雑誌

がん看護≪隔月刊≫

事例で学ぶがん患者の退院調整(Vol.13 No.6)2008年9-10月号

困難事例の“解決”を探る

発行年月 : 2008年9月
判型 : A4変
ページ数 : 92

在庫僅少

定価1,728円(本体1,600円 + 税)

  • 主要目次
  • 序文

特集 事例で学ぶがん患者の退院調整〜困難事例の“解決”を探る〜


●特集にあたって 嶺岸秀子、千崎美登子、中山康子
●今、なぜ、退院調整が必要なのか 中山康子
●退院調整が困難な事例と向き合うときの基本的な考え方 千崎美登子
●事例:イレウスで経口摂取が困難なケースの退院調整 望月美穂
●事例:麻痺・排泄障害などで日常生活が強く障害されている患者の退院調整 安藤理悦子、山内桂子
●事例:脳腫瘍による短期記憶障害があり意思決定が困難な患者の退院調整 中條直美、清水奈緒美
●事例:意思決定が困難な終末期がん患者の退院調整 櫻井環
●事例:患者と家族の間に目標のずれがある場合の退院調整 長谷川香奈子
●事例:高齢で1人暮らしのがん終末期患者の退院調整 三輪恭子
●事例:家族へ迷惑をかけたくない思いから、在宅への希望をいえない患者の退院調整 林ゑり子
●事例:在宅療養で「患者の状態が悪化するのではないか」と家族の不安が強い場合の退院調整 岩本純子
●事例:介護力が低い家族への退院調整
【1】家族のほかに、インフォーマルな援助を受け退院できた事例 五十嵐ひとみ
【2】患者の夫と娘の関係から在宅療養が困難な場合 村木明美
【3】患者である本人が家族の介護をしていた場合 上杉和美
●事例:家屋に敷居などの段差があり、歩行器の使用が困難で排泄行動が自立できないケースの退院調整 古田智恵、宮原知子
●経済的困難がある患者の退院調整・在宅支援 濱田由香

連載
がん専門病院における院内教育
 国立がんセンター中央病院の院内教育プログラムの概要 土師菜緒子
今月の症例
 病状の受け入れが困難な終末期がん患者への対応 前滝栄子、吉村秋子、土門由佳、市原香織、和田栄子、田村恵子
リレーエッセイ●いのちをみつめて
 がんを通してみえたもの 渡辺剛
がん化学療法におけるナーシング・プロブレム【33】
がん化学療法看護におけるよい客観式テストとは 足利幸乃

連載講座●JJCCレクチャー
 【食事につながるケアを目指した造血幹細胞移植の口腔ケア(5)】
 GVHDにおける口腔ケア〜食べることを支援する〜 池上由美子、成田香織、鶴見田鶴子、茂木伸夫、山下卓也

海外がん看護事情
 米国ホスピスにおけるNP、CNSの活動(2) 柿川房子、星野めぐみ、小川香、北島昌樹
投稿
原著論文●易感染状態患者へ新鮮な果物を提供する細菌学的に安全な手順の検討 藤井宝恵、岡山加奈、竹田義弘、宮腰由紀子

REPORT
第4回日本クリティカルケア看護学会学術集会報告 橋弥あかね

こちらがん電話相談室
母の大腸がんはステージIV、治療ができなくなった後のサポートは? 平野友子

BOOK
DVDで学ぶ呼吸理学療法テクニック─呼吸と手技のタイミングがわかる動画91 [評者]岸上由紀子

INFORMATION
投稿規定
次号予告・バックナンバーのご案内

いうまでもなく、退院調整とは、患者の退院後の療養生活を支援するために、各職種が協働して、患者の疾病や障害が日常生活に及ぼす影響をアセスメントし、患者・家族が望む療養生活が可能となるような計画を立て、指導・支援することである。
 今日、がん看護に携わる者にとって、退院調整に困難を感じることが多くなっているように思われる。その背景としては、以下のようなことがあげられるだろう。(1)高齢化に伴ってがん患者が増えているにもかかわらず、医療を提供する体制としては在院日数の短縮化が図られ、そのために十分な退院調整を行うための余裕がなくなってきている。(2)がん治療の進歩は、一方では、そのフォローとして患者・家族自らが医療的処置・管理を行うことを要請するようになり、治療上の侵襲のレベルによっては、そのフォローとしての医療的処置・管理に短期間で習熟することは難しく、そのため継続的な支援が必要になっている。(3)患者の配偶者の高齢化や核家族化によって、家族の介護力が弱まっており、退院の受け入れが困難になっている。(4)院内の問題としては、退院調整の必要性を判断する時期が課題であり、医師から患者・家族に退院を告げられた後に開始されることが多く、退院調整の開始が遅れる。(5)また、実態として、他職種との情報の共有が不十分なままとなっており、患者・家族の参加も含めて退院調整に関する会議や検討会が開かれることも少ない。
 こうした問題点をふまえ、本特集「事例で学ぶがん患者の退院調整〜困難事例の“解決”を探る〜」が企画された。
 2007年にがん対策基本法が施行され、「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」が謳われるとともに、「全てのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」が目標にあげられた。これらの実現に向けては、各都道府県に「がん診療連携拠点病院」が指定され、「相談支援センター」も開設されている。しかし、本来、患者・家族に有効に利用してもらいたい相談支援センターについて医療サイドもあまり知らないというのが実情である。また、今日の医療政策のもとでは、退院調整は在宅医療の充実なしには存立しえない。そこで各論である事例に入る前提として、編者の1人、中山が、今日の医療政策、在宅医療の現状と診療報酬との絡み、がん対策基本法で何が期待されるかなどについて解説した。また、退院調整を行う際の基本的な視点であるセルフケアの考え方や、退院調整困難事例の特徴と“解決”に向けての基本的考え方に加え、在宅死亡時に留意すべき内容についても、編者の1人、千崎が解説した。それに続く、事例の提示にあたっては、臨床で遭遇しがちな困難事例・状況を設定し、それぞれの経過および調整のポイントなどが、読者にとって具体的・実際的でわかりやすい内容になるように配慮したつもりである。
 事例の執筆については、がん診療連携拠点病院などで働く専門看護師やがん看護の経験が豊富な看護師各位のご協力をいただいた。多様な状況設定での退院調整の実際を提示できたと思う。読者の日々の看護に役立てていただければ幸いである。