの記載に割く範囲がやや多いのも,他のモダリティとの違いを直接的のみではなく,間接的に表現していると考えられる.

 心エコーの強みはやはり弁膜症の診断である.とくに大動脈弁狭窄や僧帽弁閉鎖不全のみではなく,大動脈弁閉鎖不全・僧帽弁狭窄症に関しても計測値以外にも十分触れてくれているのもありがたい.大動脈弁狭窄においては,とくにlow—flow low gradient,paradoxical pseudoなどの重要な概念に関しても,TAVR(TAVI)時代における観点から触れており,非常に理解しやすいと考えられる.

 本書の対象は主に,循環器内科の初学者であろう.general cardiologyの研修および心エコーを専門とし始めたばかりの先生にはぜひ手にとってみてもらいたい.自分に欠けている情報はないか,最低限の必要知識を収集し,安定化させてくれるところが,このような学会主体の教科書のよいところかもしれない.それぞれの項目も短く区切られているのは,初学者にとって,とくに英語が苦手な先生方にも朗報かもしれない.

臨床雑誌『内科』66巻8号(2016年8月号)より転載
評者●聖路加国際病院循環器内科 水野 篤