雑誌

臨床雑誌整形外科≪月刊≫

脊柱変形AtoZ(Vol.64 No.8)2013年7月増刊号

発行年月 : 2013年7月
判型 : A4変
ページ数 : 220

在庫僅少

定価6,264円(本体5,800円 + 税)

  • 主要目次
  • 序文

特集/脊柱変形A to Z
●編集にあたって 大川淳
I.側弯症総論
 1.側弯症治療の歴史−脊柱変形の分類と側弯症治療の史的概観 鐙邦芳
 2.正常の成長と側弯症の自然経過 柳田晴久
 3.側弯症の診察とX線診断 伊東学
II.小児の脊柱変形
 1.早期発症側弯症(early onset scoliosis)の概念 宇野耕吉
 2.先天性側弯症の治療総論−非専門医が先天性側弯をみた場合どうしたらよいのか 長谷川智彦
 3.胸郭変形とvertical expandable prosthetic titanium rib(VEPTR) 川上紀明
 4.Growing rod法 渡辺航太
 5.症候性(症候群性)側弯症の自然経過と保存的治療 辻太一
 6.神経筋原性側弯症 黒木浩史
 7.Marfan症候群 田中雅人
 8.von Recklinghausen病 松原祐二
III.思春期の脊柱変形
 1.思春期脊柱変形の分類 平野徹
 2.思春期特発性側弯症の原因 八木満
 3.思春期脊柱変形の自然経過 茶薗昌明
 4.側弯症検診−問題点と対策 司馬立
 5.装具治療−治療原則 瀬本喜啓
 6.装具治療−適応と限界 山崎健
 7.手術的治療−後方法 高相晶士
 8.手術的治療−前方法 播广谷勝三
 9.手術的治療−CT-basedナビゲーションシステム併用法 高橋淳
 10.手術的治療−モニタリング(日本脊椎脊髄病学会モニタリング委員会による多施設調査) 伊藤全哉
 11.手術的治療−長期成績 赤澤努
IV.成人の脊柱変形
 1.成人脊柱変形のQOL障害に関連する画像パラメータ 大和雄
 2.胸椎後弯−カリエス 斉藤正史
 3.胸椎後弯−Scheuermann病 竹下克志
 4.高齢者に多い脊柱変形の評価と保存的治療 小林徹也
 5.骨粗鬆症性椎体骨折後の変形−hydroxyapatite blockとballoon kyphoplastyの使い分け 星野雅洋
 6.骨粗鬆症性後弯−椎体圧潰に対する後方short fusion 前田健
 7.骨粗鬆症性後弯−後方矯正手術(pedicle subtraction osteotomy)の手術手技と治療成績 豊根知明
 8.変性後側弯−分類と治療原則 種市洋
 9.変性後側弯−表面筋電計を用いた腰椎後弯症患者の腰背筋活動の特徴 榎本光裕
 10.変性後側弯−多椎間後方経路腰椎椎体間固定術を用いた矯正固定術 松村昭
 11.変性後側弯−pedicle subtraction osteotomyとvertebral column resection 金山雅弘
 12.変性後側弯−後方・前方・後方三段階矯正固定術 大谷和之
V.頚椎変形
 1.筋性斜頚 下村哲史
 2.環軸関節回旋位固定 石井賢
 3.首下がり 星野雄一
 4.頚椎後弯変形に対する後方矯正固定術 放生憲博
 5.頭蓋頚椎移行部における整復困難な後弯変形の矯正固定術 清水敬親

日本整形外科学会のシンボルマークにあるように、脊柱変形に対する矯正術は整形外科治療の根幹です。Hippocratesの時代からさまざまな治療が試みられてきましたが、Harrington instrumentationの開発以後、手術的治療が大きく発展したことは周知の通りです。とはいっても、側弯症の治療全体を見渡せる専門家は数少ないのが実際であり、現状を俯瞰できる教科書も手頃なものがありませんでした。本特集は、脊柱変形の矯正と姿勢制御に関する、現在の脊椎外科の知識と技術を総括することを意図して編集しました。
 脊柱変形のうち思春期側弯症については、学校検診を通じて適切な保存的治療と比較的安全な手術的治療の体系がほぼ確立しています。Lenke分類の定着と術式の改良が手術成績向上に大いに寄与しました。一方、就学以前の側弯症に関して早期発症側弯という概念が提唱され、肺胞形成に対する側弯の影響がクローズアップされつつあります。脊椎の成長の阻害を最小限にするgrowing rodや胸郭変形に対するVEPTRなど新しい治療法も出てきました。
 さらに、高齢者の姿勢異常を手術により制御しようという試みが脊椎外科領域の大きなトピックになっています。健康寿命の延伸を図るうえで歩行機能の維持は欠かせませんが、骨粗鬆症や変形性脊椎症によって生じた姿勢異常が歩行機能に大きな影響を与えます。そこで、脊柱側弯のみならず後弯変形であっても後方椎体間固定や椎体骨切り、椎体切除を行ってバランスのよい姿勢を取り戻すことを目的とした手術が行われます。椎弓根スクリューを用いて複数箇所にアンカーを設置し、椎体間ケージやテープなどさまざまな素材・形状のインプラントを駆使する手術法の進歩と、全脊柱のX線評価の確立が成績向上につながりました。年をとると背中が曲がり、慢性的な腰背部痛を我慢しつつ杖をついて歩くのが当たり前の時代が、もうすぐ終わるかもしれません。
 本特集を通じて脊柱変形に関する進歩と新しい治療法を、脊椎外科専門医だけでなく一般整形外科医にも知っていただければ幸いです。
東京医科歯科大学整形外科教授
大川淳